仲間内で使われる若者言葉。友人や職場のスタッフとの間で、仲間意識、親近感を高めるのに役立ちますが、ビジネスシーンでは注意が必要です。
特に病院・クリニックの面接の場でついうっかり使ってしまい、年の離れた面接官に軽薄な印象を与えたり、意味が伝わらなかったりしてしまう、なんてことは絶対に避けたいところです。 とはいえ、日常的に使っていると、どれが若者言葉なのかわからなくなってしまうもの。
そこで本コーナーでは、求職者が面接の場で注意したい若者言葉を解説します。 第1回の若者言葉は「ワンチャン」です。
1 若者言葉「ワンチャン」を面接で使っていませんか?
まずは、以下の面接のシーンを見てみましょう。
実は「ワンチャン」は、10代・20代を中心に仲間内で使われている若者言葉です。この応募者のように面接の場で、無意識にうっかり使ってしまった場合、場にふさわしい言葉遣いができない人として面接官の心証を損ねる可能性が高いです。
どんなに熱意のある応募者であっても、一回のミスが、その後の選考に大きな影響を及ぼしかねません。若者言葉のようなカジュアルな表現は、面接の場では避けるべきです。
医療業界は売り手市場とはいえ、人の命にかかわる職業だからこそ、採用側は安心できる人材を採用したいと強く願っています。面接の受け答えで面接官に不信感を与えないよう、若者言葉や日本語の誤用には十分に注意しましょう。
しっかり覚えておくために、「ワンチャン」について詳しく解説します。
2 「ワンチャン」の意味とは
「ワンチャン」は若者言葉の一つです。そもそもの意味は、デジタル大辞泉(小学館)によると、「一度限りのチャンス(好機)。多く、勝利や成功を得るための事象についていう」とあります。
しかし近年では意味が少し変化し、「まだ可能性がある」という場面で、「もしかしたら」「ひょっとしたら」といった意味で用いられています。
例えば事例の「ワンチャンあるかもしれない」の言い方のように、可能性の高さ低さ、良い悪いの場面に関係なく、文末に「かもしれない」などと一緒に組み合わせる形で「もしかしたら可能性がある」のような意味で副詞的に使われています。
3 「ワンチャン」の言い換え表現
「ワンチャン」に限らず若者言葉は、相手に自分の伝えたいことが正確に伝わるかどうか以前に、面接のような場で用いること自体、社会人としての常識を疑われてしまいます。悪印象を与えるだけですので、絶対に使用しないように注意してください。
ちなみに、仲間内との日常会話で「ワンチャン」を言い換えたい場合は、次のような言葉を用いると良いでしょう。
・うまくいけば
・可能性がある
・もしかしたら
・ひょっとしたら
・多分
・おそらく
・できれば
4 「ワンチャン」の類語・関連語
「ワンチャン」には派生語があります。これらもうっかり面接の場で使用しないよう、チェックしておきましょう。
・ノーチャン…「まったく可能性がない」「可能性ゼロ」という意味。
・ツーチャン…「2回チャンスがある」という意味。「ワンチャン」よりも倍近い可能性がある。
・スリーチャン…「3回チャンスがある」という意味。「ツーチャン」よりも確率が高い。
・フルチャン…「100%可能性がある」「確実だ」という意味。似た言葉に「カクチャン(確定チャンス)」もある。
5 面接対策や書類の相談にはエージェントの活用を
面接や書類での日本語間違いをしないためには、第三者目線での面接対策や書類のチェックが有用です。転職エージェント「ドクターズ・ファイル エージェント」ではキャリア・アドバイザーの面接指導を受けることができます。 ぜひご活用ください。(ドクターズ・ファイル編集部)
~ある面接でのワンシーン~
面接官:当院を志望した理由をお聞かせください。
応募者:私が御院を志望した理由は、御院の掲げる『患者さまファースト』の理念に共感したからです。前職での経験を生かし、ぜひチームの一員として地域医療に貢献したいと考え、ワンチャンあるかもしれないと志望いたしました。
面接官:え、ワンチャン? 急に犬がどうしたんだい?(けげんな表情)
応募者:はっ……!(しまった、もしかして「ワンチャン」って、この場にふさわしくない言葉だったかな?)