原田 依美 院長、原田 和昭 副院長の独自取材記事
ハラダ歯科医院
(北九州市小倉北区/旦過駅)
最終更新日:2024/11/15
北九州モノレール旦過駅から徒歩約3分の場所にある「ハラダ歯科医院」は、1987年に開業した。現院長の原田依美先生は2023年4月、先代院長で父でもある原田和昭副院長から継承して、現在は親子で診療にあたっている。同院は小倉の中心市街地から徒歩でも通える場所であることから、近隣で会社勤めをしている人たちも多く訪れる。院内のユニットは3台で、全体的にコンパクトにまとまった造り。また清潔感のある白い壁やレースのカーテン、観葉植物や絵画が患者を癒やしてくれる。「患者さんの歯の健康をずっと見守っていきたいです」と優しい笑顔で語る依美院長と和昭副院長に、診療内容や患者への対応について詳しく聞いた。
(取材日2024年6月20日)
親子2人で地域住民の口腔内の健康を守る
先代院長である和昭副院長のご経歴と、この土地に開業した経緯をお伺いします。
【和昭副院長】私は1974年、九州歯科大学に研究生として入学しました。翌年からは歯科放射線学分野の助手として勤め、後に歯学博士を取得して講師になりました。それからしばらくは講師として活動していたのですが、やはり歯科医師としてもっと挑戦したいことがあったので、独立することにしました。講師を辞めて開業するための物件を探していた時、父親の同級生がこの場所のオーナーで、歯科医院に向いている造りだったので、ここに決めました。そして1987年に開業して今に至ります。私は台湾から日本に来たのでこのエリア出身ではないのですが、九州歯科大学に勤めていて小倉には縁がありましたので、この辺りは第二の地元のようなものです。
依美院長が歯科医師をめざした理由や、これまでのご経歴を教えてください。
【依美院長】私は北九州の出身で、九州歯科大学卒業後にそのまま歯周病学分野を勉強するために大学院に進みました。大学院では細菌の研究をしていました。大学院を修了したら、すぐにここで働くようになりました。ちなみに高校生の頃からこのクリニックにはお手伝いで来ていたので、その期間を入れると私も長く携わっています。子どもの頃から歯科医師である父の姿をずっと見てきて、「手に職を持つなら歯科医師だ」と思っていました。強く意識していたわけではありませんが、やはり父の影響は大きく、私が歯科医師をめざしたきっかけになったと思います。30年以上もの間、父が築きあげてきた患者さんとの信頼関係を引き継ぎ、私の代になっても長く通ってもらえるよう今後も尽力していきます。
お二人がお互いに尊敬・信頼しているところをお聞かせください。
【依美院長】父は仕事が大好きで、非常に勉強熱心ですね。いつも患者さんのことを考え、治療に生かすためにどんどん新しいことを学ぼうとしています。例えば歯科医師会で新しく福祉医療の委員会が立ち上がった時、父は当時新しい学問だった摂食嚥下について熱心に勉強していました。その結果、当院でも訪問診療ができるようになったんです。どんなことも積極的に学ぶ姿勢は尊敬できる点ですね。
【和昭副院長】私が歯科大学で学んだ時代よりも医学が進歩していることもあり、娘は歯科医師として戦力になるのが早かったですね。知識もありますし、手術も早くテキパキしているため、非常に頼りになります。そして難抜歯などの難しい症例をどのように対応するのか、娘となら適切な答えを導けると思っています。わが子ながらとても素晴らしいと思いますし、信頼を置ける存在です。
歯周病予防の大切さを多くの患者に知ってほしい
現在の患者層や主訴はどのようなものでしょうか。
【依美院長】患者さんは1歳くらいから100歳くらいまで、本当に幅広いですね。ですが子どもの数はそこまで多くはなく、20代以上の患者さんが中心です。主訴は歯周病、顎関節症や歯ぎしり、歯の検診が多いです。
【和昭副院長】若い人は顎関節症で来院される方がいらっしゃいます。高齢の方からは、最近では入れ歯の相談が多くなりました。そういった主訴には保険診療だけでなく、ノンクラスプデンチャーといった自由診療も幅広く対応できるようにしています。また、嘔吐反射が強くて治療を受けるのに困っている患者さんも、徐々に歯科医院に慣れるようステップを踏んで治療するよう心がけていますので、安心してほしいです。
クリニックで力を入れているのは歯周病治療だと伺っていますが、なぜそこに注力しているのでしょうか。
【依美院長】歯周組織は口腔内の基礎です。歯周病が進むと、全身のさまざまな疾患を招きかねません。そのため、患者さんには普段からお口のケアに力を入れてもらいたいのです。歯周病は自覚症状がなく進み、気づいた時には取り返しのつかない状態になっている患者さんも少なくありません。というのも、歯周病は1ヵ所だけ治療すればいいものではないからです。誰にでも歯周病になるリスクがあるため、できるだけ早い段階からケアすることが重要です。
【和昭副院長】歯周病を放置すると、やがて歯が抜けます。そうなると食事も満足にできず、やがて健康を損ないます。それくらい口腔内の環境が全身と密接に結びついているのです。奥歯が抜けると、踏ん張れず転倒につながり、骨折する危険性があります。高齢者の骨折はその後の人生が台なしになってしまいかねません。そのため当院では定期検診の患者さんに時間をかけ、丁寧にメンテナンスを行っています。
インプラント治療についてお伺いします。
【和昭副院長】当院では、歯周病のチェックをして状態が良い患者さんにのみインプラントをお勧めするようにしています。事前にCTでしっかり検査と分析をしてから、慎重に判断します。そのため、場合によってはインプラントをお断りすることもあり得ます。歯がなくなったらインプラント治療をすればいいというような単純なものではないことを、しっかり患者さんに説明して納得してもらえるよう心がけています。インプラント治療後は、患者さんご自身でのメンテナンスも非常に重要です。ブラッシングやフロスなど歯間清掃を丁寧に指導して、きちんと管理することで、インプラントの長持ちが見込めます。
かかりつけ歯科医院として患者との信頼関係を築く
先生方が患者さんと接する際に大事にしていることを教えてください。
【依美院長】患者さんの話を聞くことですね。そして、何を求めているのかを把握します。私たちが思う理想の治療と、患者さんが考える治療が違うことはよくあります。そのため、最終的にどこをゴールにするのかをしっかりすり合わせて、治療を始めることを大事にしています。
【和昭副院長】日々変化する患者さんの状態を把握し、進歩する医学に追いつくために知識をアップデートすることが重要です。その上で、患者さんにわかりやすく説明し、可能な治療の選択肢を伝えます。もちろん当院でできることは対応して、さらに高度な治療が必要な場合は、しかるべき医療機関と連携を取ります。状況に応じて患者さんにとってより良い選択肢を提案することはもちろん、将来を見据えた治療を意識しています。そのために、日常的なお口のケアなど、患者さんにも協力してもらわなければならないこともお伝えしていますよ。
外国籍の患者さんにも対応されているそうですね。
【和昭副院長】私と院長は中国語と英語に対応できます。最近は北九州エリアに外国人労働者や観光客が増えてきました。あまり日本語が得意ではない外国籍の方で、急なお口のトラブルで困ったらぜひ当院にお問い合わせください。
院長先生にとって、スタッフさんが自慢だとか。
【依美院長】当院のスタッフたちは、患者さんとの信頼関係を構築するため、ご家族の話や飼っているペットの話などの日常的なコミュニケーションを取ることを心がけており、自慢できるスタッフばかりです。患者さんの不安を取り除くために、スタッフそれぞれができることを考えて行動してくれています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
【依美院長】既存の患者さんを大事にしたいです。ですので、通ってくれる患者さんの口腔ケアを生涯にわたって行えたらと思います。できるだけ長くお口の健康を維持するためのアドバイスをしますので、一緒に頑張りましょう。
【和昭副院長】お口の機能は、自覚症状がなくても年齢とともに低下してきます。健康で長生きするためには、必ず口腔内を管理しなければなりません。当院では、50歳以上の方への口腔機能低下症の検査を積極的に行っています。こちらを受けて、ご自身のお口の状況を知るところから始めてみませんか。ぜひお待ちしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント(手術)/30万円、インプラント(上部構造)/5万5000円~、ノンクラスプデンチャー/15万円~