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石倉 行男 理事長の独自取材記事

おがた小児歯科医院

(福岡市博多区/博多駅)

最終更新日:2021/10/12

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博多駅から徒歩5分の場所にある「おがた小児歯科医院」は40年以上の歴史を誇る。石倉行男理事長は、障害者歯科と小児歯科について専門的な知識を有する歯科医師。同院では、子どもの発達を考慮したさまざまなサポートをはじめ、障害者や歯科治療に恐怖心がある人へ専門的な歯科医療を提供している。また、言語聴覚士による言葉の発達支援や、咀嚼や嚥下のサポートを行う摂食機能訓練も実施するなど、歯のことだけに留まらない支援を行っているのも大きな特徴だ。同院が取り組むすべての土台にあるのは、「困っている人を助けたい」という想い。患者の困っていることに耳を傾け、寄り添う姿勢の背景には、どのような歩みがあったのか。石倉理事長の医療にかける熱意にふれてきた。

(取材日2021年3月23日)

歯科が苦手な子を治療できる状態に導く

まずは歯科医師をめざしたきっかけからお聞かせください。

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歯科医師をしていた叔父が身近にいたことが大きかったと思います。真剣に将来を考えた高校の時に、人の役に立つ仕事に就きたいと思い、地元の鹿児島大学歯学部に進学をしました。実は小学5年生の頃に両親が離婚をしまして、以来母子家庭で育ったんですね。ですので、国立大学であることが大前提。卒業まで奨学金で勉強をさせてもらいました。歯科の中にもいろんな分野があるため、どの道に進むのか決めなくてはならない時、数々の講義を受けたんです。その結果、同大学の小児歯科へ入局しました。

小児歯科を選ばれた理由もお聞かせいただけますか?

母子家庭で育ってきたという背景も少なからず影響したのかなとは思います。当時はまだ障害者歯科というのはありませんでしたが、授業の中で学ぶ機会があったんですね。歯科医療を受ける側には弱い立場の方もいることを知り、何か自分が役に立てることはないかと考えたことが小児歯科を選んだ理由です。鹿児島大学病院の小児歯科では、障害者への治療も行っていたので、小児歯科も障害者歯科も両方学ぶことができると思い、迷わず入局しました。そして数年たった頃、大学で学んでいること以外の対応方法もあると知り、当時障害者歯科に力を入れていた長野の松本歯科大学に国内留学というかたちで9ヵ月間行かせてもらったんです。

障害者歯科に関する幅広い知識と技術を学ばれたわけですね。

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当時は目の前にいる障害のあるお子さんを「いかに怖がらせないで治療できるか」ということに意識が集中していたんですよね。その対応方法を、とにかく自分のものにしたいという一心でした。障害のあるお子さんにとって歯科医院は、嫌いな音や刺激などがたくさんあって、パニックを起こしたり、じっとするのが難しかったりする場所なんですね。その子たちを治療できる状態に導くことを「行動調整」といって、方法が多数あるんです。それをすべて身につけるべく、一生懸命学びました。そして、また鹿児島大学に戻って勤務したのち、縁あって1999年からここで勤務させていただくことになったんです。

障害の有無関係なく特別な配慮が必要な人への歯科医療

当時、障害者歯科に特化した歯科医院というのは珍しかったのでは?

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そうですね。前理事長の緒方克也先生は行動調整だけでなく、子どもの発達や福祉にも取り組んでおられた方だったので、技術はもちろん、障害に対する向き合い方や考え方も学べたことが、私の中で大きかったですね。ここが開院したのは1979年でしたが、小児歯科専門で障害者歯科もやっている歯科医院としては珍しかったと思います。今でこそ日帰りで全身麻酔をすることは一般的になっていますが、そうではない40年前から緒方先生はやられていました。それだけに理解してもらうのが難しく、当時は風当たりも強かったようですが、今は当たり前になっていることを考えても、非常に先を見据えた方であることがわかります。実際、今ここでやっていることは40年前とあまり変わりませんから。

1979年ということは、開院から20年後に先生は来られたのですね。

はい。そして3年間勤務させていただいたのち、実は鹿児島の歯科医師会が運営する口腔保健センターへ。当時の鹿児島では、障害者歯科でやれることがまだ限られていたので、これまで学んだことをどうしても鹿児島でやりたいという想いが強かったんです。小児歯科と障害者歯科、そして鹿児島には島がたくさんあるので離島診療を。4年間でしたが、そこではいろんな方と出会えましたし、その日にしか会えない方の困っていることを、どう解決したらよいかという貴重な経験もできました。そして、緒方先生からまた声をかけてもらい、2006年に当院へ戻ってくることに。2008年より院長、2014年には理事長に就任させていただきました。

障害者歯科についてさらに詳しくお聞かせいただけますか?

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障害児歯科の対象は障害のあるお子さんになると思いますが、障害者歯科を広い意味でとると、歯科医師に対して恐怖心のある子どもたちや大人、高齢者であれば認知症の方。そして、すごく重い病気のある方、治療をするのに通常では安心や安全を確保することが難しい方を対象とした歯科分野が、障害者歯科になります。今は障害者という言葉は使わず「スペシャルニーズ」といい、特別な配慮が必要な方を診る歯科として知られてきていますね。ですので、対象は幅広く、障害の有無に関わらず、特別な配慮が必要な方に提供する歯科医療ですね。当院の患者さんの割合は55%が障害のある方、43%は定型発達の方、残りの2%は高齢者。障害のある患者さんの中で一番多いのは自閉症やADHDなどの発達障害の方、次に知的障害の方、身体障害の方といった順になります。

言語聴覚士による言葉の発達支援や摂食機能訓練も

実際にはどのように治療を進められるのでしょう。

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まず、その方にとって何が苦手であるかを把握すること。自閉症のすべての方が音に敏感というわけではありません。音は大丈夫だけど、匂いや光が苦手な方もおられますからね。苦手なことがわかれば、その点を配慮した対応ができます。例えば、甲高い音が苦手な方には、赤ちゃんがいない時間帯に予約を入れるといった配慮を。当院は基本的に障害のある方と、ない方の時間を分けて診ることはしていません。とはいえ、トラブルが起きないよう、初診では歯科衛生士が対応している様子を遠くから見て、大丈夫そうなタイミングで介入するなど、さまざまな配慮を行っています。歯が痛くて生活に支障が出ているといった場合は治療を優先しますが、最初の出会いは非常に重要ですので、無理はせずに診療に慣れてもらうことを重視します。

言語聴覚士による言葉の発達支援や、摂食機能訓練も実施されているそうですね。

言葉が遅い、吃音がある、発音がはっきりしないといった子どもに対し、言語聴覚士による「ことばの教室」という発達支援を行っています。7割くらいがダウン症や自閉症などのある方で、小学生の間の6年間でそれぞれの障害に合わせたコミュニケーションの取り方を身につけられるようめざします。残りの3割はタ行やサ行の発音がうまく言えないといった障害のない子も来られます。われわれはお口の中を診ていく過程で見えてくる「患者さんの困っていること」をサポートするのが役目。それが言葉の支援であったり、ダウン症や脳性麻痺の方を中心とした咀嚼や嚥下のサポートを行う摂食機能訓練であるわけです。気管切開をした重度の障害がある子たちにも、訪問診療をしてアドバイスをしています。

まだ受診に至っていない方も多いと思います。最後にその方たちやご家族へ向けたメッセージを。

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子どもも大人も高齢者も、障害があってもなくても、私の診療スタンスはまったく変わりません。困っていることを理解し、それに対しアプローチする。この行動調整は誰にでも応用ができますので、あえてそこに線引きをする必要はないと思っているんです。誰にでも医療を受ける権利があり、その権利を守れるようその手立てを講じるのがわれわれの役目。私は、5歳以上の子で聞く力があれば、本人に必ず治療法の選択肢も説明しています。例えば、自閉症の子には視覚的に理解しやすい媒体を使うなどして、意思決定の支援も。そう言うと難しく聞こえますが、やっていることは「困っていることに耳を傾け、寄り添う」。障害のあるお子さんがおられる親御さんの中には、大きな声を出すから、パニックになるからと、受診をためらっていた方もいますが、そのような遠慮は必要ありません。誰もが医療を受ける権利があります。気軽に受診ください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

小児矯正/25万3000円~
※患者さんによって費用が上下しますのでご了承ください。

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