岸 哲也 院長の独自取材記事
きし哲也歯科医院
(福岡市西区/周船寺駅)
最終更新日:2025/03/12

周船寺駅から歩いて10分ほど、閑静な住宅街の中にある「きし哲也歯科医院」。岸哲也院長のもと、各分野のエキスパートが集結する、地域の中核的存在のクリニックだ。常勤・非常勤含め多数の歯科医師と歯科衛生士が在籍し、チーム一丸となって、乳児から高齢者まで幅広い患者のニーズに応えている。歯科衛生士主体で予防歯科にも注力。充実のスタッフ体制で、治療と予防の両輪ががっちり噛み合った優れた歯科医療の提供をめざす。インタビュー中、何度も「私は人に恵まれていますね」と、患者やスタッフ、恩師、仲間など周囲への感謝を言葉にする姿が印象的だった岸院長。クリニックの歴史や診療方針についてもじっくり聞いた。
(取材日2025年2月5日)
歯科の各分野のエキスパートが集結し、チームで治療
開業は1986年だとか。クリニックの歴史から聞かせてください。

開業から約20年間は、ここからすぐ近くの国道沿いにクリニックがありました。診療チェア3台からスタートし、最終的には7台に。テナントとして入居していたのですがそこに大規模な工事が必要になり、だったら思い切って新しい場所で、クリニックのデジタル化と院内感染対策に徹底して取り組もうと考えました。設計士さんといろんな医療機関を見学に行ったり、感染対策の専門家の先生にアドバイスいただいたりして、2009年こちらへ移転。当時西日本では珍しかった、クリニックの心臓部ともいえる機械室の集中管理システムの他、手術室用空気清浄ユニット、治療中に出る浮遊粉じんを素早く吸引するための口腔外バキューム、3次元画像診断のための歯科用CT、精密治療に欠かせないマイクロスコープを設置するなど、ハード面を整えました。
移転当時これほど感染対策に注力していたクリニックは珍しかったのではないですか?
私の恩師が九州大学歯科口腔外科で特にHIVの疫学研究をされていた方で、感染対策の専門家でした。クリニックを新築する相談をしたところ、非常に実践的な感染対策マニュアルを作ってくださったんです。歯科にはいろんな事情や病気を抱えた患者さんも来られます。患者さんも安心して治療が受けられ、医療者側も安心して提供できる体制を構築することは基本中の基本。移転から15年以上がたった今も、当院の感染対策は時代の先取りをした充実しているものだと自負しています。
在籍している歯科医師も多く、診療体制が充実していますね。

各分野のエキスパート、例えば歯周病や小児歯科、口腔外科、補綴治療、義歯治療、インプラント治療、矯正など、高い専門性を持った歯科医師がそろい、チームで治療にあたっているのも大きな特徴です。地域のお子さんや学生さんから高齢の方まで、患者さんのお口の健康に関するさまざまな問題に、新しい知識と技術をもって適切に対応できる体制を整えています。常勤の先生たちとはもう20年近く一緒に仕事をしていて、まさに人的な財産です。皆、モチベーションが非常に高く、月1回は必ず勉強会をして研鑽を続けています。私は開業した当初から、すべてのスタッフができるだけ働きやすい環境をつくり、患者さんに最善の治療を提供することを目標に掲げてきましたが、それがある程度実現できているのかなと思っているところです。
歯科衛生士主体の予防医療に力を注ぐ
院内は1階と2階で診療のすみ分けをしているそうですね。

1階にはチェアが7台あって一般的な保険診療を、2階はチェア4台で完全個室の手術室もあり、インプラント治療やメンテナンスなどの自費診療を提供しています。移転前はワンフロアで、同じメンテナンスでも保険と自費で使う機材が違ったりして患者さんが疑問に思われ、私も診療の合間で十分にお答えするのが難しい場面が時々あったので、移転にあたって明確に分けました。私は九州大学の歯周病科出身で、歯周病の管理を歯科衛生士主体で行う「歯科衛生士に特化したクリニック」をどうしてもつくりたかったという思いもあります。エアフローという、専用パウダーと水の噴射で歯をクリーニングしていく先進の機材が3台あり、2階で行うメンテナンスではこれを使用。効率的で快適なケアを受けられます。
歯科技工士さんが常駐されていると伺いました。
はい、院内に1人常駐しています。この歯科技工士が非常に優秀で、技工物の精度の高さは当院の自慢の一つ。CAD/CAMによってセラミックの補綴物を設計・作製するシステムも導入しています。すべての技工物を院内で作製しているわけではなく、他に義歯専門やクラウンブリッジ専門の歯科技工所とも契約しており、こちらもすばらしい技術をお持ちなので、助かっていますね。
特に力を入れている分野は何ですか?

私個人としては特にインプラント治療について長年研鑽を重ねており、技術を提供したいと思う分野です。1993年から2009年まで2年に1回ほどフランスでのインプラント勉強会に参加し、ライブオペをたくさん見て先進の技術を学ぶことができました。また日本全国の先生方と横のつながりができたのも大きかったです。インプラント治療は、歯を失ったときの補綴治療として非常にメリットが大きいものですが、患者さんによってはまだまだハードルが高いと感じる方も多いです。それは経済的な面だけでなく、治療の具体的な方法や痛み、将来への不安が大きいように思います。私としてはそこを丁寧にご説明して、ハードルを低くするお手伝いができればうれしいですね。
院長ご自身もインプラントを入れているとお聞きしました。
はい、3本入っていますよ。最初の1本は、インプラント治療の経験がまったくない後輩に入れてもらいました。鎮痛剤は使わずに外科手術を受けたので、どの程度の痛みでどんな感覚なのかを実感できる、貴重な経験になりました。他2本はまた別の先生に入れていただき、今は当院のスタッフにメンテナンスをお願いしています。一度インプラントの周囲に炎症が起きたことがあり、その時は早めのケアを行いましたよ。最初に入れてからもう20年以上もたっていますね。
若い世代にもハードルの低いクリニックをめざす
もともと歯科医師をめざしたきっかけは何でしたか?

私は北九州市の小倉の出身で親が九州歯科大学の先生方と知り合いが多く、「将来あなたも九州歯科大学に行きなさい」とよく言われていて。その言葉がずっと耳の中にあったのでしょうね。でも私は総合大学に行きたいという希望があったので、九州大学歯学部に進学しました。九州大学病院では歯周病科に勤務しました。最初から歯周病に関心があったというわけではなく、私が尊敬する先生がたまたま歯周病科にいらっしゃったので追いかけた、というのが実際のところです。でもそこで歯周病について深く学び、今も懇意にしている先生方といろんな仕事をしたのが非常に良い経験になりました。
患者さんと接するとき、どんなことを大事に考えていますか?
これは私が九州大学病院を退職後勤務していた、東区にある「西原歯科」の院長の言葉なのですが、患者さんは“患”の文字通り、心に串が突き刺さった状態なのだと。私たち歯科医師はただ単に歯を治療すればいいのではなく、患者さんの心に寄り添い、その串を、苦痛を取り除いてあげることが本当の意味で治療と言えるのではないか、と。私はその考えに深く感銘を受け、以来心にとめ置いています。やはり私は恩師に恵まれていますね。
西区の歯科医療をけん引されてきた院長。この機会に後輩の歯科医師の方々に伝えたいことはありませんか?

後輩の皆さんに伝えたいことはただ一つ、特段に背伸びをした治療をしてはいけないということです。自分が技術的にどれくらいのレベルにあるのかを正確に認識し、今のレベルでできる最大限の範囲の治療を一生懸命やることが大切です。私にも経験がありますが、自分のレベル以上の治療をしてしまうと、最終的には患者さんに迷惑がかかります。ですから日々の研鑽は絶対大事。毎日レベルを上げていきましょう。
最後に読者へメッセージをお願いします。
当院は2階まである大きな建物なので、「初めて入るとき緊張した」「ハードルが高いと思っていた」と言われる患者さんもおられます。もう40年近くこのエリアで地道に診療を続けているので、地元の方々には認知されていると思うのですが、最近引っ越してこられた学生さんや若い世代の方々にも気軽に来院していただけるとうれしいです。どんなお悩みにも応えられる体制を整えていますので、安心して相談してください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/37万円~
大人の矯正治療/69万5000円~
小児の矯正治療/32万1000円~
歯のクリーニング/3850円~
※個人個人の症状や症例によって価格は変動いたしますので、あくまで目安の価格となります。詳細の問い合わせは歯科医院までお願いいたします。