吉松 繁人 院長の独自取材記事
吉松歯科医院
(久留米市/御井駅)
最終更新日:2024/11/14

西鉄久留米駅からバスに乗って20分ほどの場所にある「吉松歯科医院」。大きな看板が目印になっている建物の中は清潔で、明るい日差しが差し込む広々とした治療エリアにはアクリル板で仕切られたユニットが並び、スタッフの明るいあいさつが飛び交う。院長の吉松繁人先生は今もさまざまな勉強会に参加し、講演も積極的に行っているアグレッシブな歯科医師。その活力の根底にあるのは「患者の味方であり続ける」という強い思いだ。写真を使った「見える医療」、患者一人ひとりの生活スタイルや持病を考慮し「今後どうなるか」を予測した治療を提案。歯周病治療、インプラント治療、補綴治療など幅広い治療とメンテナンスに力を注いでいる。常に患者のことを第一に考えて行動する吉松院長に、日々どのように患者と向き合っているか、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年10月16日)
数年後も患者が困らない「患者目線の医療」を心がける
歴史あるクリニックだと伺いました。

当院は1962年、「久留米でも東京と同じような最新の医療を患者さんに。患者さんの笑顔がよみがえる治療を」との思いで始まったクリニックです。今も多くの患者さんに来ていただいており、近隣の方の歯の健康診断や虫歯といったごく身近な治療のほか、大分、佐賀、熊本などから紹介でいらっしゃる方もおられます。「いくつもの場所でインプラント治療を受けてきたので、総合的に診られる先生を探している」「この症例は当院では難しいと言われた」など、難しい治療を相談されることもあり、身が引き締まる思いです。当院が最も大切にしているのは、患者さん目線の医療であること。その場限りの治療ではなく、治療後何年たっても患者さんが困らないような治療であり、フォローアップを行う姿勢を貫いています。
その姿勢はどこで身につけられたのでしょうか?
私も若い頃は「最新の治療が最善の治療だ、そうすれば患者さんは満足するだろう」と考えていました。しかし父には「患者さんが喜ぶ治療が最善の治療。全力を尽くし、誠意を込めなさい」と言われました。30年、歯科医療に関わってきた今こそ、その言葉を痛感しています。きれいな治療というのはどの先生でもできて当たり前のもの。でもそれをひけらかす先生も、残念ながらおられます。私が心がけているのは、10年後、20年後、30年後であっても自分が行った治療の責任を取れる歯科医師であり続けるということです。治療時は「数年たって年齢を重ねるとこういうことが起こる可能性があるので、その時はこう対処しましょう」と、必ず治療後のこともお話しします。
今も勉強会に積極的に参加されているそうですね。

私が求めている治療のやり方を具体化してくれたのが、今参加している勉強会です。歯周病や補綴などの領域にかかわらず、とことん突き詰めて学びを深めていく点が、ほかの会にはない素晴らしいところだと感じています。さまざまな知識や技術はもちろんですが、治療の進め方、そして患者さんへの伝え方、接し方まですべて教えてくださるのがこの勉強会の大きな魅力でしょう。この学びを生かし、患者さんがいかに不安に思わずに治療を受けていけるか、そういった点にも十分に注意しながら説明などを行っています。
「次の一手を考えた治療」と「見せる治療」
具体的に患者さんにどうお話しされるのでしょう?

例えば前歯がぐらぐらすると相談された場合、通常であれば歯周病の検査などを行うことが多いでしょう。しかし当院ではエックス線検査のほか、頭部エックス線規格写真の撮影なども行い、全体像を把握し、それを患者さんに見てもらいながらご説明します。治療を行うときに「この治療を受けた数年後にどうなるか」までを考える人はそういないでしょうし、そこまで説明するクリニックも少ないでしょう。しかし当院ではその点を何よりも重要視しています。内科的な治療を受けて抜歯が難しくなる、インプラントを入れた隣の歯が虫歯になって抜歯になるリスクがある、そういった未来予測をお伝えしなければ、結果的にその場しのぎの治療になってしまう恐れがあるからです。
変化を見込んだ上で、治療を提案されるのですね。
その場しのぎの治療だと、何度も治療をただ繰り返すだけになりかねません。そうすると「いつまで自分は治療を続ければいいんだろう」と患者さんは不安になってしまいます。そうならないために今の治療の「次の一手」を考えて治療を提案し、患者さんが自分事として考えて治療を選択できるように努めています。内科などでも「今は食事療法で良いですが、数値がこのラインを超えたら服薬が必要になります」と話をされるかと思いますが、それと同じですね。患者さんお一人お一人の健康状態を予測し、その後も修理やメンテナンス、ひいては再治療が受けやすく、患者さんの使い心地が良いものをめざす。だから「抜歯になるから“取りあえず”そこにもインプラントを入れましょう」などということは、当院ではあり得ないのです。
まさに患者さん目線の治療ですね。

大事なのは「患者さんの困り事を解決する」という意識を持つこと。特に総義歯の場合、食事が取れないことは高齢者にとっては致命的です。もちろん仮歯を入れることになりますが、その際にどのくらいの期間そうする必要があるのか、仮歯の取れやすさなどをきちんと説明していなければ、患者さんは不安を通り越し、治療に対して不信感を抱くことになるでしょう。そうならないために言葉を尽くし、歯1本であろうと頭部エックス線規格写真までも使用しながら「見せる治療」を行う。患者さんが見て、納得するという意識を持つことは、スタッフにもしっかりと伝えています。
「メンテナンスノート」でインプラント難民を防ぐ
歯科衛生士を担当制にしている理由は何でしょうか?

先ほどの「予測」などをお伝えするコンサルテーションを行う際には、患者さんの性格や生活スタイルなどもお聞きしています。その上で、ちょっとのことも気になる心配性の方にはそれに合った歯科衛生士を、というように、その患者さんに最も合った歯科衛生士を選んでいるんです。歯科衛生士が行うメンテナンスでは、患者さんとのお付き合いが長くなっていくのが理想です。急に歯周病が悪化した方に理由を伺ったところ「親御さんの介護が必要になった」などのお話も出てくるでしょう。その方が必要とされているケアを適切に提供するためにも、「この人ならいろいろと話せるな」と思っていただけるよう、今後もこういった工夫は続けていきたいですね。
クリニック独自でされている工夫は何でしょうか?
インプラント治療を受けた方に「メンテナンスノート」をお渡ししています。インプラントが広まってきて長いですが、その分、転居などに伴って最初に治療をしたクリニックに行けなくなり、その後のメンテナンスに困っている方も増えているようです。当院では先を考えた治療をしていますから、インプラントの場合もその一環として、治療に使用したインプラントのメーカーや型番、素材などを写真とともに収めた「メンテナンスノート」というファイルをお渡ししています。これがあれば転居になっても、メーカーもしくはクリニックに尋ねることが可能になり、「インプラント難民」になることは避けられます。また将来もし介護が必要になったときにも役立つのは間違いありません。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

これからわずか5年、10年のうちに歯科技工士の数がぐっと減り、保険診療の補綴物でも今よりもっと治療期間が必要になるといった恐れが現実的になってきました。ただこういったことはあまり知られてはいません。もしクリニック選びに迷っておられるのでしたら、このような情報を教えてくれること、皆さんの治療のその後のフォローまでを考えていることなどを目安にされてみるといいかもしれません。若いうちはチャレンジングな治療になりがちですが、その後も勉強を続け、いつになってもその時身につけている高いレベルの治療を提供しますと、私は日々、患者さんにお約束しています。ぜひそういった先生を見つけてみてください。私もこれからも謙虚に、自分のなすべきことに取り組んでいくつもりです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント1本20万円〜
※メーカー、かぶせ物で金額が異なりますので、詳細はお問い合わせください。