山口 章 院長の独自取材記事
山口歯科医院
(飯塚市/新飯塚駅)
最終更新日:2025/09/11

福岡県の中央部に位置し、炭鉱町として発展した飯塚市。その中心地にある商店街からすぐの場所に構える「山口歯科医院」は、開院から40年以上地域に親しまれてきた。大学の医局で入れ歯をはじめとする補綴治療を専門に学び、その後もインプラント、歯周病、矯正と、歯科治療全般における研鑽を積んできた山口章院長。どんな症状にも対応できるスキルを身につけてきた背景には、「自分の歯で一生過ごせる治療の提供を」という、物腰のやわらかい人柄の奥底に秘めた強い信念がある。めざすは健康寿命延伸に向けた歯の温存。ゆえに「抜かない」「削らない」がモットーだ。「親子3代でおみえになる患者さんもいらっしゃいます」と目を細める山口院長に、これまでの歩みを振り返ってもらいながら、話を聞いた。
(取材日2025年8月7日)
開院から40年以上、地域とともに歩んできた歯科医院
開院から40年以上。振り返ってみていかがですか?

あっという間でしたね。もともとここは大学の先輩が開院していた歯科クリニックだったんです。3年ほどたった頃にある事情で閉院されることになり、お話をいただいたのが始まりでした。当時はすぐそばの商店街も活気のある時代。人通りも多く、いろんなお店が並んでいました。時代の流れとともに、近くにショッピングモールができたり、地域の高齢化も進み、この辺りも徐々にシャッターの閉まった店舗が増え、昔のようなにぎやかさはなくなりましたが、開院当時から診療内容や技術で評価されたいと思い取り組んでまいりましたので、おかげさまで親子2代、3代というふうに、ご家族で長く通ってくださる方が多いです。そういったことからも40年という月日の流れを感じますね。
院長はお隣の田川のご出身で、大学は九州大学の歯学部へ進学されたと伺いました。
田川で生まれ育ちまして、直方の鞍手高校、九州大学と進学。卒業後は大学の補綴科に入局しました。まだインプラント治療はまったくの黎明期。そんな中、日本で早くからインプラント研究に取り組んでいたことで知られるアメリカ留学の経験がある教授がいたことも、医局に残った理由の一つでした。教授のおかげで早い段階でインプラント治療のスキルも磨けましたし、入れ歯をはじめとする補綴治療も研鑽を積ませていただいた後、1982年の開院に至ることができました。とにかく何でも対応できる歯科医師を目標としていましたので、当時から診療は子どもから高齢者まで幅広く行い、インプラント治療も実施。入れ歯治療も得意としていますが、どうしても欠損歯以外の歯に負担がかかってしまいます。最初は部分入れ歯でも最終的には総入れ歯になるというのが当時の宿命でしたので、残った歯を温存するために、インプラント治療にも力を入れて取り組んできました。
では、治療全般において重視されているのは「天然歯の温存」でしょうか。

自分の歯に勝るものはありませんからね。歯周病や矯正にも注力し、歯科治療全般に対応できる歯科医院というのが当院の強みで、治療においては「抜かない」「削らない」がモットー。いかに天然歯を温存できるかにこだわり、診療を行っています。インプラントは失った歯を補う治療であると同時に、他の健康な歯を守るための治療でもあります。入れ歯もインプラントも歯を欠損したことで起こる咀嚼障害に対するリハビリテーションの道具なんですね。歯を失った時点で歯科医師としては敗北だと思っているので、そうならないための歯周外科や再生治療を含めた歯周病治療や、噛み合わせへのアプローチなどにも力を注いでいます。
診療は「早期発見」から「早期リスク診断」へと変化
歯を失わないための予防ですね。

以前は「早期発見・早期治療」というのが基本でしたが、今は「早期のリスク診断・定期管理」へと変化しています。一人ひとり生活習慣も食生活も異なるわけですから、その方の今後起こり得るリスクを診断し、それを軽減するための策を講じます。トラブルを引き起こす大きな要因の一つに噛み合わせもありますので、そこも注意して診ていきます。歯並びが悪いと歯周病や虫歯のリスクが向上するため、矯正も実施。例えば口が閉まらない不正咬合であるオープンバイトは、口腔内が乾燥することから歯周病や虫歯のリスクが高まります。幼少期に顎を広げるための矯正を行うことで、自然と正しい位置に永久歯が生えてくることが見込めますので、子どもの頃にある程度の見極めがつく場合は積極的に行うのが一番だと考えます。早い段階で正しい噛み合わせや歯並びをめざすのが望ましいでしょう。
子どもから高齢者まで、歯を守るためのさまざまなアプローチをされているとか。
多様なニーズにお応えできる環境は整っていると思いますので、日々一般歯科診療はもちろん、お子さんの矯正から高齢者のばねのない入れ歯やインプラントまで幅広く対応してます。選択肢が豊富なので、患者さんのご希望に合う対応をご提示しやすい環境だと自負しています。矯正については、幼少期は顎を広げていく拡大装置を用いた床矯正がメイン。子どもの頃にある程度歯が正しく生えそろう環境を整えることが望めますので、床矯正だけで終わる場合もありますし、もう少し矯正を続けたほうが良いと判断した場合は成人矯正と同じように、ワイヤー矯正をすることも。正しい口腔環境は、歯が長持ちすることにもつながりますので、最終目標は地域の健康寿命の延伸。飯塚歯科医師会の顧問として、口腔の健康が全身の健康につながることを繰り返しメッセージとして地域に発信もしてきました。ご自身の歯で一生過ごせるのが、健康で長生きできる秘訣だと考えます。
地域での予防啓発などにも尽力されてきた中、先生ご自身はどのようにリフレッシュされているのですか?

これといった趣味というのはないのですが、大好きな洋楽を聴くことがリフレッシュになっているのかもですね。実は歯科医師になる前は音楽雑誌の編集者になりたいと思っていました。高校時代はロック研究会をつくって初代部長を務めたくらい没頭。なぜ演奏者ではなく編集者かというと、ブラスバンド部に入った時に自分の才能の限界がすぐにわかったんです。やっぱり才能がある人は違うんですよね。それで音楽雑誌の編集者という道が浮上したのですが、家族から音楽関係で食べていくのは難しいからと猛反対されまして。泣く泣く諦めたという(笑)。でも、それは正解だったと思っています。歯科医療ってやりがいがあって本当に面白いんです。歯科医師になって良かった。心からそう思っています。
めざすのは「自分の歯で一生過ごせるための診療」
そのお気持ちは、今もなお新しい治療などの研鑽を積まれていることからも感じられます。

追求心は絶えませんね。もっとうまくなりたいといつも思っています。何事も臨床経験が重要だと思っていますので、現役である限り勉強し続けたいと思っています。あとは、この先も皆さんに笑顔で来ていただけるような歯科医院であらねばと。それは日々心に留めて診療しています。皆さんが来てくださることで、地域の方々との交流も深まりますからね。人と話すことは大事なこと。洋楽好きの方がいらしたら声をかけてください。レコードやCDは山ほど持っています(笑)。
患者さんと楽しくお話しされている姿が目に浮かびます。
共通の好きなことについて話ができるのはうれしいもの。楽しみですね。今回、これまでの歩みを振り返りながらお話しすることで、思っていた以上にいろいろあったなと。商店街が火事になったり、大水害で下の階が浸水したり、楽しいことばかりではありませんでしたが、先輩との出会い、患者さんとの出会い、人との出会いには本当に恵まれました。ありがたいですね。ここもリフォームして30年以上たちますが、きれい好きもあってか、変わりなく使えています。開院から40年以上、いろんなことがありましたが、この先10年は現役でいたいと思っていますので、まだまだ勉強。高いスキルが求められる治療もできるようになったから終わりではなく、さらにうまくなりたいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

今、当院に来てくださっている方は、自分の歯で一生食べられるようにというお気持ちで来院される方がほとんどではないでしょうか。私の想いも同様です。皆さんがご自身の歯で一生過ごせることが歯科医師である私の役目だと思っていますので、そのためにさまざまな症状に対応できる技術も身につけてまいりました。何か気になることがあったり、できる限り自分の歯で食事がしたいと思われている方は、ぜひいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/30万円~、小児床矯正/15万円~、小児ワイヤー矯正/25万円~、成人矯正/50万円~、ノンクラスプデンチャー/10万円~