馬場 聡 院長の独自取材記事
はち歯科医院
(大野城市/春日原駅)
最終更新日:2021/10/12

大野城市川久保の県道60号線沿いにある「はち歯科医院」。「子どもと大人の歯医者さん」をテーマに掲げ、0歳から100歳まで誰もが通えるクリニックとして、心の通った歯科医療の提供に取り組んでいるクリニックだ。スタッフは、なんと総勢30人。「歯科医師はもちろん、予防歯科のスペシャリストである歯科衛生士や、育児の悩み相談を受ける保育士まで幅広いスタッフがそろっているのが当院の特徴なんです」と、馬場聡院長は話す。同院で大切にしているのは、歯が生え始める前から口腔機能をつくり上げていき、その機能を長く維持していくこと。そのために患者やその家族の心情に寄り添い、生活背景にまで目を向けた診療を大切にしているそう。優しい笑顔が印象的な馬場院長に、診療にかける想いを聞いた。
(取材日2021年2月17日)
歯が生える前からの口の機能を育てる
クリニックの概要について教えてください。

コンセプトは「0歳から100歳までを診る、地域医療の中核を担うクリニック」です。赤ちゃんの口腔育成から、訪問診療まで、幅広い診療を行っています。クリニック名の「はち」には、末広がりの「八」や虫の「蜂」、歯を知るの「歯知」などさまざまな意味が込められています。当院の一番の特徴は、歯科医師や歯科衛生士など合計30人のスタッフが在籍していることです。患者さんの幅広いニーズに応えるために多彩なスタッフがそろっています。一般診療から口腔外科、小児歯科、矯正歯科、訪問診療、インプラント、審美歯科とさまざまなニーズに応えられるよう、専門スタッフが在籍し環境を整えています。また歯のかぶせ物を作る技工所もあるので、広範囲な治療に対応できます。
特に注力されているのはどの分野ですか?
小児歯科です。その中でも歯が生える前の0歳児からの診療に力を入れているんです。実は歯医者さんの仕事は歯を守るだけが仕事ではありません。口の機能を育てたり、守るのも歯医者さんの重要な仕事です。口の3大機能に「食べる」「話す」「呼吸する」があります。口は人間が生きる上でとても大事な機能を担ってます。だからこそ、口の機能を育てることは歯医者さんにとって大事な仕事の一つです。また、ここでの口の発達は将来の歯並びにも影響します。とても大事だとは思いませんか? これまで歯科医師の先輩方が予防歯科に力を入れてくださったおかげで、むし歯のある子どもの数は昔に比べるとずいぶん減りました。それと同じように、歯が生える前から機能を育てることをもっと普及させて、健康増進につなげていきたいというのが私の願いです。
乳幼児からの口腔機能を育てるために、具体的にはどんな取り組みを行っていますか?

実際には、授乳がきちんとできているのか、口の発達と体の発達のバランスがとれているのか、離乳食は食べれるようになっているのか、離乳食の方法は大丈夫か、呼吸がしやすいような口になっているのか、話せるような口になっているのか、むし歯ができにくいようなお口になっているのか、唾液がでやすいお口なのか、唾液はちゃんと飲み込めてるのか、口の中が感受性豊かに育ってるのか、などをチェックして、その子に合わせてサポートしていきます。口腔機能の発達には、その子の生活環境なども大きく関わってきます。お父さん、お母さんに対してその子に合った情報をお伝えし、興味をもって取り組んでいただくことが大切です。インターネットで調べればいろんな情報が出てきますが、どれが正しいのかわからない、誰に聞けばいいのかもわからないとお困りの方が少なくありません。そんな中、親身になって相談に乗ってくれる場所があれば安心できると思います。
さらにはどんなことで小児をサポートされてますか?
行政や地域の助産師さんや、医科の先生との連携ですね。地域で支えることがとても大事だと思ってます。多くの人が関わることで支援の輪が広がることを年々感じています。それと、遠方からも来ていただいているのですが、どうしても来れない県外の方などはオンラインサポートも行っています。詳細についてはホームページに記載しています。
患者一人ひとりが持つ「物語」に着目
診療の際に大切にしていることは何ですか?

安心できる環境をつくることです。どんなに良い治療を提示されても、私は自分が嫌だなと思う先生に治療はされたくないですし、その場所が衛生的に受けつけなければ、やはり治療されることは望みません。だからこそ、患者さんが安心できる環境をつくることはとても大事です。初めて来た患者さんには、丁寧に説明したり、話を聞いたり、時には私の話も聞いてもらったり(笑)。気づいたら2時間過ぎていることも多くあります。それはお互いが安心できる環境をつくるためです。患者さんにとってだけでなく、私たちも患者さんのことを知ることで安心して治療をできます。まずはお互いが安心できる環境をつくる、これが私が最初に必ずしないといけないと思っていることです。そしてもう一つは、患者さんには物語があるということを理解することが大事です。多くの患者さんは同じむし歯で来ても、全然違う状態のことが多いです。
「物語」とはなんでしょうか?
むし歯で患者さんが来たとします。そのむし歯が2歳のむし歯なのか、80歳のむし歯なのかで、同じむし歯なのですが、むし歯になった経緯も違うし、状態も違うし、治療の方法も違います。その後の予防の方法も違います。この考え方を「ナラティブ・ベイスド・メディスン」、つまり「物語に基づいた医療」といいます。患者さんの背景を読み取り、一緒に病気に向き合い、患者さんに寄り添う。私たちが大事にしている考え方です。私たちが大事にしていることが3つあります。「家族」「教育」「物語」です。その中でも治療で大事なのは「物語」です。そして、その「物語」を支えるのが「家族」です。子どもであれば特に、家族の支えなしに健康にはなれません。だからこそ家族の存在は大事です。
「教育」とはどのような考え方なのでしょうか?

「教育」は患者さんに伝えて、知ってもらい、実行してもらうことです。1年のうちに、私たちが患者さんの口の中を診られるのはせいぜい10日程度です。それ以外の355日はご自身で管理する必要があります。例えば風邪なら治療すれば元どおりの健康な体に戻ると思いますが、歯の疾患はそういうわけにはいきません。私たちができるのは修理です。私たちが治療しても歯が元どおりに、むし歯の前の状態に戻ることはないのです。そして、100歳まで生きるとすると、大人の歯に生え替わってから90年近く自分の歯を守り続けなければいけないということになります。10歳の時に治療したら、後の90年、修理した歯で過ごさないといけないのです。だからこそ、正しい病気の知識と、一人ひとりに合わせた歯の守り方をお伝えして、歯と体の健康維持に役立てていただきたいと考えています。
患者の笑顔を見たい
歯科医師としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?

患者さんから笑顔をいただくときですね。歯並びの治療が終わったお子さんから、「先生、見てー!」と笑顔で言われると、歯科医師で良かったと感じます。また訪問診療で、入れ歯を新しくして、食べるトレーニングをした患者さんの、笑顔でお食事を召し上がっている姿を見ると、歯科医師としてもチームとしても喜びを感じます。歯科医師にはたくさんの役割があるなと常日頃から思い、たくさんの笑顔を見れることが私の目標です。
今後の目標を教えてください。
引き続き当院でたくさんの患者さんを診ていくことはもちろんですが、当院だけではできないこともあります。私のクリニックでは患者さん、従業員、地域が良くなる3方良しをめざしています。地域が良くなるためには、地域の先生方と連携する医療連携と地域をともに盛り上げる企業連携などが今後の目標になります。地域に根差した歯科医療をこれからも掲げ、地域貢献を行い、少しずつでも住みやすい社会をつくっていけるといいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

歯科医療は生活の医療です。どんな些細なことで来ていただいても歓迎されるところです。生活する中でいろいろなお悩みが出てくると思いますが、気になることがあればいつでも安心してお越しください。それから、皆さまには安心して治療を受けられるクリニックを選んでいただき、できればずっと歯科医療と関わり続けてほしいですね。何でも相談できて信頼できる歯科クリニックを見つけてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは唾液検査:1100円~
歯列矯正、口腔育成:11万円~
インプラント治療:15万円~
セラミッククラウン:6万円~