一木 いず美 院長、一木 数由 副院長の独自取材記事
門司歯科医院
(鳥栖市/田代駅)
最終更新日:2025/04/10

JR鹿児島本線田代駅から12分ほど歩くと、「医療法人健栄会門司歯科医院」が見えてくる。開業は1934年と長い歴史を持つ歯科医院で、現在院長を務めるのは、祖父・父の後を継いで3代目院長となった一木いず美先生だ。一般歯科や予防歯科をはじめ、小児歯科、矯正歯科、インプラント治療、訪問診療にも対応し、一木数由副院長とともに、歯科医師7人体制でクリニックが掲げる総合歯科診療に取り組んでいる。気さくな雰囲気のいず美院長と穏やかな印象の数由副院長に、同院の歴史や診療内容について話を聞いた。
(取材日2025年2月14日)
世代を超えて、地域に歯科診療を提供
開業したのはいつですか。

【いず美院長】当院は私の祖父である門司貞男が1934年に開業しました。今年で開業91年になります。最初は鳥栖市田代新町に開業し、1938年に現在の田代上町へ移転しました。当時はまだ医療保険制度が始まっておらず、「歯が痛くなったらすぐ歯科医院へ行く」という習慣もあまりなかった時代だと聞いています。その後、1974年に私の父の門司健が2代目院長となり、私自身は大学卒業後に他の病院やクリニックで経験を積んだ後、1995年に父の後を継ぎました。現在の建物は1965年に新築し、その後2005年に増改築しました。現在は2階建ての院内に、12の個室診療室を備えています。
非常に長い歴史があるんですね。患者さんも長く通われている方が多いと聞きました。
【いず美院長】そうですね。おばあちゃんからお孫さんまで、3世代にわたって通ってくださる患者さんが多いです。海外に移住されてからも、帰国すると来てくださるような方もいます。歯科医院に行くことにハードルの高さを感じる方も多いですよね。当院はスタッフにも長年勤めている人が多く、患者さんとも顔なじみになっているので、そういった面でも安心感を持ってもらえるようです。
【数由副院長】私は小児歯科を担当していますが、園児の頃から診ていたお子さんが、今では社会人になっているということも多いです。一般的に小児歯科は18歳くらいまでというイメージがありますが、当院では20歳を超えてもそのまま私が診ている患者さんも少なくありません。長いお付き合いができるのは、とてもうれしいことですね。
診療の方針で、長く受け継がれていることはありますか。

【いず美院長】患者さんのお口の健康を第一に考えるということです。祖父も父もとても厳しい人で、患者さんにも「これではいけないよ」とはっきり伝えていました。でも、それはすべて患者さんのお口の健康を考えてのことです。ただ、「こうしなさい」と押しつけることはしません。患者さんに歯を見せて、状態を実感してもらっています。父は歯科衛生士の専門学校も運営していたため、「口の中をきれいにする」という意識がとても強かったんです。私は、患者さんの口の中をきれいにして、気持ち良く帰ってもらうことが歯科医院の役割だと考えています。それが私たちの願いであり、患者さんの願いでもあるはずです。そのために当院では、今でも歯科衛生士が診察前に必ず患者さんの口の中をきれいにするよう徹底しています。
総合歯科診療でさまざまな主訴に対応
主訴に合わせて専門の歯科医師が治療を担当する、総合歯科診療を提供しているそうですね。

【いず美院長】はい。当院では、一般歯科・小児歯科・矯正歯科・口腔外科・インプラント治療・訪問歯科などの診療に対応しており、それぞれを専門分野とする歯科医師が治療にあたっています。今当院に在籍している歯科医師は7人です。それぞれの歯科医師が専門分野を持っており、治療の内容によって担当する医師が変わります。私は矯正や噛み合わせ治療を担当しています。
【数由副院長】私は小児歯科専門ですが、虫歯の治療がメインになります。お子さんでも矯正をご希望される場合は、矯正を専門としているいず美院長に担当してもらいます。
噛み合わせ治療というのは、具体的にどのような治療になるのでしょうか。
【いず美院長】噛み合わせ治療は、何らかの理由で歯を失い、しっかり噛めなくなってしまった方のための治療です。歯が残っていれば矯正という選択肢もありますが、歯がない場合は、噛む場所をつくらなければなりません。まず、入れ歯を使うなどして噛み合わせを調整し、最終的にはブリッジやインプラントによる治療を行います。ただ、インプラント治療によって噛み合わせが変わる方もいます。新しく噛める場所ができることで、今までよく使っていた歯を使わなくなり、その影響でバランスが崩れる場合もあるからです。そのため、全体の噛み合わせを整えていく必要があります。当院ではこれを「リハビリテーション」と考えています。単に噛めるようにするのではなく、歯がなくなる前の噛み合わせをめざすことが大切です。
予防歯科にも力を入れていると聞きました。

【いず美院長】はい。ただ、当院では、患者さんにブラッシング方法を細かく指導することはあまりありません。もちろん、患者さんからご希望があればブラッシングの指導もします。しかし、基本的には歯科衛生士が丁寧にクリーニングをすることを通して、患者さん自身にお口をきれいにしようという意識を持っていただきたいと考えています。ただし、大切なのはきれいな状態を維持することです。そのために定期検診が必要になるのです。当院では、患者さんの性格やお口の状態に合わせて定期検診の間隔を調整しています。例えば、日頃のケアがしっかりできる方は半年に1回程度のペースで十分ですが、自分では上手にケアできないという方には、毎月定期的にメンテナンスに来ていただいています。
今後も地域の歯科医院として診療を続ける
歯科衛生士が患者さんの口の中の状態を把握しているということですね。

【いず美院長】そうですね。患者さんのお口の中の状態は、その人の生活習慣にも大きく影響されます。例えば、仕事が忙しくて夜遅くに食事をしたり、家族の介護で自分のケアが後回しになっていたりすると、お口の中にもその人の生活が現れます。歯茎を見て「この人、ちゃんと寝てるかな?」と感じることもありますね。睡眠不足になると、歯茎が炎症を起こして赤く腫れることもあるんです。歯茎の炎症を放っておくと、歯周病が進む可能性もあるので、そういう患者さんには定期検診の間隔を少し短くして通院していただくこともあります。
患者さんに接する際は、どのようなことを意識していますか?
【いず美院長】患者さんの気持ちに寄り添うようにしています。昔から通ってくださっている方には、親戚のような感覚で接することが多いですね。また、診察室を完全個室にし、患者さんが安心できる空間をつくるよう心がけています。診療に関しては、現在・過去・未来の順に患者さんに歯の状況をお伝えするようにしています。包括的な治療を前提としているので、私たちからは状況を説明し、治療の選択肢をご提案。そして、患者さんご自身で選んでいただくということを大切にしています。
【数由副院長】うそは言わないということです。例えば、「治療は痛い?」と聞くお子さんにも、安易に「痛くないよ」などとは答えないようにしています。そもそも「痛い」という言葉は極力使いません。不安を感じているお子さんに対しては、納得してもらえるまできちんと話をし、治療を受けていただくよう心がけています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【いず美院長】当院が現在の規模まで成長できたのは、長年にわたり通院してくださっている患者さんのおかげです。これからも、地域の皆さんに信頼され、安心して通い続けていただけるクリニックであり続けたいと思っています。時代とともにクリニックの形が変化したとしても、当院が大切にしている「患者さん第一」という思いは変わりません。この思いを次の世代にも引き継いでいけるよう、これからも努めていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/34万1000円~、矯正治療/97万9000円~、セラミック/3万円~、ホワイトニング/3万4100円~