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田口 榮一 院長の独自取材記事

田口歯科医院

(東諸県郡綾町)

最終更新日:2022/05/11

田口榮一院長 田口歯科医院 main

宮崎平野の農の要の地であり、照葉樹林都市として知られる綾町中心部の住宅地にある「田口歯科医院」。1984年の開業以来、間もなく40年を刻む。家族全員が安心して通える地域密着の歯科医院をめざし、アットホームな雰囲気を大切にしているという田口榮一院長。治療方針である「神経を抜かない、歯を削らない」という治療に共感する患者が県内外から訪れているという。「80歳を過ぎても、なるべく自分の歯で噛めるような治療をしたい」と語る田口院長。得意とする歯周病治療から、長年担当をしている学校歯科医のこと、そして開業の経緯など、ざっくばらんに幅広く聞いた。

(取材日2022年4月2日)

天然の歯を残すための治療を提供したい

なるべく歯を削らない、神経を取らない治療ということを方針にしていらっしゃると伺いました。

田口榮一院長 田口歯科医院1

虫歯など、お口のトラブルに対するスタンダードな治療は、神経を取って痛みを感じさせなくするというものです。でも、削った歯とそうでない歯とでは、削られた歯のほうが早く失うことにつながってしまうことが統計学的にわかっています。特に神経を取ってしまった場合は早く失われます。そういったことから、神経は取らない、歯も削らないということを治療方針としています。このような治療法を求めていらっしゃる患者さんは多いようで、当院にも歯を抜きたくないという理由で、遠方からおみえになる患者さんがいらっしゃいます。

力を入れていらっしゃる歯周病の治療でも同じですか?

歯周病の治療を行う上で大切なことは、2つあります。一つは、歯茎からの出血、炎症をコントロールすることです。もう一つは、噛み合わせを調整すること。まだ歯周病についてあまり知識がなかった頃は、手術をして歯を抜いていました。問題のある歯を抜いて痛みを取ってあげたほうが、患者さんにとってもいいと思っていたんですね。でも、手術後の数日は日常生活に支障がある方がいらっしゃったり、手術の痛みがひどい方がいらっしゃるなど、どうしても患者さんの負担が大きくなってしまいます。他に最適な治療法があるのではないかと考え、海外から文献を取り寄せるなどして、先端の治療法を勉強しました。今は手術はほぼ行わず、先ほどお話をした出血と炎症のコントロールと、噛み合わせの調整を図り治療をしています。

具体的にどのように治療されるのですか?

田口榮一院長 田口歯科医院2

歯周病の原因は菌です。歯周病菌がすみかを作る歯石などをきれいにすると、必然的に歯周病菌は少なくなり炎症が起こらなくなることが期待できます。その状態をコントロールして保っていく、という治療をします。治療後も定期的に通っていただき、経過を観察させていただきます。1年に1回はエックス線を撮らせていただくことで、患者さんと一緒に骨の状態などを数年前の写真と比較して確認をします。エックス線写真は目で見てわかるので、皆さんにも実感していただきやすいのではと思います。一人でも多くの方にずっとご自身の歯で噛んで食事をしていただけるようにすることが、私の目標です。

子どもの歯の環境を整えるため、行政と連携

綾町在住のお子さんの診療も積極的になさっているんですよね。

田口榮一院長 田口歯科医院3

学校歯科医として、保育園から中学校までのお子さんを担当しています。大変ですが楽しいです。ライフワークだと思っています。以前は虫歯のお子さんが多かったのですが、今は減ってきたと感じます。その理由の一つに歯科検診の健診方法の変化も関係あるのではないかと思っています。以前は器具を使って虫歯と思われる歯の穴を触ったりしていましたが、そうすることで虫歯が進んでしまうことがあることがわかってきています。今は目で見て虫歯かどうかを判断し、歯に触ることはありません。例えば、少し茶色い部分があるけど穴はない場合は初期段階と判断し、その場合は、必ずカルテに書いて経過観察をするなどしています。

学校歯科医活動について教えていただけますか。

今は感染症対策で行けなくなっていますが、月に何回か歯科衛生士さんと一緒に学校に行き、ブラッシングの指導などもしていました。今でも小学校と中学校では昼食後にブラッシングをすることを続けていただいています。他校からいらっしゃった先生からは、綾町の子どもたちは歯磨きをよくするからか虫歯が少ないと感じますと言ってくださいます。

もともと虫歯のお子さんは少なかったのでしょうか。

田口榮一院長 田口歯科医院4

いえ、綾町は宮崎市内と比べて虫歯の率が高かったんです。私が綾町に来て開業した当初は、小学校に入る前のお子さんのほとんどに虫歯の症状がありました。それがショックでなんとかしないといけないと思い、当時の町長に「虫歯ゼロをめざします」と宣言しました。町長も歯は大事だと思っていらっしゃって、行政も積極的にバックアップしてくださいました。歯科推進教育会が発足し、保育所の所長さん、幼稚園の園長さん、小学校と中学校の養護教諭の先生、中央保健所の方と私たちで年に何回か話し合いを持つようになりました。虫歯をゼロにするというのは難しいことですが、一生自分の歯で食べられるように健康な歯で育ってほしいと思います。

地域密着の診療で、住民から愛される歯科医院に

先生は宮崎市内のご出身ですが、なぜ綾町で開業をされようと思われたのでしょうか。

田口榮一院長 田口歯科医院5

大学を卒業してから、勤務医として宮崎市内の歯科医院で働いていました。患者さんと接するうちに歯科医師として何ができるのかと考えるようになり、虫歯を少なくする予防歯科など、歯を削ることだけではない仕事をライフワークにしたいと思いました。その思いを実現させるには、宮崎市内よりも地域の中で歯科医師として働くほうが良いと考えました。開業を決意して場所で悩んでいたのですが、綾町の静かな環境が気に入り、ここで開業することにしました。この土地だからこそ今のような診療ができ、患者さんと良い関係が築けているのだと思います。私は過労が原因で倒れたことがあるんですが、退院後戻ってくると患者さんたちから仕事をセーブするように言われました。私のことを心配してくださっているからこその言葉だと思います。皆さんいい方ばかりで、この町で開業して良かったと思います。

すてきな関係性ですね。こちらにいらっしゃる患者さんの症状で、最近目立つものはありますか。

昔と比べて虫歯が減ってきた分、歯周病や噛み合わせのトラブルが目立ちますね。噛み合わせについては、パソコンやスマートフォンに触る時間が長くなっていることが原因だと思います。パソコンやスマートフォンを触る時、ほとんどの方が口を閉じて歯を噛みしめ、下を向いていると思います。そういう状態を長く続けると、どうしても噛み合わせの負担が大きくなります。その結果、肩こりとか姿勢に影響が出てくる場合もあります。症状に合わせた治療を提供できるよう、噛み合わせについてもかなり勉強をしました。休日は講習会や会議などで、自分の知識と技術を向上させるよう努めています。歯科衛生士さんの技術向上にも力を入れています。講師の方に月に一度来ていただき、勉強会を開くことを2年間ほど続けたところ、皆さんかなり技術が向上しました。

先生もスタッフの方も勉強熱心なんですね。治療をする際に心がけていることなどを教えてください。

田口榮一院長 田口歯科医院6

トラブルの原因をしっかりと考えてから治療をするようにしています。痛みがある場合は、その痛みが虫歯からきているものなのか、歯周病からなのか、噛み合わせからなのか、ということを分析してから治療をします。そして、当たり前ですが治療が原因で新たな問題が生じないようにも気を配っています。また、患者さんになるべくリラックスしていただくことも心がけています。完全個室の診療室を10年くらい前に増築しました。眠ってしまわれる方もいらっしゃるくらいなので、リラックスしながら治療を受けていただいていると思っています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

歯科医院ごとに治療方針などの特徴があると思います。自分に合う先生が見つかったら、信頼して定期的に通ってほしい。虫歯など何か問題があるから歯科医院へ行くのではなく、そうなる前に予防的に通っていただくことが理想です。以前はお口のトラブルを早期発見して早期治療をすることを考えていましたが、今は早期発見して予防をする、リスクをコントロールすることが大切だと思っています。お口の機能は健康寿命にも関わるとても重要なものです。自分の歯で食べる喜びをできるだけ長く感じていただくためにも、ぜひ定期的に歯科医院へ通っていただきたいと思います。

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