楊 道春 院長の独自取材記事
あさひデンタルクリニック
(鹿児島市/谷山駅)
最終更新日:2024/08/09
谷山駅から徒歩12分、住宅地の中の爽やかなブルーの建物が目印の「あさひデンタルクリニック」。1990年の開業以来、地域住民の口腔の悩みに寄り添ってきた同院は、虫歯や歯周病治療をはじめとした歯科全般の治療に幅広く対応している。「歯に限らずどんなことでも相談してほしい」と繰り返し語るのは、院長の楊道春先生だ。その懐の深さを頼って遠方から訪れる患者も少なくない。楊院長が掲げる最終目標は、患者の口の健康を生涯にわたり守っていく「かかりつけ歯科医院」。そのために定期的に通う患者の予防ケアにスタッフとともに全力で取り組んでいる。そんな楊院長に歯科医師としての信念やモットー、患者への思いを聞いた。
(取材日2024年7月18日)
患者の歯を生涯にわたり守る「かかりつけ歯科医院」
地域の様子や患者層を教えてください。
この谷山地区は、古くから住んでいる人に加え新しい人たちがどんどん入ってきて、人口減少の中にある鹿児島市でも住民が増えている地域です。1000人を超える生徒数の小学校があるくらい子どもが多い場所です。当院は、家族ぐるみでいらっしゃる患者さんが多く、とてもありがたいと思っています。お子さんから親御さん、おじいさん・おばあさんまで、年齢的には0歳から90歳代までいらっしゃいます。近隣の方が多いですが、紹介によって種子島や薩摩川内市、大分県臼杵市からお越しになる方もいます。お悩みとしては、虫歯や歯周病、入れ歯についてが多いですね。とはいえ、地域に密着するクリニックとして、患者さんからのご要望には何でもお応えする心構えで、今まで診療を続けてきました。
待合室に大きく掲げられている「かかりつけ医」宣言について伺います。
こちらは私が長い間信念として抱き続けているものです。私たちは、患者さんを生涯にわたりお世話していく「かかりつけ歯科医院」でありたいと願っています。というのも、勤務医時代にある一定期間は定期検診にいらしていた患者さんが、いつの間にか来なくなり、ある日突然再来された時にお口を拝見して、がくぜんとしてしまうことが何度もありました。そうならないように、こちらも「この患者さんを一生診続けよう」という心構えで臨もうと決意したのです。悪い所は治療しなければなりませんが、患者さんの末永い歯の健康のためには「治療した後」こそ本当のスタートです。治療してからいかに長くその状態を保てるか。それにより生涯にわたって快適な食生活、ひいては楽しい人生を送ることができるのでは、と考えています。
開業前の歩みの中で、印象に残っていることはありますか?
九州大学歯学部に在学中に、就職先を探す中で、熊本県天草市の中村歯科医院を見学させていただきました。その技術や患者さんからの信頼に驚き、ここで学ぶしかないと直感しました。そして院長の中村社綱先生に「ここで5年間修行をしますので、どうか私を一人前の歯科医師にしてください」と直談判したのです。そこから年間計画を立ててもらい、一般歯科から歯科口腔外科までの広い領域の技術を学びました。技術はもとより、特に学んだのは、診療に向かう心構えです。「患者さんがいらっしゃる限りは弱音を吐いては駄目だ」と語られ、どんなに具合が悪くても休むことなく患者さんに尽くす姿勢を間近で見ることで、自分の根性をたたき直されました。5年間で開業に必要なことをしっかり学ばせていただき、1990年に当院を開業することができました。中村先生なくしては、今の私はなかったと思います。
自分の家族に接するように大切に患者を診る
診療で心がけていることを教えてください。
自分の家族に接するように診療することを、モットーにしています。とにかくアットホームな雰囲気を大切に、リラックスして心から信頼していただきたいので、スタッフにも「自分の親が来ているつもりで患者さんを大切にしよう」といつも伝えています。普段の診察では主訴をもとに、その方が何を望んでいるのかを丹念に伺いながら、ゴールを考えています。患者さんの中には、あまり先進の治療をしたくない人もいれば、徹底的に治療したい人もいます。そういった真意や費用、期間などをトータルで考え、でき得る治療の選択肢を提示し、適切な方針を一緒に考えるようにしています。そのように丁寧なコミュニケーションを心がけ、信頼関係がきちんと築けた状態で治療を開始するのが望ましいと思っています。対話を重ねる中で、かかりつけ医として通ってくださっている患者さんのお顔を見ただけで、お口の状況がなんとなくわかるようになってきた気がします。
こちらでは予防を重視していると伺いました。
はい。予防が一番重要であることは、開業当初からずっと言い続けてきました。当院の患者さんはその意義を理解している方が多く、クリーニングだけに来られる方が本当に大勢いらっしゃいます。歯が十分に磨けていないと歯垢がたまり、さらに歯周ポケット内で歯石化して歯周病を引き起こし、気づかないうちに進行してしまいます。しかし、ご自身だけで理想的な歯磨きをするのは困難なので、やはり歯科医院でのプロによるケアを取り入れる必要があると考えています。特にご高齢の方は歯周病の進行も早まりますし、知覚過敏になったり歯茎がゆるんだりすることもあるので、小まめな点検と噛み合わせの調整を図っていく必要があるでしょう。当院では、患者さんの磨き具合からクリーニングの頻度を提案し、一人ひとりに合わせたブラッシング指導も行っています。末永い歯の健康のために、今後もぜひご活用いただければと思います。
子どもの診療で心がけていることはありますか。
痛みがある場合を除き、まずは治療に慣れてもらうようにしています。具体的には、親御さんも一緒に同席してもらって、歯磨きの指導から始まり、慣れてきたら少しずつ器具の練習をします。タービンやミラーなどをお口に入れ、「こんなふうに診ていくよ」と体感してもらって、大丈夫そうなら治療を開始します。お子さんのペースに合わせて無理せず気長にやっていけば、大方のお子さんは落ち着いて治療を受けられるようになると考えています。一方、お子さんの虫歯の予防は、親御さんとの連携が肝要です。きちんとした歯磨きを習慣にするために、一緒の時間に親子そろって歯ブラシを持って、磨いていただくようお願いしています。
誰でもどんな悩みでも相談ができるクリニックに
その他の特徴を教えてください。
当院は歯科技工士が2人在籍していて、一部の歯科技工物を除き、詰め物・かぶせ物・入れ歯などの作成やメンテナンスを院内で行っています。患者さんのお口を直接拝見しながら歯科技工物を作成できるので、色や形のご要望をくみ取りやすいメリットがあります。また私の恩師である中村社綱先生のご専門が歯科口腔外科であったため、その領域の治療経験は豊富にあります。例えば、埋没した親知らずの抜歯などの難症例にも対応していますので、ご相談ください。
ところで、楊院長はスポーツがお好きだとか。
はい。学生時代はバスケットボールや陸上に取り組んでいました。歯科医師になってからは、ゴルフを盛んにやっていた時期もあります。今は家で野球の観戦をするのが楽しみですね。また、普段は暴飲暴食をしないようにすることを心がけています。趣味といえば刺繍絵画が好きで、院内のあちこちに作品を飾っています。アットホームな雰囲気を醸し出せたらと思って、季節ごとに絵を変えていますね。
最後に、今後の目標と地域の方へメッセージをお願いします。
自分が元気でいる限りは、この地域の患者さんの歯をずっと守っていきたいと願っています。強調したいのはプロケアとセルフケアのどちらか片方でも欠けてしまうと、予防は成り立たないことです。歯科衛生士によるお口のチェックやクリーニングを定期的に受け、気づいていない箇所や自覚していない症状まできちんとチェックすることが重要です。特に歯周病の治療後に再発させないためには、歯科医院での管理がとても大切です。末永い歯の健康のために、ともに取り組んでいきましょう。また歯のことに限らずどんなことでも気軽に相談していただけたら。「こんな些細なことで行っていいのか」と迷われる方も、ご相談だけでもいらしてください。治療に関して情報が足りずに不安を抱えている方は、セカンドオピニオンとしてご利用いただいても構いません。そんなふうに、誰でもどんな悩みでも来ていただけるクリニックでありたいと願っています。