柿内 貞之 副院長の独自取材記事
柿内歯科クリニック
(鹿児島市/鹿児島中央駅)
最終更新日:2024/09/04

住宅街で診療を行う「柿内歯科クリニック」は、地域のかかりつけ歯科医院として長年患者との関係を築いてきた。そんな同院に2023年、院長の息子である柿内貞之先生が副院長に就任。これまでの診療内容に加え、昨今重視されている予防歯科や、副院長の得意分野である歯周病治療が新たな強みとなっている。さらに高性能のエックス線撮影装置や歯科用CTなど先進の設備も導入され、診療の幅が広がっているという。学生時代に打ち込んだバスケットボールを今も楽しみ、「地元の友達や知り合いが来てくれるのもうれしい」とほほ笑む柿内副院長に、現在の診療方針や日々心がけていることなどを聞いた。
(取材日2024年6月19日)
地域とのつながりは変わらず大切に、予防重視の診療へ
初めに、先生のご経歴を伺います。

埼玉県の明海大学を卒業してから地元に戻り、鹿児島大学で研修医時代を過ごしました。その後はかぶせ物やブリッジ、義歯などを扱う冠・ブリッジ科で半年ほど勉強し、ご縁があって父の後輩にあたる先生の歯科医院に勤めることに。そこは保険を中心に地域に根差した診療を行っており、月に1回のメンテナンスを基本としている予防重視の歯科医院でもありました。お世話になった6年半、実技はもちろん経営に必要な知識などもしっかり学ばせてもらい、2023年4月より副院長として当院で診療にあたっています。いずれ父と一緒に診療したいという気持ちは初めから持っていましたね。
副院長に就任後、診療方針などは変化しましたか?
方針はだいぶ変わりましたね。これまでは治療が終わったら通院も終了してしまう患者さんが多く、明確な症状がない場合は経過観察をするケースも少なくありませんでした。しかし現在は、前職のスタンスと同様に継続的なメンテナンスに取り組んでおり、月に1回の定期検診を通して早期発見・治療をめざしています。自覚症状のない虫歯を見つけるのも私たち歯科医師の仕事です。また、歯石は歯を失う主な原因である歯周病のリスクを高める上、歯石が付着した歯の表面はざらざらしていて汚れも溜まりやすく、そこから虫歯ができることもあるんです。大きな問題が起こってからだと遅く、治療回数も費用もかかってしまうからこそ無理のない範囲でケアし、小さなものでもトラブルが見つかったら丁寧なご説明と治療を行うように努めています。
患者さんの予防意識を高めるためにどのような工夫をされていますか。

まず大切にしているのは説明で、患者さん一人ひとりに対し、検査や予防を行う理由を一からお伝えします。機材を増やしたこともあり、上下の歯や顎、歯周組織といったお口周り全体を撮れる大型のエックス線装置などについても、撮影方法からいろいろお話ししていますね。設備に関しては歯科用CTも導入したほか、診療台も古くて動かなかったものを買い替え、現在3台を稼働させています。また診療方針を変えるにあたり、スタッフ教育も改めて行いました。今までとやり方が変わり最初は戸惑ったと思いますが、日々頑張ってくれてありがたいですね。私の友人やバスケットボール仲間から輪が広がり、1日10人程度だった患者さんも3倍ほどに増加したのもうれしく思っています。
時間を守りつつ、丁寧な検査・治療と対話を心がける
現在の診療体制について教えてください。

昔から通っていた患者さんの中には、いきなり私が出てきて不安に思う方もいらっしゃるでしょう。そのためご希望をお聞きし、柔軟にコミュニケーションをとりながら父と診療を分担しています。初診の方や久しぶりに受診された方、知り合いは私、父と何十年もお付き合いのある方は父といった感じですね。治療をご提案する際は、まず保険の方法をご紹介します。そこでメリットだけでなく、詰め物・かぶせ物の割れやすさや金属の素材しか選べない点などデメリットもきちんとお伝えし、金額もご提示した上で保険か自費かを決定していきます。自費診療であれば、見た目に配慮した白い材料を使ったりバネがついていない義歯を作ったりすることも可能です。
診療で心がけていることは何ですか?
前職で最も言われていたことなのですが、予約の患者さんが予定どおりに診療室に入れるようなるべく時間を守っています。自分自身も飲食店や病院で待つのはつらいところがあるので、少しでも予約時間を過ぎてしまった場合は必ず声かけをするようにスタッフにも呼びかけていますね。治療においては、最低でも年に1回のエックス線撮影を実施。早期発見・予防のためには目に見えない部分の検査も欠かせません。加えて歯周病の進行予防を目的に、歯周ポケットの深さを測る検査も3ヵ月に1回は行っているのが特徴です。あとは地域の皆さんとちょうど良い距離感を保ち、時間が長引かない程度に患者さんとコミュニケーションをとっている父の姿を見て、自分が患者さんと接する際の参考にしています。
得意な治療などはありますでしょうか?

私は一般歯科に幅広く対応する傍ら歯周病治療にも注力してきましたので、ある程度症状が進行した歯周病に対しても治療が可能です。軽症のうちは歯の表面に付着している歯石を除去し、その後の検査で悪いところが残っているのが見つかれば、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)で歯茎の下に隠れている歯石の除去を図ります。SRPでの対応が難しい場合は、麻酔をかけて歯茎を切開し、下部が見える状態で目視による歯石除去を図る方法もございます。外科的な処置は前職から数多く経験してきましたので、当院でも同様の対応をさせていただきます。一方、父は冠・ブリッジ科で長く勉強していたため補綴治療が専門で、当院の義歯治療は父が中心に担当しています。
地域に愛され続け、知識や技術を還元できる診療が目標
治療後の定期検診では、どのように予防に取り組んでいるのですか?

子ども・大人に関係なくすべての患者さんに染め出し液を使い、汚れがどこに付いているのかを鏡で確認していただきながら歯ブラシの当て方を指導しています。現段階では特殊な機械などは使っておりませんが、最新の医療機器にふれられるデンタルショーに毎年足を運び、患者さんに還元できるものがないか探していますので、近いうちに設備も進化させたいですね。その他のセルフケア指導においては、歯間ブラシやフロスといった補助用具や、一人ひとりに適した歯ブラシをご案内しています。特に歯ブラシは、使いやすいサイズ感や好みの毛の硬さが本当に人それぞれなんです。その方のご要望をお聞きしつつ、治療中の歯であれば毛がやわらかいほうがいいなど歯科医師の目線でも考え、お口の状態に合わせたものを都度お勧めします。
やりがいを感じる瞬間や、患者さんからの言葉でうれしかったことを教えてください。
例えば、お口の中がボロボロの患者さんに丁寧に説明し、頑張って治療を受けていただいた末にきれいな状態にできたら、大きなやりがいを感じます。治療を行い、入れ歯をきちんと入れることができ「前より食事がしやすくなった」と言っていただけたら、力になれて良かったと心から思えますね。また最近は、保険診療でも銀歯以外に白い材料を使えるようになるなど、選択の幅が広がっています。そういった有意義な話をお伝えして、見た目を気にしていた方が笑っている姿を見れたら喜びを感じます。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

数年ぶりに受診する患者さんは私のことを知らないため、父に診てもらうつもりで来院し、私が出てきたときに不安そうにされる方も当然ながらいらっしゃいます。しかし「院長の息子です」と自己紹介をすると、皆さん一気に表情が和らぐんです。それだけ父が患者さんたちに頼りにされてきたという証でもありますので、久々にお会いする方にはなるべく自己紹介をし、父が大切にしてきたものを受け継いでいけたらと考えています。そして先進の機器や情報にもアンテナを張り、良いと思ったものは取り入れながら、少しでも患者さんのためになる診療につなげてまいります。特殊なパウダーを吹き付けて着色汚れを落とすためのエアフローや、デジタル技術を用いて根管治療を行えるシステムなどは近々導入する予定です。地域とのつながりを最も大切に診療していますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
自由診療費用の目安
自由診療とはノンクラスプデンチャー:11万~
インレー:3万3000円~
ジルコニア冠:前歯部11万円~、臼歯部5万5000円~