大園 貴志 院長の独自取材記事
大園歯科医院
(鹿児島市/谷山駅)
最終更新日:2022/07/07

JR指宿枕崎線・谷山駅より徒歩約7分、谷山支所近くにある「大園歯科医院」。祖父、父、現院長の大園貴志先生と、3代で70年以上にわたり地域に貢献してきた歯科医院だ。家族・親族の多くが歯科医師などの医療従事者という家系で育ったことから、自身も歯科医師の道へと進んだ大園院長。一般歯科・小児歯科・歯科口腔外科の診療を行い、地域の多様なニーズに対応している。「インフォームドコンセント」を大事にしながら、患者一人ひとりに真摯に向き合う大園院長に、同院の特徴やこれからの展望などを聞いた。
(取材日2022年4月27日)
祖父の代から70年以上にわたり地域医療に貢献
おじいさまの代から続く歯科医院だそうですね。

実際はもっと前に開業したようですが、届け出の記録は1950年。そこから父、私と70年以上続いています。祖父はこちらから少し離れた場所に開業し、土地開発の関係でここに移転したそうです。そんな環境だったこともあり、私は小さな頃からずっと祖父、父が歯科医師として仕事をする姿を見て育ちました。祖父の影響もあったと思いますが、多くの親族が医療従事者になっていますね。兄弟では弟が歯科技工士として、このビルの2階で技工所を運営していますし、妹は薬剤師で、妹の夫は中山で歯科医院を開業しています。
先生が歯科医師をめざされたのは、やはり環境が影響しているのですか?
そうですね。父、祖父の他にも叔父叔母も歯科医師ですし、親戚の集まりがあった時など、ちょっとした会話も私が歯科医師になることを前提とした感じだったと思います。だから子どもの頃から自然と「将来歯科医師になる」と思っていました。自分の歯科医師としてのベースは父なんですよね。子どもの頃、働いている父を見ていたり、大学の長期休みの際には東京から帰ってきて、手伝いをしながら父の働く姿を見ていたので、おのずとそうなったと思います。大学を卒業し、歯科医師として鹿児島大学病院に入り、その後県外でいろいろな歯科医院で学んできました。その時はあまり意識はしていませんでしたが、ここへ戻ってきて仕事をして、父が働く姿を見ていた昔のことを思い出した時に、治療は全然違うけど、ベースというかルーツはここだったのだなと思いました。
どういった患者さんが多いのですか?

今でも、父の患者さんだったり祖父の患者さんだったりした方も多いですね。そこから裾野が広がって、そのご家族やご友人とかが来られています。父たちが長くここで診療してきたので、地域とのつながりはもちろん、父や祖父への信頼から成り立っていると感じます。私は鹿児島に帰ってくるまで名古屋や横浜、つくばなどにいました。帰ってきた当初は、今までいたところと地域柄が思っていた以上に違っていたり、患者さんの私でなく父たちへの信頼に戸惑いや、迷いがありました。帰ってくる際に名古屋でたいへんお世話になった方に頂いた「その土地で生きるにはそこの水を飲まないといけないよ」という言葉を糧にやってきました。それから10年以上がたち、この町に根を張って、患者さんから私も信用してもらえるようになり、ようやく「この町の歯医者さん」になれているかなと思えるようになってきました。これから地域に恩返ししていければいいなと思います。
インフォームドコンセントを徹底し患者の心に寄り添う
患者さんはどのような悩みで来られていますか?

やはり歯や歯茎の痛みや入れ歯の不具合で食べられない、といった方が多く来られますね。入れ歯については、2階で歯科技工所をしている弟に相談しながら対応できるので、安心していただければと思います。また、咬合誘導装置による小児の歯列矯正も行っています。咬合誘導装置とは子どもたちの成長の際に歯がある程度正しい位置に並ぶように手助けをする装置です。大人の方でも虫歯の原因の一つに、歯並びが悪いために歯磨きがしにくい、しても磨ききれていないということがあります。親御さんにもぜひ興味を持ってもらって、小さいうちから正しい歯並びに成長させるための小児矯正を検討いただけたらいいなと考えています。
診療の際に心がけていることを教えてください。
治療に取りかかる前に、今日はどういう治療をするのかを丁寧に説明するようにしています。ちょうど私が大学で勉強していた頃は、「インフォームドコンセント」の重要性が強くいわれるようになった時代でした。そのため「医療者が治療内容を説明し、患者さんが同意することで初めて治療は成り立つ」ということを、今も自分の中で大切に考えています。説明の際はできるだけ、考えられる複数の方法と、それぞれのメリット・デメリットをお話しして、患者さんに選んでもらいます。こうしたことは当たり前のようにしてきたことでもあるので、実は今聞かれるまで自分が心がけているという意識はなかったのですが、技術の前に大事だなと、あらためて思いますね。
普段診察していて気になることはありますか?

歯科医師として患者さんのお口を診た時、この状態で放置した場合、2年後や3年後にどうなるか予測がつくんです。だから現状のことを説明して治療に向かうのですが、残念ながら診療が途切れてしまった場合にはやはり気になりますね。「今だったら歯を残せる」と説明していた方が、治療が途切れ、何年かぶりに来院した時に、抜歯して入れ歯しか方法がないことを説明しなければならなかった時は切ないですよね。これは、治療中だけでなく終わった後に検診をお勧めしますが、間が空きすぎて、似たようなケースもありました。今後は一人ひとりと向き合うのはもちろん、予防の重要性もお伝えしていくことで、定期検診でお掃除をするだけで済む患者さんが増えるのが目標ですね。
住民が気軽に頼れる「町のかかりつけ医」をめざして
先生ご自身やご家族の歯の健康のために気をつけていらっしゃることを教えてください。

自分のこととなるとなかなかですね。子どもたちの歯も気にはしていますが。毎日の歯磨きは子どもたち自身に任せ、年に1、2回メンテナンスに連れてきています。娘は、歯列矯正用咬合誘導装置を使っています。この装置は幼稚園くらいから小学校の低学年くらいにするもので、そこから先は必要に応じて本格的な矯正に移ります。その矯正を大がかりなものにしないで済む効果が期待できますよ。
ところで、お休みの日はどのように過ごされていますか。
錫山に親の畑があって、そこでよくデイキャンプをしています。デイキャンプといってもたき火をして遊ぶだけなんですが……。家族は「虫がいる」とか、「煙が嫌だ」といって行きたがらないから、のんびり一人で、コーヒーを入れて飲む時間は、リフレッシュできる至福のひとときですね。帰りに、両親が作っている野菜をもらって帰るのもありがたいですね。季節の野菜はおいしいです。子どもたちもここの野菜は好き嫌いなく食べてくれますしね。
最後に地域の方々へメッセージをお願いします。

「町の歯医者さん」として地域の方々へお伝えしたいのは、「食べることは健康寿命につながる。だから定期検診・メンテナンスを習慣にしてください」ということです。当院でなくてもいいんです。信用できるかかりつけの歯科医院があればそちらで、定期的に受診することが大事。虫歯も歯周病もゆっくり進んでいきますから、自覚症状が出てからだと、すでに症状が進行してしまい、ご自分が想像するより一段階か二段階、治療が大がかりになってしまうこともあります。歯の健康が全身疾患に影響することもありますし、ご高齢の方だと管理の難しい薬を飲んでいる方が増えてくるので、普通なら治療はできるのに、全身管理の都合で大きな病院で治療が必要になることも。症状もないのに歯科医院へ行くのは面倒だと思われる方もおられるかもしれません。そのお気持ちは十分わかるのですが、治療の負担が大きくなる前にぜひ受診するようにしていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正用咬合誘導装置/6万円〜