小松 俊博 院長の独自取材記事
小松歯科医院
(鹿児島市/荒田八幡駅)
最終更新日:2021/12/09

荒田八幡駅から徒歩3分という好立地で60年以上、多くの患者の健康を支え続けてきた「小松歯科医院」。実の父が開業した同院を小松俊博院長が継承し、時代の変化に柔軟に対応しながら、求められる歯科医療を幅広く提供してきた。診療において小松院長が重視するのは、患者と積極的にコミュニケーションを図ること。フランクに話す姿から、実際の診察の様子がうかがい知れる。また人と人とのつながりを大切に考えており、診療で向き合う患者はもちろんのこと、プライベートでも付き合いの長い人が多いそうだ。患者の笑顔や喜びをやりがいとし、日々研鑽を続ける小松院長に、同院の成り立ちや特徴、さらに診療にかける想いについて聞いた。
(取材日2021年8月28日)
なじみの土地で地域医療に幅広く貢献する歯科医院
こちらのクリニックの成り立ちについて教えてください。

当院はもともと、私の父が1960年に開業した歯科医院なんです。父はこの近くで長く勤務医として働いていまして、母と2人でこの地に何か運命のようなものを感じ、土地を紹介してもらったと聞いています。当時は集合住宅がも建ち始めた時期で、子どもの数も多かったですね。現在の荒田エリアには、昔からお住まいの方も、新しいマンションに越して来た若いご家族もおり、互いに良好な関係を築きながら暮らしている印象があります。私が2代目院長となったのは1987年で、継承と同時にクリニックも建て替えました。めざしたのは、清潔感とアットホームな温かみのある雰囲気。いかにも歯科医院という怖いイメージにならないよう、院内は暖色系をベースとし、看板も明るいオレンジ色にしたのがこだわりです。
患者さんはどのような方がいらっしゃいますか?
幅広い年齢層の患者さんが受診されますので、診療も小さなお子さんのフッ素塗布から、ご高齢の方の義歯作製・調整まで多岐にわたります。近隣住民の方はもちろん、遠方から時間をかけて通ってくださる方もいらっしゃるんですよ。ある方は仕事で一時的にこちらで生活し、元いた場所に戻ってからも私のもとに来てくれて、非常にありがたく思います。患者さんの歯に対する意識は昔に比べて高く、定期検診で受診される若い方が意外にも多いです。保育園の嘱託歯科医や学校歯科医として子どもを診療する中でも、現代の子の虫歯の少なさを実感しますね。また、高齢になり通院が困難になった患者さんには、ご自宅や介護施設、病院などに伺う訪問診療という形でお付き合いを続けています。
歯への関心度合いや歯科医院のイメージは、時代とともに変化しているのですね。

そうなんです。子どもの虫歯が減ったのは、親御さんがしっかり歯に関する教育をされているのが理由と考えられます。当院にも痛くて来るというより、親御さんがお子さんの口腔内をチェックし、気になるところがあって受診するケースが大半です。たとえ虫歯があったとしても、初期の段階で見せに来ていただければ、軽い処置で済むことがほとんどです。一方、歯垢が付着して歯肉炎になっている子はちらほら見かけます。以前は毎年学校にブラッシング指導に出向いていたのですが、現在は新型コロナウイルス感染症の流行によって実施できていない状況です。虫歯が少なくなったとはいえ、地域の歯の健康を守るためにも、早く再開ができればと思っています。
常に研鑽を欠かさず患者本位の治療に取り組む
診療で大切にしていることや、歯科医師としてのやりがいを教えてください。

診察ではまず趣味などの話題で雑談をして、患者さんが話しやすい雰囲気をつくります。その上で主訴や生活環境をじっくり伺い、何げない癖も把握して、そこから得られるヒントをもとに治療計画を立てるのが私のスタイルです。最近はご家族の介護をされている方も多いので、普段の暮らしぶりを踏まえ、無理のないように治療を進めています。患者さんと信頼関係を結ぶことも大切ですね。前院長の父とは少しの間一緒に診療したのですが、私と同様に人と話すのが好きで、常に相手の立場に立って治療する父から影響を受けた部分はあります。やりがいを感じるのは、診療後に患者さんが笑顔でお帰りになる瞬間です。「おかげで食事がおいしく感じられた」と言っていただけたら、心からうれしい気持ちになりますね。
先生のご専門や、注力されている治療は何ですか?
補綴関係の医局に籍を置いていたこともあり、噛み合わせの治療は得意分野として注力しています。治療法は複数あり、「虫歯は治したいけれど、歯にはあまり手を加えないでほしい」というご要望があった場合、当院ではスプリント療法を採用しています。こちらは歯ぎしり・食いしばりによる上下の歯の接触を避けるために、マウスピース型の装置をお口にはめる方法です。歯を保護しつつ固定し、関節を安定させるという目的もありますね。装着のタイミングは患者さんによってさまざま。寝ている間に食いしばりがある方には就寝時のみ、力仕事などで日中も食いしばる方には、可能であれば仕事中も装着していただいています。適切な装置の厚みや調整の仕方も一人ひとり異なり、すべてオーダーメイドで対応します。
治療に漢方を取り入れることもあるそうですね。

歯科治療に付随し、漢方薬を症状に応じて処方している点も当院の特徴の一つですね。例えば、歯周疾患をお持ちの方には血行を良くするためのものを、顎関節症の方には筋肉の緊張を和らげるためのものをご提供しています。また、ご高齢の方は口腔内が乾燥しやすく、口腔乾燥症(ドライマウス)の患者さんも多くいらっしゃいます。そのような場合に漢方薬をお出しするケースもありますね。漢方を取り入れるようになったきっかけは、その道を専門とする先生と歯科医師会を通じて出会ったこと。患者さんによりご満足いただける治療を提供できるよう、現在もその先生の勉強会に参加して知識を習得しています。
恩師の教えを胸に、今後も患者に寄り添う治療を続ける
学生時代や勤務医時代の、印象に残っている出来事はありますか?

学生時代にお世話になったインストラクターの先生のことはよく覚えています。お人柄が本当に素晴らしい方で、診療に対する姿勢や、医学という学問において大切なことをたくさん教えてくださいました。在学中に「卒業後の最初の3年間をどこで学ぶかが重要」と言われた時、先生がいるなら大学に残りたいと思い、実際に医局で3年間を過ごしたほど。現在も、先生はご高齢にもかかわらず東京で現役の開業医として活躍されており、私以外の教え子たちからも尊敬されています。また、医局時代に歯科技工士さんから補綴について教えてもらえたことも大きかったですね。ここである程度の技術を身につけたからこそ、技工物の良しあしを自身でも判別できるようになり、信頼できる技工士さんと一緒に仕事をする機会も得られました。
今後の展望をお聞かせください。
地域からのニーズが高い往診や訪問診療に、より力を入れていきたいと考えています。当院が訪問診療を開始したのは数年前で、患者さんのご自宅だけでなく、介護施設にも口腔ケアや入れ歯の調整などで定期的に訪れてまいりました。補綴を専門にやってきたからこそ、入れ歯の修理をその場で行える点は強みです。皆さんの健康を長くサポートできていることをうれしく思うと同時に、より一層患者さんに寄り添う治療を続けていきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は患者さんに寄り添い、いつまでも安心して通院いただける歯科医院をめざしています。スタッフは全員ママさんで、子どもとのコミュニケーションには長けておりますので、親子でも気軽にお越しください。また、新型コロナウイルスの影響を受け、歯科医院から足が遠のいている方もいらっしゃると思います。受診の機会が減るとどうしても口腔トラブルが増えるため、皆さんには普段からご自身のお口の中に気を配ってもらいたいですね。そして、可能であれば当院に定期的に状態を見せに来ていただければ幸いです。お子さんからご高齢の方まで、あらゆる患者さんのお力になれるよう、これからも研鑽を続けてまいります。