高嶺 邦朗 先生の独自取材記事
たかみね歯科クリニック
(那覇市/県庁前駅)
最終更新日:2021/10/12

ゆいレール・県庁前駅から北西へ歩いて約6分、オフィスビルが立ち並ぶ中心街近くのビル2階に入っている「たかみね歯科クリニック」。1985年に院長の高嶺明彦先生が開業し、現在は息子の高嶺邦朗(くにあき)先生を含めた歯科医師4人体制で専門性にこだわった治療を提供している。「患者さんの治療の選択肢を増やしたい」と語る邦朗先生は、さまざまな機器を取りそろえ、3人の歯科医師と連携しながら歯科治療のトータルプランを提案。さらに、患者の歯科治療への意識を変えるべく、患者と向き合い現在の治療の進行状況などを伝えるようにしている。どんな質問にもわかりやすく答えてくれる邦朗先生に、歯科治療に対する想いを詳しく聞いた。
(取材日2021年3月11日)
選択肢を拡げ、その患者の最良プランを一緒に考える
1985年に開業したこちらのクリニックについてお聞かせください。

当クリニックは、父が予防とメンテナンスをメインとしたクリニックとして1985年に立ち上げました。その当時、福岡で切削器具を置かない削らないクリニックが少しずつでき始めていたんですよね。父は「極力削らない、虫歯にさせないクリニック」として開業し、学校や幼稚園でのフッ素洗口にも早い時期から取り組んできました。しかし、個人歯科医院が予防とメンテナンスだけでやっていくのは難しいので、それだけというわけにはいきませんが、今でも予防とメンテナンスには重きを置いています。今年で開業して36年になりますが、開業当初からメンテナンスで通い続けてくれている方もたくさんいて、そういう方のカルテはすごく分厚くなっていますね。遠くに引っ越しても通ってくれている方もいて、たいへんうれしく思っています。
歯科医師をめざされたきっかけやこれまでの経験について教えてください。
最初から歯科医師をめざしていたわけではないのですが、大学選びで進路について考えている時に、父からアドバイスを受けて、この道を選びました。大学は福岡歯科大学に進み、卒業後は琉球大学病院の歯科口腔外科で1年間勤務したのち、このクリニックに戻りました。その当時、インプラントに精通している先生が非常勤で勤務されていたので、患者さんの治療をしながら、いろいろと勉強させていただきました。並行して、母校のインプラント科にも通い、治療に関するさまざまなことを学んできました。
診療方針についてお聞かせください。

当クリニックでは、特定の治療を勧めるということはしない方針です。患者さんの希望に合ったすべての治療方法とそのメリット・デメリットを説明し、治療方法を一緒に決めていきます。患者さんに選んでもらうのでは、責任を押しつけることになってしまうので、ほかのスタッフにも特定の治療を勧めることはせず、患者さんに「あなたならどうするか」と聞かれたときは正直に答えてほしいと言っています。私は100点の歯科治療というのは、存在しないと思っているんです。例えば、入れ歯は削る量は少ないけど、噛む能力は低い、ブリッジは噛む能力は高いけど削る量は増えます。インプラントはいいとこ取りができますが、コストは高いしオペが必要になります。どれも100点ではないので、患者さんがご自分の価値観で選ぶ必要があります。私たちは患者さんの選択肢を増やし、後からこういう選択肢があったんだというふうにしない努力をしていきます。
歯科医師4人が連携しながら、それそれの専門性を追究
このクリニックの強みというと何になりますか?

当クリニックには歯科医師が4人おり、各分野で専門的な治療を受けられることです。それぞれ得意としている治療が異なりますので、患者さんの治療の選択肢が広がりますし、さまざまな治療を組み合わせたトータルプランも提案することができます。専門的な治療を含め、すべて提案できるクリニックをめざしていった結果、歯科医師が増えこのような体制になりました。当クリニックでは患者さんに理解してもらうために説明を大切にしているので、診療時間がその分長くなることもあるのですが、歯科医師が少ないと患者さんを待たせてしまうことになります。しかし複数いることで、お待たせする時間を短くすることも可能になっています。
機器にもこだわりをお持ちなのですね。
機材が多ければ、提案できる治療が増えるのでたくさん導入しています。精密治療に使用するマイクロスコープ、歯科用CT、矯正分析用のエックス線撮影装置、デジタル印象、CAD/CAMシステムなどがありますね。CAD/CAMシステムを使えば、当日から翌日にはかぶせ物ができます。沖縄でこんなに早くかぶせ物を提供できる歯科医院はまだ少ないと思います。またCAD/CAMシステムを使用すると、歯科技工士に外注しなくてもよい上に、院内で完結させるので細かい修正が可能になります。患者さんのためにも治療期間を短縮する努力をしています。
どんな治療が受けられるのか教えてください。

先述したように、当クリニックには得意分野の異なる歯科医師が4人在籍してます。幅広い治療と医師が連携することで、さまざまな治療を組み合わせたプランを提案しています。予防やメンテナンスはもちろんですが、マウスピース型装置やブラケットを用いた矯正、インプラント治療、ホワイトニングなどの審美歯科まで対応しています。また、老人ホームなどの施設や在宅介護の方への訪問診療も行っています。最初は通院が難しくなった患者さんのために院長が始めたのですが、今は積極的に訪問診療を行っているため、院長は訪問診療の専任となって離島にまで足を運んでいます。
患者と向かい合い理解を深め、二人三脚で治療を行う
患者さんと接する際に大切にされていることは何でしょうか。

歯科治療のことを患者さんに理解してもらえるようにすることです。歯の治療は、ただ悪いところを治療し終わりではなく、治療後の状態を長持ちさせるためには場合によっては1年以上かかることもあるので、中には中断してしまう方もおられます。しかしそれは、口の中に手を突っ込まれて、目を閉じているのでどういう治療を行っているかもわからなくなって、治療の必要性を感じられなくなるからではないかと思うんです。なので、当クリニックでは、初診の方には1時間の枠を取って、現状確認をしスタートからゴールまでしっかり説明します。ゴールは患者さんに合った目標を定めて、「こういうゴールをめざしましょう」と声をかけるようにしています。治療中も今何をしているのかわからなくなることをなくすために、できるだけ患者さんとお話しする時間を設けるようにしています。
治療に対する想いをお聞かせください。
私は歯科治療において、多少厳しいことでも患者さんに伝えなくてはいけないことはしっかり伝えなくてはいけないと考えています。例えば、歯周病は慢性疾患なので、病状を安定させ状態を維持させる必要があります。それを患者さんに理解してもらうために、日頃の対話を通してメンテナンスの重要性を伝えています。よく歯科医院では物理的に汚れを取ることを「歯をお掃除しますね」と言いますが、あれは歯周初期治療なんです。なので、歯科衛生士たちに“お掃除”という表現は使わないようにと伝えています。「ただなんとなく通っている」というふうにはしたくないので、患者さんの意識を変える努力をしています。当クリニックには患者さんに説明するための資料をたくさん用意していて、説明時に見てもらうだけでなく、家に持ち帰ってもらって理解を深めてもらうようにしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当クリニックでは、患者さんそれぞれに合った、本当に必要な治療のトータルプランニングをしていきたいと考えています。ただ悪いところを治療して終わりではなく、治療してその状態を長持ちさせることが最終目的です。矯正も同じで、ただ矯正をするのではなく、それを維持するプランも立てていきます。歯科治療において、メンテナンスはとても重要です。インプラントもせっかく良いものを入れても、メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎になる可能性があります。ぜひ、私たちに“ずっと噛めるトータルプラン”を提案させていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万8000円~、ブラケット矯正/66万円~、マウスピース型装置を使った矯正/77万円~、セラミック/8万8000円~、ホワイトニング/2万2000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。