坂入 道子 院長、坂入 大介 先生の独自取材記事
篠原歯科医院
(宇都宮市/宇都宮駅)
最終更新日:2024/12/13
宇都宮駅から徒歩5分ほどの場所に位置する「篠原歯科医院」。1921年開業で、大正時代から祖父、父と継承されてきた歴史ある歯科医院を1997年に院長として引き継いだのが坂入道子先生だ。下は2歳から上は90歳代までという幅広い年代の患者の中には、3世代にわたって訪れる家庭も少なくないそうだ。道子院長は栃木県歯科医師会の常務理事としても活動している。歯科衛生士の離職率の高さなど人手不足が深刻化している歯科医療の現場を改善するべく尽力。今回は今後、院長を継承する予定の息子の坂入大介先生にも、一緒にインタビューに答えてもらった。さらに歴史が続き、宇都宮市民の口の健康に欠かせない存在となっていくだろう同院。診療内容や今後の展望について聞いた。
(取材日2024年11月5日)
宇都宮市で、大正時代から続く歯科医院を継承
こちらは100年以上の歴史がある歯科医院だそうですね。
【道子院長】私の祖父が1921年に開院し、その後、父が継承しました。私は東京都の大学を卒業後、銀行員向けの歯科室などで経験を積み、1987年からこちらで診療するようになりました。他の先生にお任せしていた時期もあったので、私が院長を継承したのは1997年です。常勤で毎日診療しているのは私のみですが、矯正を専門する歯科医師など非常勤の先生が何人かいます。東京都をはじめ、複数の歯科医院に勤務している息子も、勤務日数は少ないですが、非常勤として診療しています。
【大介先生】私は東京都杉並区の歯科医院で勤務するほか、佐野市にある分院、埼玉県の草加市などでも診療しています。宇都宮市に住んでいますが、あちこちを飛び回る毎日です。
今後、歯科医院をリニューアルするご予定があると聞きました。
【道子院長】以前も建て替えはしているのですが、それから30年近くたっていますし、今後は息子に継承することも踏まえ、もう少しスペースを広げて、より良い環境をつくっていければと考えています。道を隔ててすぐ目の前に建設予定で、そちらが完成してから移る予定にしています。通ってくださっている患者さんにもご不便がないようにと考えています。
【大介先生】2026年の年明けか春頃をめどに移転する予定で、その後は私もこちらでの勤務が増える予定です。母のもとに長年通ってくださっている患者さんもたくさんいますから、移転後に私が院長を継承したとしても、母には現役の歯科医師としてまだまだ現場に立ってもらう予定です。そうでないと患者さんたちが困ってしまいかねませんから。
それは楽しみですね。現在、こちらの患者さんの年齢層はどのくらいの方が多いのですか。
【道子院長】年齢は幅広く、下は2歳くらいから上は90代半ばくらいの方もいらっしゃいますね。父の代から通い続けていただいている方もいますし、3世代にわたっていらっしゃるご家族もいます。小さい頃から来てくれていた患者さんが結婚して、お子さんを連れてくるなんていうこともよくあります。宇都宮市は東京都に通勤されている方も非常に多い地域ですが、当院は宇都宮駅から近いということもあるのか、東京都にお勤めの方も多い印象です。
一生自分の歯で食べるために、歯周病治療と予防に注力
治療内容として多いものや、力を入れていることはありますか。
【道子院長】歯周病の治療とメンテナンスでしょうか。症例数も多いですし、力を入れている分野です。治療が済んだら終わりではなく、メンテナンスを通して長期にわたって患者さんとお付き合いしていくことを20年以上前から行っていて、PMTC(Professional mechanical tooth cleaning)という方法に沿って取り組んでいます。現在5人の歯科衛生士がいて、歯科医師の治療が終わったらバトンタッチする体制です。中には重度の歯周病になってから歯科医院の門をたたく方もいらっしゃるでしょうが、メンテナンスを続けることで歯を抜くことなくキープすることも望めますので、怖がることなく歯科医院を受診していただけるとうれしいです。
歯周病は年代を問わず増加傾向にあると聞きます。
【道子院長】歯周病は細菌感染によって炎症を起こす疾患です。虫歯は垂直感染となり親子間で感染するケースが多いことに対して、歯周病は水平感染で、夫婦間やお友達の間での感染にも気をつける必要があります。最近では歯周病と全身の健康との関係についても研究が進み、心臓疾患や脳血管障害をはじめ、低体重児の出生や早産にもつながるとされ、若い世代も注意が必要です。また、歯周病は糖尿病の第6の合併症ともいわれ、数値が悪くなると口の中にも影響が出てくるのです。生活環境が影響し、家族の介護に関わるようになったなど、何かしらのターニングポイントで悪化される方も多いですね。そういうことも考慮しながら、口腔内の状態を診ていく必要があると思っています。
大介先生は複数の歯科医院に勤務する中で、どのような治療に携わることが多いのでしょうか。
【大介先生】これまで、歯科口腔外科や歯周病など、それぞれの分野で専門性を持つ先生のいる医療機関で勤務しながら、経験を積んできました。都心の場合、難しい親知らずの抜糸などは「他を紹介します」といった対応を取る場合も多いかと思いますが、地方の場合はその送り先がない、もしくは少ないことがあります。ですから、宇都宮市で治療していくことを考えると、ある程度自分のところで完結できないといけない、という指針が大前提にあります。最近では、勤務先に新しく入ってきた歯科医師に教える立場になることも増えてきました。教えるとなると、自分のほうが知識も技術も上回っている必要がありますし、質問にもきちんと答えられるようにしなければいけない。それも、非常に良い経験になっていると感じています。
先進技術も導入し、さらに地域医療を支える存在に
診療の際に心がけていることを教えてください。
【道子院長】患者さんがびっくりしないように、何かする時には必ず一つ一つお声がけするようにしていて、それはスタッフにも徹底しています。あとは、年齢の高い方が多くなってきているので、なるべく歩く距離の少ないユニットに通すとか、座る際に体を支えるようにするとか、患者さんの世代や状況に合わせて配慮しています。
【大介先生】私は患者さんに理解していただけるような言葉でしっかり説明をして、同意を得た上で治療することでしょうか。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、大事なことだと思うので、そこはきちんとやっていきたいと意識しています。逆に、患者さんから聞かれたことに適切に答えられなかったら納得されないと思いますので、信頼してもらうためには、引き出しをどれだけ増やせるかだと思っています。
今後、取り組んでいきたいことはありますか?
【道子院長】治療内容からは少し外れてしまうのですが、歯科衛生士の離職率の高さにより、歯科医療の現場では人手不足が深刻化しています。私は現在、栃木県歯科医師会の常務理事として、離職した歯科衛生士の再就職支援の活動にも関わっています。当院で大事にしている歯周病のメンテナンスにも歯科衛生士は欠かせない存在です。でも、結婚・出産・育児で離職をする人が多く、現在、歯科衛生士の資格を持つ人のうち、約半数しか歯科医院で就業していないともいわれています。募集すると子育てがひと段落した方が再就職を希望されることがあり、それがもっと増えていくことを願って、栃木県歯科医師会では栃木県と協働して講習会などを行っています。働きやすい環境づくりも大切だと思います。今後、復職される方がもっと増えるよう、環境を整えるお手伝いをしていきたいと思っています。
今後はどのような歯科医院にしていきたいとお考えですか?
【道子院長】当院では、「あぁ、おいしかった」と言って一生を終えられるように、患者さんがずっとご自身の歯で噛めることを目標に、治療と予防・メンテナンスに力を入れています。自分の歯で食べることは自分を支える力になりますし、認知症の予防にも役立ちます。サポートを通じて、これからも変わらず地域の皆さんの健康を守る存在でありたいと思っています。
【大介先生】そうですね。これまでどおりの診療はもちろん続けつつ、先進機器や技術も導入しながら、より良い歯科医療を提供していきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは金属の留め具を使用しない入れ歯/10万円~、インプラント治療/35万円~、歯列矯正/20万円~、唾液検査/1万円、ホワイトニング/3万6000円~