小宅 一郎 院長、小宅 由輝 副院長の独自取材記事
おやけ歯科医院
(宇都宮市/宇都宮駅)
最終更新日:2025/05/12

地域で約40年間診療を続けてきた「おやけ歯科医院」は、フィンランドで予防歯科を学んだ小宅一郎院長が一人ひとりに合わせた診療を提供する予防中心のクリニック。2022年に小宅由輝先生が副院長として診療に加わり、さらに2023年にリニューアルを行ったことで一層通いやすい歯科医院へと進化したそうだ。「子どものむし歯を減らすにはまずお母さんのお口から」と話す院長と、「患者さんに予防に興味を持っていただけることが喜び」とほほ笑む副院長の2人に、同院の予防歯科の特徴や日々の心がけなどについて聞いた。
(取材日2025年4月3日)
北欧で得た知見を生かし、本格的な予防歯科を実施
予防歯科に注力しているそうですね。

【一郎院長】開業してしばらくは一般歯科診療が中心でしたが、日本の予防歯科の先駆者的な先生にお会いしたことがきっかけで勉強を始め、フィンランドでも研鑽しました。フィンランドは世界で最も子どものむし歯を減らせた国といわれています。それは1人目の子を妊娠した際、お母さんのむし歯菌を地方自治体が無料で検査し、陽性の場合はその菌をお子さんの歯が生えてくる生後半年までに減らしてきた歴史があるからです。この取り組みによって子どもへの菌の定着を防ぎ、むし歯のリスクの大幅な低減に成功しました。私たちが実践している予防歯科は、まさに現地で学んだことを生かした内容となっています。身近なものだと、フィンランドはキシリトールを使ってむし歯を減らす研究が盛んに行われている国でもあるのですが、当院でもキシリトールガムをお勧めしています。
由輝副院長は、予防歯科に対してどのような考えをお持ちですか?
【由輝副院長】普段から歯科を受診しない方は、最終的に大がかりな治療が必要になる傾向があります。そして治療後にまた通わなくなってしまうと、同じ場所から再びむし歯になっていくでしょう。これ以上むし歯を進行させないためにはなるべく歯を削らない、つまり治療が不要な状態に保つのがベストだと考えていますので、予防歯科においては私も父の方針に賛同し、患者さんにも積極的に定期検診をお勧めしています。一度は治療で大変な経験をしたからこそ、定期的なクリーニングだけで済むような口腔環境になればその方はとても幸せになると思います。また、初診の患者さんはむし歯予防の原理や進め方をご存じない方が多いため、まずは丁寧なご説明に努めています。その結果興味を持っていただき、ご理解・ご納得のもと次のステップに進めたとしたら、「予防の大切さをわかってもらえた」とうれしい気持ちになりますね。
対応している検査を教えてください。

【一郎院長】当院では半数以上の患者さんに、細菌の数や種類を調べる唾液検査を実施しています。他にもむし歯菌の検査が2種類、さらに歯周病菌の検査もあり、一人ひとりのお口のリスクを分析した上でオーダーメイドの予防プログラムをご提案できます。特にむし歯のリスクに関しては、コンピューターソフトを使って精密に調べられるのも特徴です。こちらは今後1年間のうちにむし歯にならない可能性が何パーセントかを計算をするためのシステムで、スウェーデンのある教授が考案した物です。唾液検査のキットも同じ教授が開発したもののため、本場の予防プログラムを提供できると考えています。結果も学校のテストのような形ですので、患者さんにもご理解いただきやすいと思います。
幅広い年代の患者が安心して通える医院づくりも大切に
数年前にリニューアルも行ったと聞きました。

【一郎院長】車いすの方もスムーズに入れるようバリアフリー化し、外観や外側の通路もちょっと見栄え良くしましたね。新型コロナウイルス感染症の流行期にリニューアルをしたため、トイレに不必要なドアをつけなかったり、待合室の椅子を1個ずつ隔離したりと工夫しながらより快適な空間をめざしました。
【由輝副院長】待合室は広々としており、初めて来た子も楽しそうにしています。患者さんとスタッフとで動線を分けたのもポイントですね。設備面に関しては、エックス線画像などをお見せできるよう、各診療台の前に42インチのモニターを設置しています。お口の中を毎回撮影することに疑問を持たれる方も多いのですが、これは今ではなく、今後状態が変化したときにそれまでの経過をお見せするために必要なものです。
診療で大切にしていることは何ですか?
【由輝副院長】初診時は特に時間を惜しまず患者さんのお口をチェックしています。むし歯の進行レベルを調べる光学式う蝕検出装置という機器を使い、一本一本の歯をしっかり確認した上で現状をお話しし、細菌検査などについてもわかりやすいご説明を心がけています。父の予防に関する話をたくさん聞いてきましたので、知識や伝え方を参考にすることもありますね。そして父や私だけでなくスタッフも同じ説明を行えるよう、日頃私たちが患者さんと話す様子を見て学んでもらったり、ときにアドバイスもしたりしながら育成しています。
【一郎院長】毎日の診療の中で、気づいたことがあれば都度指導にあたっています。私が引退するまでに、できるだけ多くを吸収してくれたらいいですね。
親子で安心して受診できるように工夫していることはありますか?

【一郎院長】大学の小児歯科で勤務していた経験から、いかにお子さんを怖がらせないかを考えて接しています。いきなり診療台に座らせず、このボタンを押すとどうなるかなどを教えてから座らせるのもテクニックの一つです。風を送る道具も、興味を持ってもらえるように風船を膨らませて見せながら説明します。また、歯科治療への恐怖心を和らげるために笑気ガスも導入しています。3歳くらいから使うことが多いですが、大人の方も使用できますので気軽にお申しつけください。
【由輝副院長】リニューアルのタイミングで診療室を半個室にしました。お子さんと一緒に親御さんや兄弟も入れるように広めに設計してあり、親御さんの治療中、お子さんには横でおもちゃで遊びながら待ってもらっています。歯科医院が初めてで泣いてしまった場合でも、先に親御さんが診療を受けている姿を見てもらい、そこから徐々にステップアップできるようサポートします。
「定期検診」という最初の一歩を踏み出してほしい
予防の一環で、歯並び改善のための取り組みも行っているそうですね。

【一郎院長】当院ではむし歯予防・歯周病予防・歯並びの予防の「3つの予防」を、患者さんの年齢やお口の状態に合わせてご提供できます。幼少期に悪い歯並びがあれば早期に介入し、具体的には小学校低学年くらいから治療を開始しています。本格的な矯正は金銭的な負担も大きく、ハードルが高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。そのため治療内容は誰もが取り組みやすいものを採用しており、悪習癖といわれる指しゃぶりを治すための指導や、口呼吸改善を図るトレーニングなどを実施。歯並びを整えるための装置も使って、費用をなるべく抑えた治療をご提供しています。
今後の展望を伺います。
【一郎院長】より多くの方に予防の大切さを浸透させたいと考えています。妊娠中・子育て中の方に検査を行うところから予防歯科を始めた場合、うまくいけば親子のむし歯のリスクを下げられると考えています。病気には原因があるため、検査を通してその原因をご本人に知っていただく。お母さんであれば、原因をわが子に移さないように対策を講じる。そうやって、お子さんに歯科治療の必要がない状態を一緒につくっていけたら何よりです。最初の受診が治療だと歯科医院が嫌いになる人が多いと思いますが、予防であれば喜んで通ってくれると思いますね。
【由輝副院長】歯が健康な方の受診割合はまだまだ低いので、一番は「来ていただくこと」が課題だと捉えています。
読者へのメッセージをお願いします。

【一郎院長】当院は昔から「あなたのお口の健康づくりを応援します!」をモットーに診療してきました。お口の健康はご自身が意識して改善しなければならないものであり、私たちができるのはそのお手伝いに過ぎません。あくまでも主役は患者さんという意味で「応援」という言葉を使っています。お困り事があればスタッフ一同、全力で協力いたしますので、気軽にご相談ください。そしてお母さんの菌を知る「0歳からのむし歯予防」を当院で始めましょう。
【由輝副院長】最も抵抗なく通院できるのが定期検診ですので、遊びに来るぐらい軽い気持ちで細菌検査を受けにお越しください。クリーニングだけでも構いませんので、一度検診というものを利用してみませんか?
自由診療費用の目安
自由診療とは歯並びを整えるための装置を使った治療/可撤式矯正装置:16万9290円~、唾液検査/4800円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。