小野 裕太 副院長の独自取材記事
小野歯科医院
(宇都宮市/東武宇都宮駅)
最終更新日:2025/07/04

東武宇都宮駅から徒歩4分。ビルの2・3階にある「小野歯科医院」。1947年の開業から75年以上の歴史を刻むこの歯科医院では、現在は5代目である小野裕太副院長が診療にあたっている。小野副院長は9年ほど矯正歯科の修業を積み、義歯治療に精通する先代の父からその技術を学んだ多分野に精通する歯科医師だ。「矯正治療は見た目だけでなく、歯の健康と機能改善のために重要」と語る小野副院長は、患者の経済状況などに配慮した柔軟な治療提案を重視している。「縁とタイミング」「気持ちを大切に」という言葉を何度も口にする姿からは、患者への熱い思いが伝わってくる。「噛めることで体も心も豊かにする」と語る小野副院長に、矯正治療の取り組みや診療に対する思いを聞いた。
(取材日2025年5月20日)
5代にわたり受け継がれる地域に根差した歯科医院
診療方針について教えてください。

患者さんの気持ちを何よりも大切にしようという想いで、診療に取り組んでいます。歯科医院に来る時は「痛い」「怖い」といった不安を抱えていることが多いですよね。そういった気持ちに寄り添うことを心がけています。例えば、歯を残したいという患者さんの気持ちを尊重し、できるだけ歯を抜かない方法を考えたり、歯が抜けることも想定して次のリカバリー方法まで説明したり、といったことですね。また治療期間と回数、金額は事前にしっかり説明するようにしています。特にご高齢の患者さんは経済的な不安を抱えている方も少なくないでしょう。その場合は保険の範囲内でその方の状態に合った治療法を提案するなど、状況に合わせた対応を心がけています。「どんな関係だったらこの患者さんは相談しやすいかな」と考え、患者さんと向き合っています。何より大切なのは信頼関係です。当院との出会いを一つの縁と捉えて、どんなことでもご相談いただきたいです。
小野歯科医院の歴史について教えてください。
私は代々続く歯科医師家系に生まれ、5代目として当院を継承しました。初代は別の場所で開業し、2代目からこの場所で診療を続けています。3代目の祖父の代で建物を現在のビルに建て替えました。長く続いてきた歯科医院を継承できたことは、たいへん恵まれたことだと思っています。私が戻ってきた時には祖父は残念ながらすでに亡くなっていましたが、先達である父の背中を見て学ぶことができるわけですからね。私は矯正歯科を中心に専門性を磨いてきましたので、今は父から受け継いだ入れ歯の技術と私が学んできた矯正の知識を組み合わせて診療を行っています。
こちらに戻られたのはいつ頃ですか?

2022年11月に戻ってきました。ちょうどコロナ禍が明けた頃ですね。戻ってきてからは父と1年間一緒に診療して、今は私が主に診療を担当しています。父は監督としていてくれており、必要な時にはアドバイスをもらっています。当院では矯正治療はほとんど行っていなかったので、私が新たに取り入れた分野といえますね。一方、父は義歯治療が非常に得意でして。私は矯正歯科と一般歯科の経験はありましたが、義歯治療にはあまりふれる機会がありませんでした。そこで、父が義歯を得意としているなら、それを教えてもらおう、と。私は「縁とタイミング」を大切にしているのですが、父が義歯治療に精通しているのも一つの縁と捉えて、技術を学ばせてもらっています。
気持ちと生活に配慮した矯正治療に情熱を注ぐ
矯正治療に力を入れておられる理由を教えてください。

矯正治療は見た目を良くするためのものだけではなく、歯の健康と機能改善のためにも非常に重要なんです。先ほどお伝えしたこととつながりますが、支える歯がまっすぐ生えていれば、後で入れたブリッジも長持ちしやすくなる。逆に歯並びが悪いと、噛み合わせのバランスが崩れて、せっかく入れたかぶせ物やブリッジが早く壊れてしまうことがあるんです。矯正で歯並びを整えられれば、治療効果の向上や長持ちしたりということが期待できるのです。また、歯並びが良くなると歯磨きもしやすくなるので、虫歯や歯周病の予防にとっても意味があります。ただ、まだ矯正治療を希望する患者さんが少ないので、もっと多くの方に矯正治療の重要性を知ってもらいたいと思っています。
矯正治療は高額というイメージがあります。
実際、患者さんの中には「矯正=数百万円」というイメージを持たれている方が多いです。費用面での不安に対しては、初めに見積書を作成して、患者さんの要望を聞きながら支払期間や回数を調整しています。例えば、20分割にして月々の負担を減らすなど、患者さんの経済状況に合わせた提案をしています。また、矯正治療は期間が長くなることもあるのですが、トータルフィーで金額を提示しているので、治療期間が延びても追加費用はかかりません。計画通りに進める自信があるからこその取り組みです。もし期間が延びたとしても、時間だけはいただくことになりますが、満足するまでお越しください。また当院に限らず、矯正をご検討中の方には、親しみやすい先生を選ぶことも大切だとお伝えしたいです。気になることを正直に相談できる関係性が重要です。
矯正歯科を学ぼうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

研修医として経験を積んでいた時期に、歯並びがバラバラな方や歯が欠損している方が多かったのですが、そうした状態でブリッジなどの治療をしても長持ちしないという気づきを得たのです。治療の幅を広げるには歯並びを整えることが必要だと感じ、矯正を学ぼうと決意しました。当時はインプラントが注目されていた時代でしたが、私は「歯並びを整えなければ、どんな治療も長続きしない」と考えたのです。最初は部分的な矯正を学ぼうと思っていましたが、全体的な矯正ができなければ細かい部分もできないと気づき、9年ほど勤務医として矯正歯科の技術を磨きました。矯正を学んだことで治療の幅が広がり、患者さんにより良い治療を提供できるようになったと実感しています。
「縁」がつながった人のため末永く噛める治療を
改めて、現在の患者層や多い相談内容について教えてください。

ご高齢の方が多いですね。父が50年近く診療していたこともあり、昭和20年代、30年代生まれの方がほとんどです。当院があるのは東武宇都宮駅から歩いて4、5分ほどの駅に近いにぎやかな地域で、以前は銀行や県庁、市役所が近くにあったので、そこで働いていた方々が引退されてからも通い続けてくださっています。「おじいちゃんにも診てもらったよ」とおっしゃる方も少なくありません。それに、父の代からの患者さんのお子さんやお孫さんも来てくださっています。長く通院されている患者さんが多いのは本当にありがたいことです。またご相談としては多いのは、義歯治療や補綴治療のやり換えです。歯が折れてしまって、新しくブリッジにするか義歯を作製するかという相談も頻繁にあります。
今後の展望をお聞かせください。
やはり、矯正治療により一層力を入れていきたいですね。矯正は見た目だけでなく、歯の健康と機能改善のために重要な治療。もっと多くの方に矯正治療の重要性を知ってもらいたいというのが私の願いです。そのために、SNSで情報発信も始めました。クリニックの雰囲気や診療の様子を知ってもらうことで、歯科受診のハードルを低くしたいのです。また、当院の認知度の向上も課題だと感じています。駅から近い好立地にありながら、あまり知られていないんですよ。せっかく地域に根差して診療をしているのだから、より多くの患者さんに出会いたいという思いもあります。啓発活動や認知度向上を、皆さんの歯の健康につなげていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「噛めること」というのは、とても大切なことです。ですから、歯が残っているのならその歯で噛めるように、歯がないのであれば義歯などの補綴物で噛めるようにして差し上げたいと思っています。しっかり噛んで食事ができることは、心も豊かにしますし、体調や免疫にも好影響を与えてくれる。つまり、健康寿命の延伸にとって大切なことなのです。ぜひともお口の健康に目を向けていただき、何か気になることがあれば、お近くの歯科医院にご相談ください。まずは、自分の状態を知ることが大切です。当院では矯正治療も行っていますので、歯並びが気になる方はぜひご相談いただければと思います。大切なのは「縁とタイミング」。この記事との出会いが皆さんの歯の健康につながるきっかけになれば幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/成人矯正:70万円~