佐藤 昭人 院長の独自取材記事
佐藤医院
(霧島市/嘉例川駅)
最終更新日:2025/12/04
嘉例川の自然豊かな地で60年以上にわたり地域医療を支えてきた「佐藤医院」。もともとホテルマンをめざしていたというのもうなずける、温厚な人柄の佐藤昭人院長は、東京女子医科大学で学んだ「全身を診る」という教えを胸に、1989年の帰郷後は、鹿児島県内でも早くから痛風の協力医療機関として専門的な診療を提供。患者の話をじっくり聞き、趣味まで把握する丁寧な診療スタイルで、幅広い年齢層の患者の健康をサポートしている。「先生を見ただけで元気が出た」という患者の言葉に、人と人とのつながりを大切にする医療の本質を感じたと話す佐藤院長。姶良地区医師会の会長として精力的に活動し、同院での診療のみならず地域の医療のために尽力する佐藤院長に、痛風診療への取り組みや地域医療にかける思いを取材してきた。
(取材日2025年10月30日)
東京での研鑽を経て、痛風診療の拠点に
こちらは歴史の長いクリニックだそうですね。

父が60年以上前からこの土地で開業していたんです。いわゆる「町医者」として、さまざまな患者さんの幅広い疾患を診ていました。出産の手伝いをしていたこともあったようです。夜中にも患者さんがいらっしゃったり、往診に行ったり、本当に24時間診療しているという印象で、子どもながらに大変な仕事だなと感じていましたね。私自身は、実はホテルマンになりたかったんですよ。海外の方々が日本で楽しく過ごし、喜んで帰っていかれる姿を見るのがすごく好きだったものですから。一方で、医師の家庭に育ったので、医師になることも選択肢の一つとしてありました。
クリニックの承継から現在に至るまでの経緯を教えてください。
私は次男として自由な立場でしたが、最終的には医学部に進学し、卒業後は東京女子医科大学大学院の病理学教室で4年間学びました。その後、聖隷浜松病院で総合内科に勤めたんです。1989年に鹿児島に戻ってきました。ちょうどその頃、兄が東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターに勤務していたこともあり、センター長から直接依頼を受けたんです。「鹿児島で痛風の拠点をつくってほしい」と。それで痛風の協力医療機関となり、現在まで専門的な診療を続けています。
医師としての診療姿勢に影響を与えた経験はありますか?

大学院時代の恩師から受けた教えが、今も生きています。「一つの病気を診るよりは、病気は全身の中の一部なので、全体を見てその中の一つの現象として考えなさい」と。異端児と呼ばれた教授でしたが、この全人的な視点は私の診療の基盤になっています。この教えを実践する場として、聖隷浜松病院での経験は貴重でした。神経内科と循環器内科以外の多様な内科疾患を診る環境で、幅広い臨床経験を積めたんです。専門を狭く限定せず、患者さんの全体を診る。今もその姿勢を大切にしています。
どのような患者さんが来院されていますか?
高齢の方が圧倒的に多く、父の時代から親子3代で通われている方もたくさんいらっしゃいます。小児科も診療していますので、お子さんも来院されます。疾患としては、高血圧症や糖尿病の患者さんが多いですね。痛風については、インターネットで調べて遠方からも患者さんが来られます。リウマチの患者さんも、私と、月1回診療を担当している兄が診ているので多数いらっしゃいます。私も日本リウマチ学会認定リウマチ専門医を持っているため、気軽に相談いただければと思っています。当院は有床診療所として14床を持ち、在宅医療や介護サービスも提供しているので、地域の幅広いニーズに対応しています。
一人ひとりと向き合う、心の通う診療を
強みとされている痛風の診療において、重視されていることは何ですか?

痛風は突然激しい痛みが起こる病気です。患者さんは働き盛りの男性が多いため、仕事を休まざるを得なくなることもあります。当院では痛みへの対応はもちろん、生活習慣病の一つとして全身の健康状態も含めて診療しています。実は痛風は心筋梗塞などのリスク要因にもなり得る病気なんです。ただ、まだその認識が十分に浸透していません。正しい知識と治療の重要性を患者さんに伝えることも、私たちのような町のクリニックの大切な役割だと考えています。県内でも痛風を専門的に診療できる医療機関は限られていますので、しっかりとした治療を提供していきたいですね。
日々の診療で大切にしていることを教えてください。
患者さんのお話をしっかり聞くことを大切にしています。一人ひとりに時間をかけて、病気だけでなく普段の生活についても聞きます。例えばグランドゴルフが好きな方なら、それをメモしておいて次回の診察で話題にするんです。趣味の話から始まると、患者さんもリラックスしていろいろと話してくださいます。それから、高齢の方には「年だから」という言葉は使わないよう心がけています。年齢で済ませてしまうと患者さんは残念な思いをされますから。最近では「先生を見ただけで元気が出た」と言ってくださる患者さんもいらっしゃって、それが本当にうれしくて。この言葉が私の原動力になっていますね。だから、一人でも多くの方にそう言っていただけるような医療をめざしたいと思っています。
医療と介護の連携についてはどのように取り組んでいますか?

ご高齢の患者さんは自分の病気で迷惑をかけたくないと思われる方が多いです。だからこそ、じっくり時間をかけて話をして、家庭のことまで引き出すようにしています。今は医療と介護の連携が本当に大事な時代です。当院では通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、認知症対応型デイサービス、医療老人ホームも運営しています。先ほどお話ししたように、有床診療所の14床も維持しています。これは在宅療養で具合が悪くなった方への対応や、地元から離れたくない方のためです。他の病院への入院は嫌でも、当院なら入院してもいいという方もいらっしゃいます。家族もお見舞いに来やすいという理由で、そう思ってくださっているようですね。
何でも相談できる、真のかかりつけ医として
スタッフの皆さんとの連携で工夫していることはありますか?

当院には勤務歴の長いスタッフが非常に多く、親子で働いているメンバーもいます。一度辞めた方がまた戻ってこられることもあるんです。長年一緒に働いているので、患者さんの情報がある程度共有されています。もちろん個人情報は守りますが、対応が難しい患者さんについては一緒に話し合うこともあります。また、学校の先生と連携して診療することもあります。患者さんの生活全体を支えるには、スタッフみんなの協力が不可欠です。この信頼関係があるからこそ、きめ細かな医療が提供できていると思います。スタッフ一人ひとりが患者さんを大切に思う気持ちを持っています。
今後の地域医療でめざしていることは何ですか?
基本的には何でもある程度診られる状況を維持しながら、痛風やリウマチに対する専門性も生かしていきたいです。この地域は高齢化率も高くなっていますが、医療や介護について聞きたいことがあればいつでも相談に来ていただけるクリニックでありたい。受診のハードルを低くして、真のかかりつけ医として、何でも気軽に相談できる存在をめざしています。患者さんとの信頼関係を大切にしながら、これからも地域医療に貢献していきたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

先ほども申しあげましたが、痛風は単なる関節の病気ではありません。生活習慣病の一部として、心筋梗塞や脳梗塞にもつながりかねない病気です。今後増えていくとされる病気ですし、正しい治療が必要です。痛風でお困りの方、ご相談がある方は遠慮なくお越しください。一緒に治療に取り組んでいきましょう。

