渡邉 剛志 院長の独自取材記事
日高内科・内視鏡クリニック
(薩摩川内市/隈之城駅)
最終更新日:2025/06/09

薩摩川内市勝目町にある「日高内科・内視鏡クリニック」は、今年開業28周年を迎える地域に根差したクリニック。2019年に先代から承継した渡邉剛志院長は鹿児島大学卒業後、関東の基幹病院などで研鑽を積んだ、消化器疾患や内視鏡検査のスペシャリスト。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本肝臓学会肝臓専門医の資格を保有している。現在は地域のかかりつけ医として、スピード感と苦痛軽減を重視した内視鏡検査を強みに、内科に関する幅広い診療の提供に努めている。一言交わすだけでわかる渡邉院長の優しく丁寧な人柄が、クリニックを包む温かい雰囲気をつくり上げているのだろう。今回はそんな渡邉院長に、診療への想いをたっぷり聞かせてもらった。
(取材日2025年5月19日)
そばで寄り添うよう医療と専門病院へつなぐ「窓口」に
クリニックの歴史と診療内容についてお聞きします。

1997年に先代がこの地に開業し、今年の7月に28周年を迎えます。私の専門である内視鏡検査に力を注いでいくという意図を込めて2024年1月から「日高内科・内視鏡クリニック」へと改名しました。当クリニックは隣接する市までの間に診療所が乏しく、そのため、周辺地域において欠かすことのできない医療機関であるという自覚をスタッフ全員が持ち、日々の診療を行っています。風邪や腹痛といったお悩みから生活習慣病や高齢者特有の疾患など幅広く診療を行うとともに、内視鏡検査、日帰りでのポリープ切除のほか、企業健診にも対応。こちらで完結できない疾患や症状については適切な専門の医療機関へスムーズに紹介させていただきます。道路の向かいには法人が運営するグループホームもあり、地域の方々が生きていく中で直面するさまざまな問題に関わらせていただくこと。それが、当クリニックの開業当初からの取り組みです。
先生はどのようなご経歴を歩んでこられたのですか?
東京で生まれ育ち、九州で暮らしてみたいという思いから鹿児島大学に進学しました。大学時代は勉学に励む傍ら、クラスメイトと一緒にマラソン大会へ毎年出場することも楽しみであり、目標の一つでした。卒業後は、幼い頃に小児喘息の治療で通っていた病院で臨床研修を受けたことも良い思い出です。臨床研修が終わると、北関東の基幹病院で消化器疾患について検査や治療など幅広く学び、同時に悪性疾患に対しての抗がん剤治療も多く経験させてもらいました。そして昭和医科大学横浜市北部病院の消化器センターでは内視鏡による診断法などを学ばせていただき、都内の大学病院の勤務を経て、2019年に当クリニックの院長に就任しました。私は医師を志した頃から、患者さまと近い距離で関われる地域医療に携わりたいという思いがあったので、それを実践できていることに喜びを感じており、患者さまに寄り添うような存在でありたいと思っています。
患者層や主訴についてはいかがでしょうか。

若い方から90代の方まで、幅広くいらしています。お勤めの方も多いですが、農家の方も多いですね。内視鏡検査は市をまたいで来てくださる方もいますし、薩摩川内市に属する離島の甑島(こしきしま)から、フェリーでいらしてくださる方もいます。土曜日には、お尻のお悩みで若い方が多く来られる印象です。昨年は熱中症や脱水症の方が多かったので、今年は無理せず過ごしてほしいですね。ご高齢の方はよく「てそか」と言われるんです。これは鹿児島弁で「だるい」「きつい」を意味しますが、どこがだるいのかを少しずつ聞かせていただきながらの診療につなげていくことも日常的に行っています。
体の悩みに対する解決の糸口が見つかるような場所ですね。
そうありたいです。病院に勤務していた頃は、消化器系疾患の専門家として種々の疾患を掘り下げて、ほかの診療科とともに治療を行っていくことに主眼がありました。しかし地域のクリニックとなると、身近に他科を専門とする医療機関があるわけではありません。そのため当クリニックは、大きな病院や専門の医療機関につなげる「窓口」となることも重要な役割だと考え、まずは診療と検査をしっかり行うよう意識しています。
スピード感や苦痛の軽減を重視した内視鏡検査
先生のご専門である内視鏡検査についても伺います。

胃と大腸の内視鏡検査を随時行っており、がんを早期に拾い上げられるよう努めています。胃の内視鏡検査は当日の検査も可能です。スピーディーに対応できる体制を整えたのは、患者さまの不安を少しでも取り除いて差し上げたいという思いから。話をお聞きして、可能な状況であればすぐに検査を行わせていただきます。通常の内視鏡以外にも、外径が細く、検査時に負担の軽減が期待される細径内視鏡を、鼻からや口から挿入することで、苦痛や不快感の軽減に努めています。そして、問診から実際の検査における声がけも大切にしていることです。楽な気持ちで受けていただけるような配慮は欠かしません。問診では、おなかの悩みや症状を丁寧に細かく伺うことや、生活習慣、排便習慣にもリスクが含まれていることがあるため、がんの可能性も吟味しながらお話を聞くよう意識しています。
ほかにも、さまざまな検査を行えるとか。
消化管の評価としては、今話題の「腸活」に関わるような相談にも乗っています。他にも、身体のコンディションに関して睡眠は大事ですが、睡眠時無呼吸症候群の検査だけでなく、当院では睡眠の質や深さなども評価するような検査も用意しております。睡眠については、幅広い年齢層の患者さまから聞くお悩みです。また、骨塩定量検査による骨粗しょう症の診断も可能となっております。検査の内容についてはお気軽にご相談ください。
診療の際にはどのようなことを心がけていますか?

患者さまの口から話を聞くことです。ご自身の言葉で語っていただくことで、病気に至るまでの時間的な流れや、患者さまの背景にある問題など、少しずつ状況が見えてきます。患者さまの中には理路整然と主訴をお話ししてくださる方もいますが、少しずつ言葉が出てくる方も多いですよね。そういった方には、本当に訴えたいことが聞けるまで、ゆっくりと急かさずにお話を聞かせていただく姿勢が大切だと考えています。
誠意のこもった丁寧な対応とわかりやすい説明
クリニックの前には法人が運営するグループホームがあり、連携されているとか。

はい。認知症を有する利用者さまに畏敬の念を持って寄り添い、自分らしく自由に、安心して過ごしていただきたいと思い、グループホームを運営しています。具体的には、温かみのある集団生活を営んでいただきつつ、健康面でも安心して過ごすことができればと願い、連携体制を整えています。クリニックとしては、持病や慢性疾患へのケアを行いつつ、日々起こる体調の小さな変化を見逃さないことを大切にしています。「先生、元気に過ごしているよ!」と声をかけていただけるような医療が目標です。患者さまやご家族から感謝の言葉をいただくと「こちらこそ」という思いでいっぱいになりますね。
ところで、先生はどういったきっかけで医師を志されたのですか?
病気や悩みに耳を傾け、専門知識や技術を通じて癒やして差し上げることで、健康でいられるよう貢献したいと思ったからです。振り返ってみると、私は幼い頃に小児喘息があり地域の病院の先生にお世話になっていました。また、山間部で農業をたしなんでいた祖母が、若い頃は看護師だったそうで。私がケガをした時に処置をする手慣れた姿を見て、「おばあちゃんはすごいな」と思ったものです。そのような経験も、医療に携わるきっかけとなったのかもしれませんね。
今後のご展望を教えてください。

創立以来のモットーである地域医療に貢献することをモットーに取り組んでいくことは、今後も変わりありません。また内視鏡検査によって、がんの早期発見・早期治療につなげ、地域の方々に貢献できればと思っています。かかりつけ医として、慢性疾患や認知症、フレイルなどに悩むご高齢の患者さまに寄り添う医療機関であるということ。そして、体の不調に関して最初に相談できる窓口でありつつ、必要であればしかるべき医療機関へ紹介すること。そういった当たり前のことをしっかり行いつつ、これからも地域に貢献できるよう研鑽を積んでいきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
患者さまに満足いただけるよう、丁寧な対応とわかりやすい説明を誠心誠意行ってまいります。些細なことでも構いませんので、お気軽にいらしてくださいね。お待ちしております。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃の内視鏡検査/1万1000円~1万6000円程度、大腸の内視鏡検査/1万7700円~2万3900円程度