桂 禎紀 院長の独自取材記事
かつらクリニック
(鹿児島市/高見馬場駅)
最終更新日:2025/04/18

天文館通駅より徒歩8分の栄えた場所に位置する「かつらクリニック」は、開業当初から内視鏡検査に重点を置き、がんの早期発見・早期治療をめざした取り組みを行っている。また、2025年3月には診察室の増設など院内も一部リニューアル。高血圧や糖尿病などの一般内科診療にも対応し、地域住民の幅広い健康ニーズに応えているクリニックだ。「病気を悲観的に捉えるのではなく、患者さんが安心して治療に向かえるようなサポートをしたい」と穏やかな口調で話す姿が印象的な桂禎紀院長に、医師をめざしたきっかけから検査の際に気をつけていることなど幅広く聞いた。
(取材日2024年10月31日)
離島からの患者など幅広い患者層が特徴
先生が医師をめざしたきっかけを教えていただけますか?

私はもともと佐世保工業高等専門学校の機械科を卒業しましたが、在学中に進路を変えるきっかけがいくつかあり、医師を志すことにしました。その一つが、家族が体調を崩して入院した際の出来事です。入院先の病院には、知人のご家族が外科医師として勤務されていました。その方の働きぶりを目の当たりにして「かっこいいな」と強く感じたことが、医師をめざす大きなきっかけとなりましたね。
天文館という繁華街に開業されたのはなぜでしょうか?
最初にこの土地を選んだ理由は、交通の便が良いと考えたからです。日置市や出水市といった遠方や、種子島や屋久島、徳之島といった離島からも多くの患者さんが来院されます。さまざまな地域から来られるので、住宅街であるとアクセスが悪く通いにくいと感じました。そこで、遠方からも通いやすい立地を重視して、このエリアで開業することを決めたのです。
診療内容と、来院される患者さんの年齢層を教えてください。

午前9時から11時までを内視鏡検査の時間にあてています。その後、11時からお昼過ぎまでは、糖尿病や高血圧といった一般内科の患者さんの診療も行っています。力を入れているのはやはり内視鏡検査ですね。検査に来られる方は30代から80代までと幅広いです。最高齢だと80代の方も「検査を受けたい」と希望される場合もありますよ。
患者一人ひとりに合わせた苦痛の少ない内視鏡検査
クリニックの特色である、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査について詳しく教えてください。

胃内視鏡検査は、午前中では8人程度まで実施可能です。一日で胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査の両方を受けたいという方もおり、その場合は、まず胃の検査を行ってから大腸検査の準備をしていただきます。鎮静剤を使った検査も行っていますが、他のクリニックと比べると使用量は約半分程度で、完全には意識を落とさず、軽い鎮静を図る程度にとどめています。とはいえ、鎮静作用には個人差があります。大腸内視鏡検査については、当院では少量の鎮静剤しか使用せず、患者さんにもモニターを見ていただきながら一緒に進めるようにしています。
強い鎮静剤を使わないのは先生のこだわりなのですね。
大腸内視鏡検査に関しては特にそうですね。当院では患者さんと一緒にモニターを見ながら説明しつつ検査を進めることで、より納得していただきたいという思いがあります。実は私自身も検査を受けるときには、そうしてもらいたいと思うのですが、どうしても多めに使われてしまい、自分の腸の中をリアルタイムで見た経験がないんです。患者さんに伺っても、ポリープなどが見つかった際に「取りますよ」と説明しながら一緒に確認できるほうが安心感があるとおっしゃいます。眠っている間に処置をして「大丈夫ですよ」と言われても、やはり少し不安が残ることもあるかもしれません。そのため、当院では痛み止めはもちろん使用しますが、眠ってしまうほどの強い鎮静剤は使用していません。
胃内視鏡検査の場合も同様でしょうか?

胃内視鏡検査も、鎮静剤の量は抑えるようにしています。ただし、患者さんが苦痛を感じないよう、年齢や体調などをお伺いしながら量を調整しています。患者さんのご要望もお聞きして「少し多めにしてほしい」などのご希望があれば、それに応じて対応します。他の施設で内視鏡検査を受けたことがある患者さんから「鎮静剤なしで受けた」など、さまざまな体験を伺うことが多いですね。そのお話を参考にしながら、一人ひとりに合わせた検査を心がけています。特に若い方は、どうしても咽頭反射が強く出てしまう傾向があるので、少し鎮静剤を多めにすることもあります。
検査の際に気をつけていることはありますか?
これは当然のことですが、胃内視鏡検査では、患者さんが咽頭反射で苦しくならないように丁寧に進めることを心がけています。また、胃の検査は時間をかけすぎると苦痛が増すため、異常が見られない場合はなるべく短時間で終わらせるようにしています。もちろん、がんの見落としがないよう注意深く観察しつつ、必要最小限の時間で検査を行うようにしています。一方で、大腸内視鏡検査では時間よりも「痛みを感じさせない」ことが重要です。鎮静剤の量を抑えて検査を行う中で、痛みに配慮しながら平均して5分程度で終えられるようにしています。患者さんにとって負担が少なく優しい検査であるように、環境にとっても優しくないといけないと考え、内視鏡の洗浄機もオゾン洗浄機にこの春変更しました。
患者が安心して治療に向かえるようにサポート
普段の診療で心がけていることを教えてください。

患者さんの立場に立って、少しでも安心していただけるような診療を心がけています。特に、初診で内視鏡検査を受けたいという方は緊張されることが多いですよね。まず世間話をして打ち解けてもらい、安心感を持って検査に臨んでもらえるよう心がけています。「必ず来ないと悪くなる」「薬を飲まないといけない」など強い口調で患者さんを不安にさせる対応は、私は避けたいと思っています。たとえがんが見つかったとしても、「手術できる状態で見つかって良かったですね」と前向きな話をします。病気を悲観的に捉えるのではなく、患者さんが安心して治療に向かえるようなサポートが私のモットーです。病気を治していくのは患者さん自身で、私たちはそのお手伝いをする立場ですから、なるべく心配をかけないように努めています。
今後の展望はどのようにお考えでしょうか?
年齢的に後継者のことも考える時期に来たと感じています。現在、40代の非常に信頼できる先生が一部診療を担当してくださっています。その先生は、患者さんとのコミュニケーションを大切にしてくれるとても優秀な方です。患者さんにも信頼されていて、やわらかい雰囲気を持っていますね。親戚でなくても、優秀で信頼できる先生がいれば、その方に引き継いでいくのが理想だと考えています。しかし、僕は生涯現役を貫きたいと考えていますので2~3年以内に本格的な「医師2人体制」とし、今より内視鏡検査の数も増やしていく予定です。また高血圧・糖尿病・便秘や胃腸障害などの一般外来も、今まで以上に柔軟に対応できるように2025年3月には診察室を2つに増やしました。大腸内視鏡検査の準備室も洋風のデザインに変更したりと院内のリニューアルも行っています。これからも患者さんやスタッフのために院内環境の整備にも取り組んでいきたいです。
ホームページに掲載されている、先生の旅行ブログが患者さんに好評だそうですね。

旅行は10代の頃からの趣味なんです。若い頃には、佐世保からヒッチハイクで大阪まで行き、そこから電車で北海道を訪れたこともあります。最近では上高地や屋久島にも足を運びました。人生は働くためだけではありませんから、私も趣味を楽しみながら診療を続けたいと考えています。ブログに旅行先の写真を載せると、患者さんにも楽しんでいただけているようで「先生、今度はここに行かれたんですね」と声をかけてくださる方もいらっしゃるのがうれしいですね。
読者にメッセージをお願いします。
当院では、内視鏡検査を単なる検査と捉えるのではなく、その後の説明やお話を通じて、安心感をお届けすることを大切にしています。検査の目的は、がんを見つけることだけではなく「異常がない」という安心感を提供するためでもあります。私自身も定期的に胃や大腸の内視鏡検査を受けており、その経験をもとに患者さんに検査の重要性をお伝えしています。どんなに健康であっても、数年に1度は検査を受けることで自分の体を確認し、安心して過ごせるようにすることが大切です。皆さんもぜひ、安心のために定期的な検査を受けていただけたらと思います。