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中村 佐知子 院長の独自取材記事

中村(哲)産婦人科内科

(鹿児島市/甲東中学校前駅)

最終更新日:2025/12/29

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科 main

鹿児島市電の甲東中学校前電停から徒歩2分、鹿児島市樋之口町にある「中村(哲)産婦人科内科」が開院したのは、なんと1973年。以来、半世紀以上にわたり、女性の健康に寄り添ってきた。2012年から院長を務めるのは、父である先代院長の後を継いだ中村佐知子(さちこ)院長。中村院長は、産婦人科を「女性の一生を通じた健康のパートナー」と捉え、思春期から妊娠・出産、更年期、そして老年期まで、それぞれの世代に応じたきめ細かな診療を大切にしている。クリニックには医師を含め女性スタッフがそろい、来院した方が安心して話せるような温かな空間だ。やわらかな語り口でありながら、想いは熱い、そんな中村院長に、診療において大切にしていることやクリニックの特徴、今後の展望などについて話を聞いた。

(取材日2025年7月16日)

父の想いを受け継ぎ、産婦人科医の道へ

開院は半世紀以上前と伺いました。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科1

当クリニックは1973年に父が開院しました。樋之口町というと夜の繁華街のイメージが強いかもしれませんが、この場所を選んだ理由はアクセスの良さ、特に「市立病院から近かったこと」だったと聞いています。市立病院は2015年に移転しましたが、開院当時は徒歩2分という非常に近い距離にありました。父は開業前まで市立病院で勤務していたため、いざというときにすぐに連携できる立地が重要だったようです。また、当時は年間出生数が200万人を超える「第二次ベビーブーム」の真っただ中。産科では、出産の経過が急変して医療介入が必要になることもあるため、古巣がすぐそばにあるという安心感は、1人でクリニックを始める上で大きなポイントになったのだと思います。

先生ご自身も産婦人科を選択されたのはどういった思いからでしょうか?

父の背中を見て育ったこともあり、医師になるのは幼い頃から決めていましたが、医学生になってからはどの診療科を選択しようか悩みました。そんな時、開院当初から父を支え、私の成長を見守ってくれていた婦長と事務長が「不妊治療や抗がん剤治療に尽力してきたお父さんのように頑張って」と励ましてくれたことで、産婦人科へ進もうと決意しました。大学卒業後は鹿児島大学の産婦人科に入局し、日本生殖医学会認定の生殖医療専門医として不妊治療に携わってきました。分娩に対応していなくても、不妊治療や妊婦健診という形で新しい命の誕生を支えられるのは非常にうれしいですね。母子双方から大きなエネルギーをもらい、この仕事のやりがいと喜びを実感しています。

50年以上の歴史の中で、診療内容はどのように変化してきましたか?

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科2

開院当時は第二次ベビーブームの真っ只中で、お産中心の診療でしたが、現在は分娩は扱っておらず、地域の病院と連携したセミオープンシステムのもとで妊婦健診を行っています。少子化が進む中で、診療の中心が産科から婦人科へと移行していき、今では思春期から老年期まで、あらゆる世代の女性が来院されます。52年この地で診療を続けていることもあり、かつて当クリニックで誕生した赤ちゃんが成長し、思春期を迎えてお母さまと一緒に来院されることもあります。また、当クリニックには内科の医師も在籍しており、風邪などの一般的な内科診療にも対応しています。加えて、不妊に関するご相談やプレコンセプションケアの他、プラセンタ注射などの自由診療も行っています。女性のあらゆるライフステージに寄り添えるよう、幅広い医療を提供しています。

思春期から更年期、老年期まで女性に寄り添う医療を

先生が、患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科3

不正出血や腹痛、関節痛、頭痛といった身体の不調から、気分の落ち込みなど精神面の不調まで、女性特有の悩みは実に多様です。不正出血を「がんかもしれない」と思い詰め、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。もしそのようなことがあれば、患者さんの顔を見て「大丈夫よ」と優しく声をかけるようにしています。医師にそう言われたら、緊張がほどけ、気持ちが軽くなる方も多いのではないでしょうか。そこからようやく、不調や心配事を話していただけると思います。まずは安心してもらうこと、それが診療の第一歩だと考えています。私自身も更年期の年代となり、実際に体験することで、より患者さんの気持ちに寄り添えるようになりました。患者さんの立場に立ち、少しでも安心につながるような寄り添い方ができるよう心がけています。

生理痛や月経困難症などの相談にも対応していますね。

女性の体は、思春期に初潮を迎え、排卵や生理が安定することで妊娠・出産が可能になります。しかしこの時期は、体の機能がまだ未熟なため、生理痛や過多月経などのトラブルが起こりやすく、症状の強さにも個人差があります。かつては「生理痛は病気ではないから」と我慢を強いられる風潮もありましたが、現在では「つらい痛みは我慢せず、楽になるための治療を受けましょう」という考え方が主流になりつつあります。それでもなお、強い痛みに耐えながら保健室に通う女子学生は少なくないと思います。強い生理痛を放置すると子宮内膜症や不妊の原因となることもあるとされていますし、生理不順は骨粗しょう症のリスクを高めることも知られています。こうした将来的なリスクを避けるためにも、必要に応じて早めに治療を行うことが大切なのです。

具体的に、どのような治療を行うのでしょうか?

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科4

治療の多くは低用量ピルを用います。以前はピル=避妊薬というイメージが強く、服用に抵抗を感じる風潮がありましたが、最近では「生理痛や生理不順など女性特有の悩みに有用」という認識が広まりつつあります。経血量の多い過多月経などの改善にも効果が期待されており、子宮体がんや卵巣がんの発生にも関係性がある可能性を視野に研究も進められています。「娘の生理痛がひどい」と婦人科にかかりピルを提案された際、ピルを服用させることをためらった経験のある方も、前向きに検討してみていただきたいです。生理痛に悩む思春期の女性に、新たな選択肢ができつつあるのではないでしょうか。

女性の人生に寄り添う場所でありたい

他には、どのような医療に携わっているのですか?

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科5

法人内にはグループホームや特別養護老人ホームがあり、そちらで訪問医療を行っています。施設には要介護4や5といった重度の方が多くいらっしゃいますが、要介護状態になってもできる限り自分らしく、元気に過ごしていただけるよう努めていますし、しかるべき状態となれば、看取りのご相談にも対応しています。通院困難な患者さんへの訪問医療は、今後さらに強化していきたい分野ですね。また、スポーツと医療の専門的な知識を生かし、長距離ランナーに多い貧血の検査・治療や、大会に向けた月経コントロールのご相談など、アスリートへのサポートにも取り組んでいます。しっかりと栄養が取れていないと疲労骨折を招くこともあり、特に葉酸や亜鉛の不足には注意深く目を向けています。

クリニックの、今後の展望を教えてください。

女性の人生に寄り添い、思春期の月経開始から妊娠・出産、さらには更年期や老年期に至るまで、健康をサポートできる存在でありたいと考えています。私自身も年齢を重ねる中で、更年期や老年期の悩みがより身近に感じられるようになり、加齢だけでなく生活習慣やストレスなども影響する女性の体調の変化に、より丁寧に対応したいと思うようになりました。妊娠しやすい体づくりや出産に向けた準備を支えるのはもちろん、悩みを気軽に話せる身近な医療機関として、いつでも安心して相談していただける場をめざしています。今後は通院が困難な方への訪問診療もさらに強化していきたいですし、将来的にはオンライン診療の導入にも取り組みたいと考えています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科6

現代では「自分らしく生きる」ことが簡単ではないと感じています。そんな中で、女性がそれぞれの生き方や価値観を大切にしながら前向きに過ごすためには、やはり健康が土台になると考えています。体調の不調やちょっとした不安も、医師に相談することで気持ちが軽くなることがありますし、多くの場合は原因を知ることで適切な治療につながります。さらには病気の早期発見という意味でも、子宮がん検診などは定期的に受けてほしいと思っています。当クリニックはアクセスがとても良く、何かのついでに立ち寄っていただける立地ですので、「なんでも相談できる地域のかかりつけ医」として、気軽にご利用いただけたらうれしいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

プラセンタ:550円~

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