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東 陽一郎 理事長の独自取材記事

東クリニック

(鹿児島市/涙橋駅)

最終更新日:2021/10/12

東陽一郎理事長 東クリニック main

鹿児島市電・涙橋駅から徒歩5分。交通量の多い国道から一本入った閑静な住宅街の中に「東クリニック」はある。理事長の東陽一郎(ひがし・よういちろう)先生は泌尿器科を専門に、長年東京の大学病院で経験を積んだドクター。もともとあった父の産婦人科クリニックを改修して、1995年に開業した。「患者さんとは対等な関係で、フランクにおしゃべりしています」と語る東先生のもとには、父の代からの患者や親子で代々通う人など、長年の付き合いの地域住民が多く訪ね、患者たちから慕われている様子がうかがえる。バイクや海釣りが趣味というアクティブな性格の東先生に、研修医時代の思い出から現在注力する診療などを取材した。

(取材日2021年5月17日)

婦人科も標榜。女性も通いやすい泌尿器科クリニック

先生は東京の大学病院に長く勤務していたそうですね。

東陽一郎理事長 東クリニック1

1978年に東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学附属病院の泌尿器科に入局しました。都内や近隣の県の関連病院にも勤務した後、1991年に鹿児島に帰ってきましたから、医学部生時代を含めるとかれこれ20年ほど関東にいたことになります。鹿児島に戻って最初の1年は鹿児島大学病院の泌尿器科に入局して、翌年から川内市医師会立市民病院に勤務しました。私はこの病院の創設期のメンバーにあたり、当時の医師仲間たちとは今も仲の良い付き合いをさせてもらっています。1995年、父が産婦人科の開業医だったので、父の医院を全面改修して婦人科と泌尿器科のクリニックとして当院を開業。翌年に院長に就任し、父が80歳で引退するまで一緒に診療をしていました。

お父さまの後を継いで開業されたのですね。

東陽一郎理事長 東クリニック2

父の後を継ぐのが当たり前という時代でもありましたし、私も父と診療することに抵抗はありませんでしたからね。ですが勤務医時代から、女性は出血した際に、ご自身では婦人科か泌尿器科のどちらに受診すればいいか判断がつかないことがよくあったので、一緒に診療しようということになりました。開業してみて、泌尿器科だけで診ていた頃よりも、迷っている患者さんと出会うケースが増えましたね。現在、医師は私一人なので婦人科の疾患は、市立病院や医師会病院、仲の良い婦人科の先生たちが何人かいるので、そちらへ紹介しています。専門外でわからないことに関しては、患者さんにもきちんとお話をして紹介先につなげています。

患者層を教えてください。

駅前の泌尿器科と違って、若い人や性感染症の相談などは少ないですね。多いのは中年以上の方で、泌尿器科だと血尿など目に見える異常をきっかけに来る方が多いです。婦人科を標榜しているので、他の泌尿器科と比べると女性が多いのも特徴です。父の代から来てくださっている人もいて、フランクなお付き合いをさせてもらっています。患者さんからいろいろな相談を受けますが、ご家族の相談事もたくさんありますね。時間をとってたくさん話してもらいますので、気にされる患者さんもいらっしゃると思いますが、次の人も待ってもらった分、同じくらい話をお聞きしますから大丈夫です。患者さんのお話は、医師としても、人生の先輩としてもとても勉強になります。私は今68歳なので、自分の体の状態とも比較ができますし、患者さんの状態がさらによくわかるようになりました。

生活の質に関わる泌尿器科疾患や在宅医療に注力

力を入れている診療を教えてください。

東陽一郎理事長 東クリニック3

泌尿器科で今一番興味を持って取り組んでいるのが過活動膀胱の治療です。過活動膀胱とは排尿のトラブルの一つで、膀胱内に尿がそれほどたまっていないのに、我慢できないような強い尿意を催します。頻尿になり、昼間何度もトイレに行ったり、夜中に何度も目が覚めたり、あるいはトイレに間に合わず失禁したり、尿が漏れてしまうことも。50代以上の方には珍しくない疾患ですが、一度尿漏れを経験するとショックが大きく、出かけられなくなってしまう人もいます。がんのように命に関わるものではありませんが、その人の自尊心をとても傷つけてしまうのです。当院では在宅医療も注力して取り組んでいますが、在宅の患者さんにも過活動膀胱の方は多いので、例えばベッドからトイレまでの距離、寝具や着ている衣服など、一人ひとりの状況をよく伺って日常生活でできる工夫をアドバイスしています。

在宅医療も対応されているのですね。

当院の患者さんで在宅で診ている人はそれほど多くないのですが、主治医の先生がついている方で、泌尿器科関係の手技が必要な人を多く診ています。一番遠い方だと、カテーテルの管理で喜入町まで。ほかに指宿の人もいますが、遠方からわざ来てもらうのは患者さんにとって大きな負担ですから、ドライブがてら出かけています。私は機械を触るのが好きなので、ポータブルの膀胱鏡や超音波検査の装置を導入しているんですよ。タブレットで検査画像を見ることができて、画質もかなり良いので便利ですし、患者さんにも画像を見せながら説明ができます。ご高齢になって泌尿器科のトラブルが起きたとき、「年だからいいじゃない」で済ませるご家族は少なくて、きちんと原因を知りたいという方が多いので、その際にもこうした検査機器が活躍しています。

やりがいを感じるのはどんな時ですか?

東陽一郎理事長 東クリニック4

月並みですが、患者さんが元気になられた時ですね。その様子を目にすることができるなんて、ぜいたくな仕事だなと思います。夜中、寝ているところを起こされて往診に行くこともあるのですが、私も人間ですから、寝ているところを起こされるのがきつい時もあるんです。でも患者さんのところへ行くと、「今日は行って良かった」と思いますね。患者さんと接する時は対等な目線に立って、フラットな関係であることを意識しています。私が患者さんを「治した」のではなくて、患者さんの体が「治っていくのを手助けしている」と思っています。

患者と対等な立場で、互いに与え合う関係を築く

先生はなぜ泌尿器科を専門にされたのでしょう。

東陽一郎理事長 東クリニック5

今でこそ胃カメラや大腸カメラといった内視鏡がありますが、私が医学部を卒業した当時は泌尿器科が内視鏡を最も扱う診療科でした。外科系で、腎臓内科とも関連があるので全身を診る必要があり、中には精神的なものが原因になっていることがあるので、範囲が広く、奥深さがあるのが魅力でした。ただ、当時の泌尿器科は性感染症を診る科としてのイメージが強く、医師の中ですらあまり良くない印象を持っている人がいました。しかし実際に入ってみるとそんなことはなくて、手術から、人工透析一歩手前の全身疾患、精神的なものまで幅広く診る必要があって、非常に魅力的な科なんです。

研修医や勤務医時代、先輩や上司からはどのような指導を受けましたか?

印象に残っている先生はたくさんいますが、特に記憶に残っているのは「鬼軍曹」と呼ばれていた先生。医師になってから自衛隊に入隊した変わった経歴の先生で、私たちにはとても厳しかったのですが、患者さんにはすごく優しい方でした。もちろん優しいからこその厳しさだったのですが、口であれこれ言うよりも態度で示す人でしたね。患者さんの情報は全部頭の中に入っていて、顔を見ただけでその方のことを言えるので、研修医だった私は心から驚いたものです。また看護師さんたちも、ひよっこの研修医たちをかわいがってくれて、よく一緒にお酒を飲みに行ったものです。看護師さんがつける看護日誌には、普段患者さんと最も接する立場からいろいろなことが書いてあるので、いつも目を通していました。今も病院往診の時は看護日誌を見るようにしています。

今後、どのようなことに力を入れていきたいですか?

東陽一郎理事長 東クリニック6

当院は在宅専門ではありませんが、専門で取り組まれている先生方と連携して、泌尿器科のことで患者さんにできることはすべてして差し上げたいと思っています。また近隣の患者さんに関しては、今後看取りにも取り組んでいきたいです。少なくともこの地区にお住まいの方から依頼があれば、看取りをしてあげたいですね。私は医師ですが、人間同士のことですから、対等な関係としてフランクに皆さんと接しています。患者さんから多くのことを学ばせてもらい、私からは医師としての特技と専門知識を与えるウィンウィンの関係だと思っていますから、毎日楽しく診療をさせてもらっています。

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