日高 健太郎 院長の独自取材記事
ひだか胃腸科医院
(宮崎市/佐土原駅)
最終更新日:2022/01/19
JR日豊線佐土原駅から徒歩約20分の閑静な住宅街の一角にある「ひだか胃腸科医院」。1994年の開業以来、長年にわたり地域に根差して診療を続けている。院長を務める日高健太郎先生は、大学病院などで消化器外科の医師として研鑽。胃がんや大腸がんの手術にも携わってきた経験豊富なドクターだ。同院では、妻である日高せつ子副院長とともに、専門の胃腸疾患を中心に幅広い病気の診療にあたる。中でも、不調の原因を見極め、適切な治療を施すため、「胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査に力を入れています」と語る日高院長。患者の状態に合わせて食事指導や運動指導も行うなど、一人ひとりの患者に合わせたこまやかなサポートを心がけている。副院長との二人三脚で診療に取り組む日高院長に、開業の経緯から今後の展望に至るまで幅広く語ってもらった。
(取材日2021年12月11日)
専門の胃腸疾患から生活習慣病まで幅広く診療
まずは、開業の経緯や先生のご経歴をお聞かせください。
1970年に父が隣の建物で開業したのが当院の始まりです。父は国富町出身で、さまざまな場所で診療。諸塚村の病院での勤務を経て、佐土原町で開業しました。私は久留米大学医学部を卒業後、父の知り合いの先生がいたことから、宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)第一外科に入局。大学に所属しながら、都城や宮崎の市郡医師会病院でも勤務しました。勤務医時代は、目の前の患者さんを必死に治療。胃がんや大腸がん、胆石症などの手術にも携わりました。日中だけでなく夜中に手術を行うこともありましたね。忙しい毎日で、看護師さんたちと「今私たちに必要なのはパワーだね」と話すことも(笑)。医師会病院での勤務後、開業準備のために大学病院に戻り、外来診療を経験。1994年にこの場所で開業しました。
長年地域に根差して診療を続けてこられたのですね。
開業当初は医院の2階が入院病棟で、3階で手術も行っていたんです。しかし、10年ほど前に入院病棟を閉鎖し、それに伴い手術も行わなくなりました。患者さんの主訴も、時代とともに変化してきたように感じますね。開業当初は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患う患者さんが多く来院されていたのですが、今ではそうした病気の治療に来られる患者さんは少なくなりました。喫煙者の減少やピロリ菌の除去治療が普及したことなどが、患者数の減少と関係しているのかもしれません。潰瘍の一因とされるピロリ菌を除去することで、胃・十二指腸潰瘍の発症を抑えることにもつながりますしね。一方、ピロリ菌を除去することで胃酸の分泌が活発になるため、人によっては逆流性食道炎の症状が出やすくなることもあります。
現在はどんな患者さんが多くいらっしゃいますか?
患者さんのほとんどは佐土原町内からいらっしゃっていますが、時折、新富町や都農町などから来院される患者さんもいらっしゃいます。私は父の開業に伴い、中学3年生の時に引っ越して以来、ずっと佐土原町に住んでいますので、学生時代の同級生も幾人か通ってくれています。若い患者さんがいらっしゃることもあるものの、全体的にはご高齢の患者さんが多いですね。開業から27年が経過しましたので、開業当初から通ってくださっている患者さんも皆さんお年を召してこられました。患者さんの主訴として多いのは、慢性胃炎や逆流性食道炎でしょうか。その他、高血圧症や脂質異常症、糖尿病など、生活習慣病を患う患者さんも多く通っていらっしゃいます。
原因を見極め適切な治療を施すため、内視鏡検査に注力
現在、特に力を入れている診療は?
胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査、そして訪問診療に力を入れています。がん検診のために内視鏡検査を受けに来る方もいらっしゃいますが、どちらかというと、病気の経過観察のために数年おきに検査を受けに来られる方のほうが多いでしょうか。また大腸内視鏡検査の場合、便潜血検査で異常が見つかったということで再検査を受けにいらっしゃる方が多いですね。当院の内視鏡検査では、より正確な診断を行っていくために、「NBI」という技術を採用しています。原因がわかれば適切な治療を施して差し上げられると思うからです。ただ精神的なものが原因の場合、検査しても異常が見つからないということもありますね。
原因を見極めることが大切なのですね。
胃腸の調子が悪いと、多くの患者さんは「ストレスが原因でしょうか?」と言われます。もちろん、ストレスが原因で胃腸の不調が生じることもあるのですが、すべてがストレスからくるわけではありません。安易にストレスのせいと考えて、抗不安薬などに頼るのは良くないと思います。そうならないためにも、しっかり検査を行い、原因を見つけることを大切にしています。中には、不調の原因が生活習慣にあることも。その場合、食習慣などを見直すことで症状が改善することもあります。患者さんの状況に合ったアドバイスを行うことは、妻である副院長のほうが得意としています。話を聞いてもらって涙を流す患者さんもいたほどだそうです。副院長は当院でも、診療の際に時間をかけて患者さんのお話を聞くよう心がけています。
患者さんに寄り添ってこまやかにサポートされているのですね。
糖尿病や脂質異常症の患者さんの場合、食事指導や運動指導も行います。その方の状況に合わせて具体的に指導するよう心がけていますね。また逆流性食道炎の患者さんに対しても、「さつまいもや小豆などは胃酸の逆流を招きやすいようですよ」など、避けたほうが良い食物についてお話しさせていただくことがあります。自分自身の経験を交えてお話しさせていただくことも多いですね。実は私自身、慢性胃炎を患ったことがありまして、その時、温野菜を食べても平気でしたが、生野菜を食べると調子が悪くなったんです。そうした私自身の経験も交えつつ、慢性胃炎の患者さんに消化に悪いものを避けるようお勧めしています。副院長も、お一人お一人の患者さんに寄り添い、丁寧に診療するよう心がけていますね。
夫婦二人三脚で、患者に寄り添った診療を提供する
奥さまと二人三脚で診療に取り組んでいらっしゃるのですね。
2人で話し合って診療方針などを決めているわけではないのですが、自然と同じ方向性を持って診療にあたっています。中には副院長に診てもらうことを希望される患者さんもいらっしゃいますね。性格も診療スタイルも異なる2人の医師がそれぞれの特性を生かして診療を行うことで、患者さんお一人お一人に合わせた診療を提供できているのではないでしょうか。
診療の際にはどんなことを心がけていますか?
できる限り患者さんをお待たせしないよう心がけています。私自身待つのがあまり好きではないというのもありまして。ただ、お待たせしないよう努めていても、時にはたくさんの患者さんが一斉にいらっしゃることもあり、どうしてもお待たせせざるを得ない状況が生じてしまうことを申し訳なく思っています。
休日の過ごし方や健康法についても教えてください。
休みの日は妻と一緒に買い物に行ったり、保護猫カフェに行ったりすることが多いですね。妻が保護猫カフェに行くのが好きなもので。私の両親も動物好きで、子どもの頃は実家に猫が9匹もいたんです。以前は休日にゴルフに行ったりもしていたのですが、ここ数年ゴルフはしていませんね。健康のために特に何かをしているわけではありませんが、食生活には気を配り、健康を保つようにしています。
最後に、今後の展望や読者に向けたメッセージをお願いします。
今後も、今までどおり地域に根差して診療していくことをめざしています。30代後半で当院を開業して、27年が経過しました。あと10年は元気に診療を続けていきたいですね。皆さんには、健康診断をきちんと受けていただければ幸いです。また健康診断で異常が見つかったなら、そのままにせずすぐに再検査を受けていただきたいですね。例えば糖尿病の場合、症状がないからといって治療を受けないままでいると、さまざまな合併症を引き起こすことにもつながりかねません。早めに受診していただき、医師とともに血糖コントロールを行っていければ、通常の生活を送っていくことも可能な場合も多いでしょう。病気の早期発見・早期治療のためにも、健康診断を受けるとともに、異常を指摘されたなら早めに病院を受診なさることをお勧めします。