坂元 紀陽 院長の独自取材記事
坂元循環器内科医院
(都城市/西都城駅)
最終更新日:2025/01/14

都城市の中心部、西都城駅から車で3分、徒歩13分の場所にある「坂元循環器内科医院」。1987年から長年にわたり地域医療を支えてきた村上循環器内科クリニックを承継し、2024年7月に坂元紀陽(すみはる)院長が開業した。内科、循環器内科を標榜し、生活習慣病の予防に注力している。患者一人ひとりに寄り添い、地域の医療機関とも連携を取りながら、診療を行う。「患者さん、ご家族の方から信頼されて、納得いただけるような医療をめざします」と話す坂元院長。穏やかで優しい雰囲気の坂元院長に、診療内容や診察で大切にしていることなどについて、話を聞いた。
(取材日2024年9月5日)
都城への恩返しの気持ちで、生活習慣病予防に注力する
開業までの経緯を教えてください。

当院の前身である村上循環器内科クリニックの開業当初より、私の母が同院に看護師として勤務していたというご縁もあり、2019(平成31)年4月から週2回ほど同院で外来診療をさせていただいておりました。そのような中で、院長である村上先生からクリニック承継のお話をいただき、2024年7月11日に坂元循環器内科医院として開業に至りました。開業にあたり、電子カルテを導入し、処置室の間取りや検査機器の配置を変えたりしました。このような変化はありましたが、村上循環器内科クリニックからの多くの患者さんに引き続き受診していただいております。週2回ではありましたが、5年間ほど村上循環器内科クリニックの診療に従事していたことから、顔なじみになった患者さんもおられたことや、同じ場所での承継開業でしたので、患者さんも継続して受診しやすかったのかなと思います。
県内全域での勤務経験がおありとのことですが、都城の特色など感じられることはありますか。
私自身、都城出身であり、地元に恩返しをしたいという思いがあったので、うまくタイミングが重なり開業できてうれしく思います。宮崎県の中での都城圏域の医療の特徴としては、県立病院がないことが挙げられます。その分、都城医療センターや都城市郡医師会病院と開業医の先生方との連携に加えて、総合病院を含めた開業医の先生方同士での連携も密であるとの印象を持ってい ます。私がお世話になった先輩方や後輩が都城で開業されていたり、総合病院に勤務されていたりするので、診療連携が必要な際は相談しやすい環境で本当に助かっています。
内科と循環器内科を専門とされていますが、診療の内容について教えてください。

当院は内科および循環器内科を標榜しており、高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病と循環器疾患の方が多いです。生活習慣病と循環器疾患の関わりは密接です。 生活習慣病があると動脈硬化が進みやすくなり、動脈硬化を基礎として狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患をはじめとする循環器疾患を発症するリスクが高くなることが知られています。ですので、生活習慣病のコントロールを通して動脈硬化の進行をなるべく抑えて、心血管疾患を予防していくことが大切です。睡眠時無呼吸症候群の方も通院されています。睡眠時無呼吸症候群も生活習慣病や循環器疾患との関連が知られており、早めのコントロールが望ましいです。ご家族から睡眠中の無呼吸や激しいいびきの指摘があったり、日中の眠気が強い方は睡眠時無呼吸症候群の可能性がありますので、医療機関に相談されることをお勧めします。
患者に寄り添い、納得感のある診療をめざす
受診するきっかけはどのようなものがあるのでしょうか。

風邪症状や予防接種などをきっかけに来られる方のほか、健康診断で高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が疑われたことがきっかけで来院される方が多いです。また、胸痛などの胸部症状や息苦しさ、足のむくみ、動悸、脈が飛ぶ、といった循環器疾患を疑うような症状があり受診される方も多いです。生活習慣病は生活習慣の見直しで病状の改善が期待できますが、中には体質的に血圧や血糖が上がりやすかったり、脂質異常が見られやすい方もおられ、患者さんの生活環境だけでなく、既往歴や家族歴なども含めた患者さんの背景を踏まえて診療することを心がけています。
意外な症状が循環器疾患に関連していることもあるそうですね。
循環器の症状と思っていなかったけど、実は循環器疾患だったということがあります。例えば、めまいやふらつきがある方の中で、耳からのめまいではなく、不整脈による症状のことがあります。また、奥歯が痛むけど虫歯がない場合狭心症からの症状のことがあります。逆に胸痛など胸部症状のある方で循環器疾患ではなく、逆流性食道炎などの消化器病変であることもあります。問診だけでは判断できないこともあり、治療反応や経過を見たり、検査を行いながら診療を進めますが、診断が難しいことも多いです。このような場合も、必要に応じていろいろな科の先生との連携が大切だと思います。
診療において大切にしていることを教えてください。

患者さんの納得感でしょうか。医療従事者から見てガイドラインに沿った適切な検査や治療だったとしても、患者さんによっては不満を抱くこともあると思います。話を聞くと、不満の原因は検査や治療そのものではなかったりすることもあります。納得感がないままだと、通院されなくなったり治療の中断につながることもあります。普段の外来診療の中で一人ひとりにかけられる時間には限りがあり難しい部分もあるのですが、検査や治療について当院では患者さんに応じた説明を行い、できるだけ納得してもらえるように、ということを心がけています。
睡眠時無呼吸症候群の検査も行うのですか?
当院では、ご自宅で睡眠時に計測器を取りつけて行う簡易の睡眠時無呼吸症候群検査を行うことができます。重症度が高い場合は、保険診療で持続陽圧呼吸療法(CPAP)を受けることができます。中等度の場合は他院で1泊2日の精密検査を受けていただくこともあります。 睡眠時無呼吸症候群には閉塞型と中枢型がありますが、閉塞型には肥満が大きく関わっていますので、このタイプの方は、体重を減量することが特に大切です。
地域の医療機関と緊密に連携した医療提供に努める
循環器内科を選んだ理由を教えてください。

母が村上循環器内科クリニックに勤めていて、循環器内科の看護師だったということもあり、もともと循環器内科に興味は持っていました。学生実習の時に心不全などで息苦しさを訴える患者さんに適切な治療を行うことで症状の改善につながる様子を見て、さらに興味を持ちました。また循環器内科は保存的加療や重篤な患者さんの循環動態管理だけでなく、ペースメーカー治療やカテーテル治療などの侵襲的な治療も行える診療科であり、循環器内科を専門としたいと思いました。
院長自身が生活習慣病予防のためにしていることはありますか?
8年くらい前に体重が増えたので、炭水化物制限ダイエットを試みました。ほとんど炭水化物を取らず、結果として2ヵ月で10キロ体重減少したのですが、頭痛が見られたり、LDLコレステロール値が上昇したりしたので、極端な制限はあまりお勧めしません。それ以降は炭水化物摂取量を減らす程度にしています。他には、開業してからさぼりがちになっていますが、30~40分間程度歩くようにしたことも、体重維持に効果的であったと思います。可能であれば、やりすぎない程度の食事療法と運動療法を両方とも実行していくことが、相乗効果も期待でき有用であると思いました。このように私自身が経験したことも患者さんにお伝えしています。患者さん一人ひとり職業やライフスタイルも違うので、一緒に作戦を考えていきたいですね。
今後の目標と読者へのメッセージをお願いします。

それぞれの患者さんのライフスタイルに合わせた医療の提供に努めたいです。患者さんやご家族と相談しながら、地域の他の医療機関とも連携して診療を進めていきたいと考えています。読者の方へのメッセージとしては、年齢やその人の病状にもよりますが、健康的な体重を維持してほしいと伝えたいですね。普段からの規則正しい生活が大事です。運動が少ない人は、その分食事内容に気をつけたり、定期的な運動を取り入れることが大切です。このような生活療法を意識することが、生活習慣病の予防につながります。やり方は人それぞれで、「これ」というものはないので、個々人ができることを継続していくことが大切です。少しでも気になることがあったら、お気軽に相談いただければと思います。