原田 一道 院長の独自取材記事
生目眼科クリニック
(宮崎市/宮崎駅)
最終更新日:2021/10/12
「眼科のことならここで何でも対応できる。そんなクリニックにしたい」と話すのは、「生目眼科クリニック」の原田一道院長だ。原田院長は、医師になって50年以上になるベテランだが、すべてに対応できるクリニックになりたい、さらにはスタッフが安心して働けるよう保育園とカフェをつくりたいなど、いまだに若々しく熱意あふれる目で夢を語る。患者の希望を尊重し、その家族にまで配慮したオーダーメイド医療の提供に努める原田院長に、同院の特徴とこれからの展望を聞いた。
(取材日2021年6月5日)
設備とスタッフの充実を図り、幅広い診療に対応
もともとご専門は何だったのですか?
大学病院時代は、糖尿病に関連する眼科疾患が専門で、研究も臨床も行っていました。その頃は糖尿病患者は今ほど多くなく、何で糖尿病なんか選ぶのだと周囲に言われましたが、今では失明の原因において糖尿病網膜症は上位です。博士論文のテーマも糖尿病網膜症でした。その後、当院の本院である宮崎中央眼科病院の院長に就任しましたが、そちらでは眼科疾患全部を診ることになりました。糖尿病によって引き起こされる疾患・症状として、白内障や網膜剥離、緑内障、硝子体出血などもあります。糖尿病に対する経験があったおかげで、最初から大抵のことはできました。その頃まだ一般的ではなかった、角膜移植にも対応していました。
こちらは宮崎中央眼科病院の分院なのですね。
宮崎は交通事情が良くないので、中央眼科病院に通えない地域の人がいます。患者さんの利便性を考えて当院以外にも分院を多数展開しているのです。また、この周囲を見ていただければわかると思うのですが、眼科が少ないんです。地域の人が気軽に通える眼科が必要と思い、そういった場所に分院を開業しています。実際開業して良かったと思います。遠くて中央眼科病院までは行けなかったけど、ここなら近くて通えますという方が結構多いです。こういうコンパクトなクリニックは、小回りもききますよね。大きな病院なら、診療は上で会計は下でとあちらへ行ったりこちらへ行ったりというのがありますが、こういうところは最小限の動きで済みます。少ない負担で受診いただけると思いますよ。
コンパクトだからこそ心がけていることはありますか?
小さくても、きちんとした医療を提供しなければいけないですよね。それが一番大切なことです。狭くても検査も治療も手術もしなくてはいけません。「ここは小さくて十分な設備がないからできません」というのでは何のために患者さんが来られたかわからないですよね。どうしてもの場合は中央眼科病院やその他の病院へ紹介はしますが、ここでできることは全部しようというのが当院のコンセプトです。そのためには技術はもちろんですが、スタッフや設備もいる。当然投資も必要ですが、それは覚悟のうえです。技術面では、私は手術を含め多くの経験を積んできていますので、大抵のことはできる自信があります。
患者家族にまで配慮したオーダーメイド医療の提供を
他にこだわりはありますか?
「その人に合った治療をする」というのが私の考えなんです。オーダーメイド医療などともいいますよね。例えば不自然に延命されたくないから生命維持装置を取るとか取らないとか、そういった議論がありますよね。あれと同じです。その人の望む治療をしたいので、本人が「手術をしたくない」と言うなら、私はそれでいいという考えです。その手術をすれば良くなることが望めても、何らかの理由で本人がしたくないというなら、本人にとってはそれでいいと思うんです。ただ、それでもし目が見えなくなるようなことがあれば、その人の介助を誰かがしなくてはいけなくなるわけですね。それではご家族が大変になるので、お気持ちはわかるので手術はしないにしても、できるだけのことはしませんかといった提案はします。
それは、ロービジョン訓練のことですか?
そうです。最低限ロービジョン訓練だけはしませんかとお声がけするようにしています。ロービジョン訓練を取り入れるにあたっては、勉強しに関東の国立障害者リハビリテーションセンターまで行ってそこでノウハウを覚えてきたんです。これは、歩き方や白いつえのつき方、その他日常生活を支障なく送るための訓練をする目的で行うものです。当院から帰る時に、うまく歩けず困っている患者さんがおられました。そういう姿を見て取り入れることを決めました。
認知症と視力にも関係性はあるのでしょうか?
関係はあるのではないかと思います。本やテレビなど情報を見たら頭で処理しますよね。しかし、目が見えなくなると視覚の刺激がなくなるわけですから認知症も進む恐れがあるのではないでしょうか。手術を避けている人には、そういう可能性もありますよということは、お伝えしています。その辺りのことを理解して治療を受けてくれる人も増えてきたとは思うのですが、ロービジョン訓練もそうですが、まだまだ私たちも啓発が足りないなと反省しています。見えなくなっても、自分でごはんを食べてお風呂に入ることができれば、それだけでも気持ちは違うのではないでしょうか。
今多い疾患は何ですか?
糖尿病関連の眼科疾患は今でも多いですが、怖さを皆さんがわかってきているので、少し減ってはいますね。今増えているのは緑内障です。緑内障は初期だとあまり症状がないので、自分でわかるほどひどくなってから来る人が多い傾向にあるんです。先天性の場合が多いのですが、結局原因がわからないケースも少なくありません。早期発見が難しいので、中央眼科病院では緑内障に特化した検診も行っていました。また、子どもで多いのは近視ですね。今は3人に1人が近視ともいわれています。他には花粉症などアレルギー性疾患も増えています。
検査・治療から薬の受け取りまですべて院内で完結
この地域には多くのクリニックがあるのですね。
内科や外科、耳鼻科や皮膚科もあります。最近産婦人科もできました。この地区はそれが魅力だと思います。当院の開業場所に選んだ理由の一つでもあります。内科の診察が必要なら、「そこに行ってはどうですか」と言えば、そのまま歩いて行けるわけですから便利ですよね。総合病院もありますし、当院で手に負えない場合は、迅速に連携できますので本当に助かります。この地域のクリニックの先生は皆さんフットワークも軽くて、本当に住民の方は安心感があると思います。
健康のために実践をしていること、趣味など、先生ご自身のことを伺っていいですか?
健康のためにしていることは特にないです。ずぼらですから(笑)。早寝早起きくらいですね。早寝と言っても、12時に寝て6時に起きるとかですが、このくらいの睡眠時間がちょうどいいように思います。私はもう80歳ですが、動き回るわけでもバリバリ手術するわけでもないので、五感さえ大丈夫であれば眼科は長く続けられる分野だと思いますよ。100歳の女性医師もおられますし、70歳を超えてもバリバリ手術するという医師も結構いらっしゃいます。趣味はピアノやマージャン、お酒、ゴルフとテニスなどいろいろあります。B型だからか好奇心が強くて、何でもしたくなるんですよ。前は孫のお守りも楽しみでしたが、大きくなったので相手にしてくれなくなりました(笑)。やりたいことは他にもあって、いつかクルーザーに乗って世界一周旅行をしたいなと思っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
ゆりかごから墓場まで、眼科に関してここですべてを完結できるようにしたいです。だからうちは院内処方にしているんですよ。そうすれば移動しなくて済むでしょう。後はスタッフのためにも保育園とカフェもつくりたいと思っているんです。ここへ来て子どもを預けて仕事をして、休憩がてらお茶を飲んで帰る。ここに1日いたら全部終わる、そういうクリニックにしたいと思っています。メッセージも同じですね。眼科に関することはほとんど対応できますので、何でもご相談ください。宮崎県内の眼科の医師のほとんどを知っていますので、こちらで対応できない場合は専門の医師を紹介いたしますのでご安心ください。