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佐藤 潤一郎 院長の独自取材記事

佐藤小児科

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2021/11/01

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科 main

開業以来65年にわたり、宮崎市の中心地にたたずむ「佐藤小児科」。佐藤潤一郎院長は同院の3代目。院内に入ると、ずらりと並ぶ300冊もの児童書が目を引く。「かば先生文庫」と名づけられたこのコーナーは、子どもへの絵本の読み聞かせを奨励していた先代の遺志を受け継いで佐藤潤一郎院長が設置したものだ。祖父、父と3代にわたり地域医療を支える同院は、小児科全般に対応。患者もまた3代にわたって同院に通っていることも多く、世代を超えて愛される存在だ。「これからの小児科医は病気を診るだけではなく心のケアも大切」と、保護者の気持ちに寄り添った診療を行う佐藤院長。長年地域とともにある同院ならではのエピソードを交えつつ、小児科医として今思うことをじっくりと語ってくれた。

(取材日2021年9月7日)

祖父と父の遺志を受け継ぎ、地域への恩返しを

こちらのクリニックは、先生で3代目だそうですね。

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科1

はい。祖父も父もこの地域で小児科医をしていました。高校まではサッカーばかりしていた僕も自然とこの道をめざすようになり、6年半ほど県内の病院に勤めてから東京の病院に行きました。今でも印象深いのが、そちらでのチームの一員だった小児外科の先生です。その先生は、手術のスピードも技術も並外れていて、「奇跡というのはこういうふうに起きるのか」と思うほどでした。日々刺激を受けながらそちらでしばらくお世話になっていましたが、父の訃報を受けて急きょこちらに戻ってきたのが2012年のことです。自分も家族も、代々続いてきた「佐藤小児科」をなくすという選択肢はありませんでした。

代々続くクリニックとなると、お世話になった患者さんも多いのではないでしょうか。

僕の同級生は、みんな祖父のことを知っています(笑)。逆に僕は同級生のおじいさんのことをあまり知らないので、ちょっと不思議な感じです。最近ですと僕が診ているお子さんのお母さんは父が診ていた患者さんで、そのご両親は祖父が診ていた患者さんということもあります。祖父の代から遠方の方も来てくださっていたようで、今でも高岡のほうから来てくださる方もいらっしゃいます。祖父や父に比べれば僕はまだまだでしょうけど、2人に「ちゃんとやってるな」と言ってもらえるような診療をしていきたいですね。僕自身この地域に育ててもらった一人なので、小児科医として恩返しができたらうれしいです。

地域のために、児童書の寄贈もされていると伺いました。

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科2

そうですね。宮崎県立図書館に子ども向けの本を寄贈していますが、これは父の遺志をくんで行っていることです。父は生前、家族と楽しい時間を共有することが大事だと考えていました。小さい子には本を読ませたほうがいいというのも口癖で、僕もよく絵本を読んでもらったのを覚えています。そんな父の思いを残すため、宮崎の子どもたちに対して何かできることはないか母と考えました。そこで思いついたのが「かば先生文庫」だったんです。県立図書館の予算では集めきれない児童書のリストを作ってもらい、そこから毎年母と僕が発注して寄贈しています。これはとても喜んでもらえているので、今後もぜひ続けていきたいです。

めざすのは、保護者の心に寄り添う存在

先生の診療の特色を教えてください。

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科3

電子カルテを導入していて、予約の時点で基本的な問診を済ませられるようにしています。症状はもちろん、今は新型コロナウイルス感染症のこともありますので県をまたいだ移動の有無などもお聞きしています。過去に受診されていればそのときの情報もすぐに見られますから、前もって状況を把握しておくことで診察の時間を短縮できるんです。その分で生まれた時間で、子育てや発達のことで困っていることはないかなど、しっかりお話を聞くようにしています。お子さんも保護者の方もリラックスできる雰囲気を醸し出そうとしているからか(笑)、「先生の前でだけは泣かない」といううれしいお言葉をいただけることもあります。

保護者の方も、先生ときちんと話ができると安心できるのではないでしょうか。

僕は、これからの小児科は病気を診るだけではなく心のケアも大切になってくると考えています。「伴走者」という言い方もありますが、どうやったら子育てがうまくいくかをご家族に寄り添って一緒に考えていくようなイメージですね。それに、ただ薬を処方するだけという診療はあまり好きではないんです。例えば赤ちゃんの肌のトラブルにしても、薬を出すだけではなく、こういうときはしっかりここに塗ってくださいとか、汗が多いから薬を塗るよりも汗を拭うことを意識してほしいとか、できるだけ具体的なお話をさせていただきたいと考えています。予防接種に関してもそうで、きちんとお話をして納得していただけると、接種してくださる方が多いです。

例にあがった赤ちゃんの肌トラブルは、相談を受けることが多そうですね。

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科4

そうですね。僕としては赤ちゃんが生まれたらすぐにスキンケアを始めてほしいので、できるだけ早く小児科を受診されることをお勧めします。スキンケアが重要な理由の一つは、赤ちゃんは汗をたくさんかくからです。汗は汗腺という器官から分泌されますが、この汗腺の数は赤ちゃんも大人も変わりません。赤ちゃんは体が小さい分汗腺が密集するので、汗をかきやすいんです。汗で肌が荒れると不機嫌の原因にもなりますから、きちんとスキンケアをすることが大切です。また、肌荒れがさまざまな疾患を引き起こすおそれもあります。肌が荒れていると、そこからアレルギーの原因となるさまざまな物質が体内に入ってしまいます。すると最初はアトピー性皮膚炎、そして食物アレルギー、ぜんそくとサイクルしていくんです。徹底したスキンケアでアトピー性皮膚炎にならないよう対策し、このサイクルを止めることが大切です。

大切なのは、かかりつけ医との信頼関係

一般的に、小児科は何歳まで通うものなのでしょうか。

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科5

僕は高校生まで大丈夫だとお答えしていますし、日本小児科医会からもそのように指針が出ています。もちろん内科でも問題ありませんが、学校に通うのがつらい、朝起きられないなどの思春期特有の問題は小児科に相談されることをお勧めします。最近の子どもたちは睡眠時間が短く、それに伴う不定愁訴も多いです。一概には言えませんが、睡眠時間が短い背景にはスマートフォンの普及があります。ですので定期的に通っていただきながら毎日の睡眠時間をチェックしてもらったり、メディアの功罪やブルーライトについてのお話をさせていただいたりしながら、健康な発育のためのサポートをさせていただいています。

小児科への相談内容は、社会問題も反映しているんですね。

だからこそ、ここでは解決できないことも多いです。例えば若い保護者の方には子どもの医療費の負担が大きいなど、社会の仕組み自体を変えないとどうしようもないこともあります。また、近年特に懸念しているのが妊娠中や産後のケアです。今は新型コロナウイルスの影響で母親教室がなく、妊娠中に得られるはずだった情報を得にくくなっています。県外の実家での里帰り出産ができなくなり、サポートのない状態で子育てをしなければならない方もいます。産後の女性は心身ともにつらい状態ですから、絶対にサポートが必要だと考えています。今や周産期の女性の死因は自殺が最も多く、出産直後の虐待も多くなっています。そういったことをなくしていくためにもいろいろな職種の方々と話し合い、最終的には行政に対してもきちんと問題提起をしていきたいです。

ありがとうございました。最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

佐藤潤一郎院長 佐藤小児科6

現代では予防接種のおかげで、子どもの容体が急変するようなケースはめったにありません。ただし危険な症状というのはいくつかあり、例えばけいれんする、または何回も吐いてしまうときは注意が必要ですので、すぐに医療機関を受診するようにしてください。そういうときに頼りになるのが、かかりつけの小児科医です。僕は、小児科選びで最も大切なのはご家族が信頼できる小児科医を探すことだと考えています。医師としての腕ももちろん大切ではありますが、最終的には信頼関係を築けるかどうかが大切です。できるだけ早い段階でかかりつけの小児科医を選び、子どもの健やかな成長のためにも良い関係を築いていただければと思います。

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