成田 礼 院長の独自取材記事
成田クリニック
(熊本市東区/市立体育館前駅)
最終更新日:2024/12/02

熊本市東区、通称出水ふれあい通り沿いの上江津湖の近くにある「成田クリニック」は1993年開業。2024年に2代目院長に就任した成田礼(なりた・れい)先生は内視鏡検査のエキスパートであり、同時に総合内科、肝臓疾患にも高い専門性を持つ経験豊富な医師だ。先代で外科医の父と鍼灸師である兄とともに地域の健康を支えている。院長を引き継いだタイミングで内視鏡検査を充実させるために先進の機器と環境を整えて新たなスタートを踏み出した成田院長に、クリニックの強み、地域への思い、そして内視鏡検査へのこだわりなどをじっくりと聞いた。
(取材日2024年10月28日)
質の高い内視鏡検査を地域に届けたい
院長は2024年にお父さまからクリニックを引き継がれたそうですね。

1993年に父が開業した当院は今年で32年目になります。2年前からクリニックを手伝い、今年から私が院長を引き継ぎました。父の代では外科をメインにしていましたが、現在は胃腸内科、内科、消化器内科も加わり、私の専門である内視鏡検査を中心に、消化器系の不調、感冒、生活習慣病、外傷、健康診断、予防接種などさまざまな診療に対応しています。また、鍼灸師をしている私の兄も当院に在籍しています。西洋医学にとどまらない観点からアプローチできるクリニックとして、地域に密着した医療を届けていきたいと考えています。
クリニックの環境や設備について教えてください。
当院は江津湖や水前寺も近く、のどかな風景が広がる地域にあります。年齢層は高齢の方が多い地域ですが、新興住宅地には若い世代の方々も増えています。当院も幅広い年代の患者さんにお越しいただいています。当院は地域のかかりつけ医として、どんな主訴でもなるべく断らずにまずはできるだけのことを行います。それは父の代から心がけていることです。さらに私が引き継いでからは、内視鏡検査に対する診療に力を入れるため設備を整えました。先進の機器を導入し、処置室やリカバリーのための空間をつくり、患者さんのプライバシーを守れるよう安心して過ごせる環境づくりを意識しました。
先生のこれまでのご経験についてもお聞かせください。

大学卒業後は熊本大学病院や熊本労災病院などで基本的な臨床経験を重ね、内視鏡についての専門的な知識についても勉強していました。その後、さらに内視鏡に対する見識を深めるため、がんの治療についての勉強を大学病院で臨床から勉強し、さらに専門性を高めました。その後、国保水俣市立総合医療センター消化器センター長、消化器内科部長に就任し、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医に加えて、日本内科学会総合内科専門医、日本肝臓学会肝臓専門医の資格も取得しました。幅広い疾患の診療にあたりつつ、専門である内視鏡検査については、これまで数多くの症例に対応してきました。
日本肝臓学会肝臓専門医資格を持つ医師は地域でも少ないのでは?
国保水俣市立総合医療センターにて消化器センター長をしていた時に、肝臓の疾患を抱える方が多くC型肝炎、B型肝炎について専門的に知っておく必要があったため取得しました。この地域ではクリニックに肝臓専門医はあまり多くないのですが、患者さん自体は多いと感じていますので、この専門性を生かしていけたらと思っています。
これまで積み上げた豊富な知見を診察につなげる
クリニックの強みを教えてください。

消化器内視鏡専門医が行う内視鏡検査の質の高さが当院の強みといえます。近年では内視鏡は鎮静剤で眠ったような状態で行うので、患者さんとしては苦しさを感じることはほとんどないと思いますが、その中でもいかに患者さんに負担のないようにスムーズに胃カメラを動かして、スピーディーに、的確な診察を行うかがとても重要です。そして何よりも、がんをきちんと見つけることです。がんは早期発見が重要ですから、いかに病気を見逃さないかが質の高さであると考えています。私はこれまで数多くの症例を見て研鑽を重ねてきましたので、検査の質にはこだわりがあります。正確な検査結果を患者さんは求めてこられるのですから、内視鏡検査では医師の技量が求められると考えています。
医師として心がけていることは何でしょうか。
患者さんたちは地域のクリニックの中からわざわざ当院を選んできてくれているわけですから、「来て良かった」と思っていただける場所でありたいと思っています。どんな時も患者さんを第一に考えて、当院でできることはすべて行いますし、もしここで治療できない場合には速やかに適切な医療機関におつなぎします。特に大学病院には現在も週に1回は通っていますので、スムーズな連携が可能です。大学病院では新人の医師への指導や、学生の講義を担当しています。また、ほかの医療機関とのコミュニケーションも取るようにしていますね。そうやって常に新しい知識を入れることも心がけていることの一つです。地域に根差したクリニックでありながらも、常にアップデートし、ブラッシュアップを続けています。
現在でもスキルアップを続けておられるのですね。

大きな病院と地域クリニックでは設備は異なっていたとしても、知識レベルは同程度であるべきだと考えているので、常に情報を取り入れるようにしています。そのため、勉強会にもできる限り参加するようにしていますね。また医師になって20年近く内視鏡検査に力を入れてきましたが、これまでにあたった症例についてはすべてファイリングシステムにデータを入れています。そのデータをもとにして、内視鏡での診断と組織の検査結果を照らし合わせるなど、常に振り返りフィードバックを続けています。
地域のがんを減らすために
先生が医師になって良かったと感じるのはどんな時でしょうか。

大それたエピソードはありませんが、医師として患者さんの体調の回復に寄与できれば、それが医師として何よりもうれしいことです。ありがたいことに感謝のお手紙や電話をいただくこともあるのですが、そういった時は身に余る気持ちになりつつも、医師を続けてきて良かったと心から噛みしめますね。また消化器内科は手技が多いので、新人の頃は自分の実力が上がったことを実感するのがとても楽しかったです。実力の幅が診療できる疾患の幅に直結しますので、手技が上達するごとに自信もついてきました。同時に「自分の手でがんを減らすんだ」という使命感も抱くようになりましたね。
休みの日の過ごし方を教えてください。
休みの日には天草まで釣りに行くことが多いですね。研修医の頃に釣りに連れて行ってもらって以来、すっかりはまってしまいました。日の出から釣り始めるので夜中から船に乗って楽しんでいます。自分で釣ってさばいた魚は格別ですね。最近はよく鯛を釣っています。釣り以外には、クリニックを引き継ぐタイミングでホームページを自作したので、患者さんに伝えたいことはブログなどにまとめて記しています。つい熱中して、さまざまな症例について詳しく書いていますので、ぜひお読みいただけるとうれしいです。
最後に今後の意気込みと、読者へのメッセージをお願いします。

当院は30年以上続くクリニックで、開業時から通ってくださる患者さん、そしてお子さん、お孫さんまで家族ぐるみで通ってくださる患者さんもいます。その信頼を裏切らないように、真摯に診療にあたっていきたいと思います。また私の強みである内視鏡により、地域のがんを減らしていきたいという思いも強いです。がんは早期発見が何よりも大切です。そのためには定期的な検診が重要ですから、どうぞお気軽にご来院ください。相談しやすいクリニックであり続けられるよう精進してまいります。