骨密度の状態をチェックし
骨粗しょう症の改善・予防に取り組む
入江整形外科医院
(遠賀郡水巻町/水巻駅)
最終更新日:2023/09/08


- 保険診療
“いつの間にか骨折”を招いてしまう骨粗しょう症。50歳以上の女性では、生涯で骨粗しょう症性骨折に罹患する人が約3分の1と言われている。それほど身近な病気であるにもかかわらず、初期段階では無症状のケースが多いため、実際に検査や治療を受けている人が少ないという課題がある。また高齢での骨折は寝たきりにつながりやすく、健康寿命を延ばすためにも早期の発見、治療が欠かせない。そうした中、骨粗しょう症の積極的な検査・治療を行っているのが「入江整形外科医院」だ。「特に女性は出産やホルモンの関係で罹患のリスクが高い。他人事だと思わずに50歳を超えたら検査を」と警鐘を鳴らす入江学院長に、骨粗しょう症の検査内容や治療方法、予防のために日常生活で気をつけるポイントなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2023年8月23日)
目次
骨粗しょう症は生活習慣の改善で予防も図れる。骨密度検査を受けて自分の骨の状態をチェックしよう
- Q骨粗しょう症のリスクが高いのはどのような人ですか?
-
A
▲骨密度の低下は自覚しづらいからこそ受診・相談を
骨粗しょう症は骨量が減ることで骨が脆くなり、転倒といった軽微な外傷をはじめ、重たいものを抱えるなど日常生活の動作で“いつの間にか骨折”を起こしてしまう怖い病気です。男性でも罹患するケースはありますが、ホルモンバランスや出産経験などによって女性のほうが罹患しやすく、閉経後のタイミングから罹患リスクが高まります。また生活習慣や遺伝などによって親子で似る傾向があり、母親が骨粗しょう症の場合、お子さんも罹患しやすいと言えます。若い頃に運動習慣がなかった方、無理なダイエット経験があるといった方はそもそもの骨密度が低いので、骨粗しょう症のリスクが高まってしまうほか、早期に症状が出やすくなります。
- Q骨粗しょう症の具体的な検査内容について教えてください。
-
A
▲最初の骨折を防ぐことが重要。短時間での検査が可能
前提として、背骨もしくは股関節の骨折の病歴があれば骨粗しょう症の治療対象です。骨粗しょう症の検査では、まず背骨のエックス線を撮影し、”いつの間にか骨折”の有無を調べ、その後、骨密度検査を行います。エックス線で背骨と股関節の2ヵ所の骨密度を測定し、骨密度が若年成人平均値の70%以下の場合は骨粗しょう症と診断されます。背骨の骨の高さが20%以上縮んでいる形態骨折がある方も骨粗しょう症に含まれます。治療が必要な場合は血液検査を行い、骨の新陳代謝の状態、カルシウムやビタミンDなど骨をつくるのに必要な栄養の不足を調べます。検査自体は20分程度ですので、比較的気軽に受けていただけるのではないでしょうか。
- Q検査の重要性についても教えていただけますか?
-
A
▲検査の結果はモニターを用いて丁寧に説明
骨粗しょう症に罹患していても、3分の2程度の方は無症状なんです。治療をせずに放置していれば簡単な動作で骨折してしまいますし、高齢での骨折は寝たきりなどにつながってしまいますから、きちんと検査を受けて治療を行うことが重要です。また、大腿骨近位部骨折の家族歴や喫煙習慣、ステロイド薬の服用、アルコール多飲、運動習慣がないなど、これらに該当する方は骨粗しょう症になるリスクが高く、また、20歳の時に比べて身長が2cm以上縮んでいる方は骨粗しょう症により、”いつの間にか骨折”を招く可能性があります。リスクに該当する場合や、特に女性は50歳を超えたあたりから骨密度検査を受けることをお勧めします。
- Q骨粗しょう症には、どのような治療法があるのでしょう?
-
A
▲患者の生活に寄り添い治療を組み合わせる
骨粗しょう症は骨密度によって治療方法が変わりますが、基本的には薬物療法主体で行います。軽度の骨粗しょう症では、骨吸収抑制剤を処方しますが、背骨が何個も潰れている方は、最初に骨形成促進剤の注射をお勧めします。超低骨密度の場合は、骨形成促進剤から始めて、骨密度ができるだけ高くなるような順番で薬剤を選択します。通院の都合で治療が中断しがちな方には内科医と連携して、骨粗しょう症治療を依頼します。骨密度が低いと骨折しやすいので治療自体を終えるということは難しいのですが、お薬をお休みできる状態まで回復させるのが目標です。さらに運動機能が低下していれば、積極的にリハビリテーションなども併用していきます。
- Q予防や改善のために、日常生活の中でできることはありますか?
-
A
▲健康寿命を延ばすためには普段からの意識が大切
まずは前提として骨折につながる転倒を予防すること。栄養状態を改善してカルシウムを摂取すること、ビタミンDをつくるために日光浴を行うよう気をつけてください。日本の食生活だとカルシウムが不足しやすく、牛乳やチーズなどの乳製品を意識的に摂取することが大切です。日光浴に関しては15分から20分程度、手のひらを太陽にかざすくらいで問題ありません。ガラス越しだと効果がありませんので要注意。骨を増やすための体重負荷のかかる運動も大切です。日光浴を含めて散歩やウォーキングが理想的ではありますが、つま先立ちをしてかかとをどんと地面に落とす簡単な運動でも、1日50回ほどで効果が見込めるので取り組んでみてください。