貧血は大腸がんが原因の可能性も
定期的な検査で病変の早期発見を
医療法人 進藤医院
(糸島市/波多江駅)
最終更新日:2023/10/11


- 保険診療
眠ったような状態で受けられるケースも増え、徐々に検査を受ける人が増えてきた大腸内視鏡検査(大腸カメラ)。検査と同時にがんの芽であるポリープの切除が望める点も大腸内視鏡検査の大きなメリットだが、むやみに切除してしまうのではなく、場合によっては外科的手術が可能な病院に紹介する判断も必要になると話すのは「進藤医院」の進藤洋一郎先生だ。進藤先生は診断学を学び、治療技術だけではなく病変の見極め方まで熟知した内視鏡診断の専門家。「早期発見できれば負担の少ない治療も望めるのが大腸がん。それに大腸内視鏡検査は大腸がんだけでなく他の疾患の発見にも有用なので、ぜひ年齢を問わず受けていただきたい」と語る進藤先生に、大腸内視鏡検査の流れ、検査が有用な疾患、同院の検査環境などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2023年9月6日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査では何がわかるのでしょうか?
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A
大腸内視鏡検査と聞くと真っ先に浮かぶのは大腸がんや大腸ポリープでしょう。しかしそれ以外にも大腸憩室、痔核、難病指定の潰瘍性大腸炎やクローン病などの発見にも有用です。大腸がんとその初期段階であるポリープの大きな原因は高脂肪食。誰でも可能性がある疾患になっています。40歳という検査を受ける目安はありますが、便秘や下痢、血便、腹痛などがあれば、年齢を問わず大腸内視鏡検査を受けてほしいと思います。特に注意したいのは貧血です。男性や閉経後の女性で貧血が起きている場合、原因が大腸がんであるケースがあります。「ただの貧血だから」と決めつけず、貧血の原因が大腸がんであるかどうかを調べることも非常に大切です。
- Q先生は内視鏡検査の研鑽をかなり積んでおられるそうですね。
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A
大学病院ではどのように病変を診断し、どのような治療が必要なのかを段階的に考えていく「診断学」を学びました。内視鏡検査でみつかったポリープを内視鏡で切除可能なのか、それとも外科手術にて切除しなければのちのち他の箇所に転移してしまう恐れがあるのかなどを、綿密に分類・診断していく学問です。千葉の亀田総合病院では消化器内科部長として指導も行い、治療にも対応しました。それらの経験と技術に加え、眠ったような状態で検査を受けられるよう静脈麻酔を用いたり、検査後のおなかの張りを軽減する二酸化炭素を使用する、細い内視鏡を用いるなど、患者さんの負担軽減のための工夫も取り入れています。
- Qもし、がんが見つかった場合はどうなりますか?
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A
小さな良性のポリープであれば検査と同時に切除可能ですが、大きなポリープ、茎のあるポリープ、がん、もしくはがんを疑う病変が見つかった場合は、入院での内視鏡治療や外科手術が可能な総合病院に紹介します。がんには根っこがあり、しっかり切除できていないと、治療後に局所再発やリンパ節転移した状態で見つかり根治が不可能になることがあります。一方で腫瘍性病変がなかった場合も、次回の検査予定などをしっかりとお話しします。大腸にはひだがあり、どんなに腕の良い医師であっても1回ではすべてを見ることはできません。1回受けて終わりではなく、健康診断のように定期的に受けていくことが大事です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査前の診察と準備
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検査の1週間ほど前までに事前の診察を受け、検査の流れ、便通の状態、既往歴や手術歴などを確認。便秘が強い場合は数日前から下剤を服用し、場合によっては腸閉塞がないかをエックス線検査で確認する。また同院では検査前の食事にレトルトの検査食を推奨している。これは便を少なくし、当日飲む下剤の量を減らすことをめざし、検査自体の負担軽減やポリープの見落とし防止につなげる目的があるという。
- 2検査当日の朝
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同院では患者のプライバシーを考慮し院内にある専用の個室で下剤を飲めるように検査環境を整えているという。ただし検査前日の夜に飲む下剤があるため、検査当日の朝、自宅で1、2回ほどの排便があるそう。9時までにクリニックで受付を済ませる必要があるため、余裕をもって行動できるよう前もって準備をしておこう。自院で検査を数回受け、検査への理解が十分と判断できれば自宅での飲用にも対応していくとのこと。
- 3来院・受付・個室へ移動
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9時までに受付を済ませ、予約していた個室に入り、胃腸を動かして下剤を効きやすくさせるための薬と、検査用の下剤を飲み始める。ドアつきのトイレが室内にあるため移動の手間もなく、備えつけのテレビを見たり、持ち込んだ本を読んだりなど、プライベートを守りながらゆったりと過ごせる環境になっている。また不安なこと、疑問点や相談などがあれば備えつけのボタンですぐに看護師を呼べる。
- 4検査実施
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12時〜12時半の間に検査着に着替え、静脈麻酔の点滴が開始される。眠ったような状態下で行うため、患者は痛みをほとんど感じないまま検査が行われる。検査時間はポリープがなければ15分ほどで、検査後は60分ほどをリカバリー室で過ごす。検査の後に運転したい場合は静脈麻酔が使用できないため、事前の診察時に医師に相談をしておこう。
- 5検査結果の説明
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医師から検査結果が説明される。ポリープが見つかり切除した場合は画像を見ながら説明を受け、最終診断は病理結果を待つこととなる。大きなポリープやがんが疑われる病変が見つかった場合はどの病院で精密検査を受けるか検討する。またポリープがない場合でも今後どのようなスケジュールで検査を続けていくべきかを医師と話し合う。特に大腸がんは食生活とも深く関係しているため定期的な検査を続けていくことが重要だ。