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大木 實 理事長の独自取材記事

大木整形・リハビリ医院

(福岡市早良区/藤崎駅)

最終更新日:2020/07/08

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約70年もの間、「大木整形・リハビリ医院」は地域の人々の健康を守ってきた。先代である父の意思を受け継ぎ、日々多くの診療にあたる大木實理事長。藤崎駅から徒歩3分の場所にある同院は病床19床を有し、整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科に加え、週1回のみ内科の診療も行っている。「患者は自分の家族だと思い接している」とほほ笑む大木理事長。そのスタンスは総勢50人弱在籍するスタッフも同じ。たくさんの願いが書かれた短冊が笹の葉に揺れる待合室の光景からも、患者への温かい思いが伝わってくる。また、検視時など警察への協力も続けてきた大木理事長。その忙しい日々の息抜きは趣味のクレー射撃だそう。そんな大木理事長に、これまでを振り返ってもらいながら話を聞くことができた。
(取材日2020年6月22日)

患者から感謝される父の姿を見て医師を志す

お父さまが開院されたのは67年前ですが、当時はどのような規模で診察をされていたのですか。

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当時は鉄筋の建物が少ない時代で木造モルタルの建物でしたね。うちの父は金銭的に苦労して医師になっているので、銀行から融資してもらえるような状態ではありませんでしたし、当初は本当に大変だったと思います。最初は診察室、待合室、手術室、入院患者さん4、5人と私たち家族が住むくらいの小さな建物でした。父は奨学金育ちで、軍隊の委託学生のようなかたちで海軍へ行きましてね。帰ってきてからここで医師として診療を始めたのですが、当時この辺りに医療機関はほとんどなく、地域の方は好むも好まざるも来るしかなかったでしょうね(笑)。そして父は元軍医ですから厳しかったんですよ。家族にもそうですが患者さんにもです。例えばポケットに煙草を入れた高校生なんかが来ると、「おまえは早死にしたいのか」と煙草を取り上げていましたからね。今ではあり得ないことです。

小さな頃からそういうお父さまの姿を見て医師になりたいと。

そういうことですね。私自身、大きくなったら何になろうかなと考えながら育ちましたけど、困ったことに理数系が苦手だったんですよ。医学部といえば理数系ですよね。しかし、理数系の成績は悪いながらも文系は良かったので、学校の先生なんかは弁護士やジャーナリストなどを勧めていましたね。ところが私は単純な人間なので、人からお礼を言われるのがものすごくうれしいわけですよ。自衛官や教師なども考えましたけど、父は注射を打って痛い思いをした患者さんからも「ありがとうございました」と言ってもらえるんですよね。そういうのを見て医師は一番良い職業だなと思いました。

大学ご卒業後は九州大学病院や唐津赤十字病院の勤務を経て、こちらに戻って来られたそうですね。

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はい。まだ父もいましたから、一緒に診療にあたっていました。われわれの仕事というのは、親子、夫婦、兄弟でやると得てしてうまくいかないとよく聞きますが、うちも例にもれず一人の患者さんの治療法に関して議論したり、けんかの一歩手前くらいにまでなることもありましたけど、そこは「この人がいなかったら、自分は生まれていなかった」と思い矛を収めるという感じでした(笑)。とはいっても尊敬する部分も非常に多かったです。誰に対しても等しく接する、無駄なことはしないなど、本当にそれは素晴らしかったですね。私が医師になった時に何かアドバイスをしてくれと言いましたら、「おまえの好きなようにやれ。ただ、一つだけ言えるとしたら、目の前の患者さんに自分の家族だったらこうするだろうと思うことをすればいい」。そう言われましてね。

患者さんとの雑談も大切にし、病気の発見につなげる

それは栄養科を設けて入院患者さんへおいしいと評判の食事を提供されていることにもつながっているのでは。

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そうですね。私自身、異型肺炎という病気で入院した経験がありますから、入院患者さんの気持ちはわかります。入院すると楽しみは2つしかないんですよ。1つは友人や家族など誰かが見舞いに来てくれる時、もう1つは3度の食事。この2つだけです。1日あたりの食費は決まっていますので、その範囲で喜んでいただける食事を出したいということで取り組んでいます。整形外科としては、他の医療機関と大差はないと思っているんですよ。早く診断をするということと、やれることはすべて保険診療内でやっていますから、いかに患者さんの経済的に無理にならないかというのを考えていますし。そうなると、病院には行きたくはないけど、行かないといけなくなったらどこに行きたいと思うかですよね。

ご自身の経験も生かしておられるのですね。入院患者さんにはどのように接することを心がけていますか。

やはりうちに入院してもらったからには、まず感謝の気持ちとご縁ができたということで、私の知らないことを教えてもらったり、しっかりコミュニケーションを取ることを心がけています。外来の患者さんに関しては、無駄話も大事なこととして接するようにしています。何げない話から病気を見つけるきっかけをもらうことがありますからね。手足など体の疼痛を訴える方が多いですけど、痛みというのは面白いもので心からきていることがあります。うつ病や認知症、そういった他の病気が関係して痛みが出ることがありますので、そういうことも会話の中から感じ取ったり、掘り下げていって、場合によっては抗うつ剤を処方しながら診療を進めることもありますね。

では、こちらに来院される患者さんの層についても教えてください。

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お子さんから年配の方まで、主にけがで来院される方が多いですよね。整形外科の慢性疾患といわれている腰痛や、肩こりも多いですし、学生さんですと部活動中にけがをされたりして来られることが多いですね。リウマチは近くに大きな医療機関もありますので、場合によってはそういった施設に紹介することもありますが、リハビリテーションに関してはすごく力を入れています。当院はデイケアだけでなく、訪問リハビリテーションにも力を入れていますので、それも特徴の一つですね。

検視の立ち合いなど、長きにわたり警察への協力も

そこに携わるたくさんのスタッフへ望むことや思いもお聞かせいただけますか。

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面接は原則私が全員担当します。勤めていただくことになったら、私は一言だけしか言いません。それは父が言ったように「自分の家族だと思って患者さんに接してください」と、これだけです。新卒で来られた看護師さんは、患者さんをベッドに移す時でさえ何もできません。でも、靴をそろえることはできるでしょうと。家族に接するようにというのはそういうことなんです。スタッフは総勢50人弱いますが、当初伝えたようにみんな自分の家族に接するようにやってくれています。非常にうれしいですね。よくやってくれていると思います。

また、警察からの依頼で1981年からご遺体の検視にも協力されておられるそうですね。

当時は救急車も断らずにすべて受け入れていましたので、いつもいるなと近くの警察署から目をつけられましてね(笑)。声をかけられて、検視の立ち合い、被害者の診断書の記載、被疑者の強制採血、強制採尿など、警察業務の一部に深く関与することになりました。法医学は詳しくありませんでしたし、そこからずいぶんと勉強しましてね。ただ、最近はDV被害に遭われた方の写真鑑定の依頼が多くなってきました。あとは薬物乱用ですね。飲酒や薬物摂取など正常な状態ではない人に強制して行うわけですから最初は怖かったですよ。しかし、不思議なもので慣れてくるんですよね。当院に来られる患者さんと罪を犯して捕まった人に対してかける言葉はやはり違います。「私は尿を無理やり採るのが仕事じゃない。君が心を入れ替えて社会で一生懸命働いて、万が一けがをしたときはおいで」と。そして、何年かして実際に来た人もいるんですよ。うれしかったですね。

最後に、医院の今後についてもお聞かせください。

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息子にかかっていますね(笑)。糖尿病が専門なのですが、週1回こちらに来て診療しています。今から健康を維持するためのリハビリと食生活を考える領域が非常に大事になってくると思いますので、そこに生かせればいいなと思っています。私も73歳になりましたので、リハビリテーション科をやっていく以上は他の若い整形外科の医師も据えて、息子と一緒にやってもらおうという考えでおります。最近、息子と今後について話すようになってはきましたが、あれこれ言って教えるよりも、私の背中を見ていろいろと受け取ってほしいなと思います。

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