嘉村 聡志 院長の独自取材記事
かむら整形外科
(福岡市早良区/次郎丸駅)
最終更新日:2025/04/10

2024年に事業継承という形で新たなスタートを切った、福岡市「かむら整形外科」。院長の嘉村聡志先生は、長年にわたり整形外科の医師として研鑽を積み、特に関節リウマチの治療に力を注いできたという経験を持つ。同院では、従来の患者との信頼関係を大切にしながら、精密な診断や治療などを目的に、先進的な医療技術を導入。「患者さんが『年だから仕方ない』と諦めることなく、少しでも快適に動けるようサポートしたいです」と語る嘉村院長は、一人ひとりに寄り添った診療を重視している。そんな嘉村院長に、開業の経緯や診療方針、今後の展望について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年3月12日)
痛みを抱える前に、相談してもらえる場所づくりを
医師をめざされたきっかけと、整形外科を専門に選ばれた理由を教えてください。

私の家族や親族には医師が多く、父と祖父は産婦人科、叔父は整形外科の医師です。学校の先生に憧れる時期もありましたが、やはり身近にいた家族の姿を見て、医師をめざそうと思いました。学生時代はバスケットボールに打ち込み、練習や試合でケガをすることも多く、整形外科の分野に自然と関心を持つようになりました。さらに、勤務医時代に九州医療センターの関節リウマチ専門の先生と出会い、患者さんの生活を第一に考えながら治療をする姿に感銘を受けました。その先生が、どんなに難しい手術でも患者さんのために挑戦する姿勢を貫いているのを見て、「自分もこういう医師になりたい」と思うようになったのです。
これまでの医師としての経験は、現在の診療にどのように生かされていますか?
勤務医時代は、関節リウマチをはじめとする多くの整形外科疾患に携わってきました。リウマチの患者さんは関節の変形が進み、長年歩けない方もいらっしゃいます。例えば旅行やスポーツを楽しめる状態につなげられるような、痛みを抱える患者さんの生活の質を向上させるために手術をする、など整形外科の務めを意識するようになりました。現在の診療では手術だけでなく、症状が進行する前の段階で適切な治療を提供することが重要だと考えています。そのために、エコーを活用した診断や、拡散型圧力波治療器などの先進的な機器を用いた痛みのコントロールなど、できる限り負担の少ない方法で患者さんをサポートしていきたいです。
クリニックを開業された経緯と、診療に対する思いをお聞かせください。

開業のきっかけは、事業継承の話をいただいたことでした。これまで私は主に手術を中心とした診療を行っていましたが、よりプライマリケアに関わり、患者さんの症状がひどくなる前に治療できる環境をつくりたいと考えていました。そんな中、30年以上地域医療に貢献されてきた先生から継承の話をいただき、「この地域の医療をさらに発展させたい」と強く思うようになったんです。前院長の先生は、地域の方々から厚い信頼を寄せられており、「先生に診てもらいたい」と来院される患者さんが多くいらっしゃいます。その信頼関係を大切にしながら、先進的な医療技術を取り入れ、より良い診療を提供することをめざしています。患者さんが「年だから仕方ない」と諦めることなく、自分らしく過ごせるようサポートに取り組んでいきます。
一人ひとりの生活背景をもとに診療を組み立てる
診療を行う上で、大切にされていることを教えてください。

私は、患者さんが「年だから仕方ない」と諦めることなく、できる限り快適に過ごせるようサポートすることを大切にしています。整形外科に来られる方の多くは、加齢による関節の変形や慢性的な痛みを抱えています。リウマチもその一つで、根本的な治療が難しい病気ですが、治療によって生活の質の向上につなげられます。そのため、画像や検査結果だけでなく、患者さん一人ひとりの生活背景を踏まえた診療を心がけています。「今、どんな治療が必要なのか」「何ができるのか」を丁寧に考えながら、最適なアプローチを提案するイメージです。どんなに些細な症状でも、気軽に相談してもらえるクリニックでありたいですね。
どのような治療や設備を導入されていますか?
従来の治療を大切にしつつ、新しい技術も積極的に取り入れています。例えば、エコーを活用した診断では、より精密に痛みの原因を特定し、適切な治療につなげることが可能です。また、拡散型圧力波治療器を導入し、慢性的な痛みや腱の炎症に対する新たなアプローチを提供しています。スポーツ疾患などの治療にも活用されるこの機器は、患者さんの負担を抑えることがめざせます。さらに、リハビリテーション設備も充実させ、理学療法士と連携しながら個々に最適なプランを提案しています。こうした治療環境を整えることで、「痛みを我慢するしかない」と思い込むのではなく、積極的に改善をめざせる場をつくりたいと考えています。
どのような患者さんが多く来院されますか?

ご高齢の方が多いですが、50~60代の方が「若い頃と体の調子が変わってきた」と感じて受診されるケースも増えています。また、スポーツによるケガや慢性的な痛みを抱えた学生さんも少なくありません。特にこの地域では、80代や90代になっても畑仕事を続けるなど、非常に活動的な高齢者が多いのが特徴です。そのため、「無理をしないほうが良い」と制限をかけるのではなく、できるだけ好きなことを続けられるようサポートすることを心がけています。例えば、リハビリテーションや自宅でのケアを活用しながら痛みを最小限に抑えるための方法を提案し、「これ以上悪化させないために、今できることをする」という意識を持って診療を行っています。
少しの違和感であっても、相談できる整形外科医院へ
リハビリテーションに対する考え方を教えてください。

リハビリテーションは単に痛みを軽減するためだけでなく、患者さんが本来の動きを取り戻し快適に生活できるようサポートするために欠かせません。整形外科の疾患は、痛みが出ている箇所だけでなく、体全体のバランスや動きの癖も影響していることが多いため、リハビリテーションではそうした点まで考慮してプログラムを組んでいます。また、スポーツ復帰をめざす学生さんや社会人の方には、競技特性を踏まえたリハビリテーションも提供しているんです。例えば、野球やサッカーなど競技によって負担がかかる部位が異なるため、それぞれの動作に合わせたケアを行っています。単に治療するのではなく、その後も患者さんが自分らしく動けるよう、長期的な視点で進めることを大切にしています。
スタッフとの連携やチーム医療について、どのように考えていますか?
整形外科の診療では医師だけでなく、理学療法士や看護師、受付スタッフなど、さまざまな職種の連携が重要です。スタッフにも日頃から「患者さんの様子をよく見ることを大切にしてほしい」と伝えています。スタッフ一人ひとりが患者さんの小さな変化にも気づき、適切なサポートを行うようにお願いしているんです。例えば、「最近、歩くペースが遅くなっている」「待合室で腰をさすっていることが増えた」など、診察室では気づけない変化をスタッフが察知し、情報を共有することで、より適切な診療につなげることができます。また、当院には野球を中心としたアスレチックリハビリテーションに詳しい理学療法士もいます。きちんとスポーツに復帰することを考えたリハビリテーションなども提供できますので、ケガで悩む学生さんにもお越しいただきたいですね。
今後の展望や、クリニックとしてめざしていきたいことを教えてください。

私がめざすのは、「何かあったときに、すぐに相談できる整形外科」です。痛みが強くなってから受診するのではなく、「少し違和感がある」「最近動きが悪い」といった段階で気軽に来てもらえる場所にしたいですね。そのためには、症状が悪化する前の段階で適切なアドバイスを行い、患者さん自身が体の変化に気づけるようサポートすることが重要です。また、スポーツを頑張る子どもたちや、仕事や趣味を楽しむ大人の方、高齢になっても活動的に過ごしたい方など、それぞれのライフスタイルに合わせた診療ができると良いですね。医療の進歩に合わせて、新しい技術や治療法も積極的に取り入れながら、地域の皆さんが安心して通える整形外科を築いていきたいです。「こんなことで来ても良いんですか?」と思うことなく、ちょっとしたことでもご相談ください。