松口 信行 院長の独自取材記事
松口整形外科クリニック
(福岡市早良区/西新駅)
最終更新日:2021/10/12

地下鉄空港線・西新駅から徒歩3分、明治通り沿いの真栄ビル3階にある「松口整形外科クリニック」は、開業以来約30年にわたって地域住民のケガ、骨折や打撲、さまざまな体の痛みに向き合い寄り添ってきた。松口信行院長は祝日以外休診日を設けず夜や土日の診療にも対応し、病院を受診する時間がない人でも安心して相談できるクリニックをめざしてきたという。現在は患者に負担が少ない超音波(エコー)検査を用いた診療に注力し「なるべく負担をかけずに正確な診断のもと迅速かつ必要な医療を提供し、一日も早く患者さんを苦痛から救う」ことをモットーとしている。今回のインタビューでは、松口院長のこれまでのキャリアやクリニックの特徴、エコーを活用した診断と治療などについてじっくりと話を聞いた。
(取材日2020年9月12日)
土日も夜もいつでも頼れる整形外科として地域に貢献
先生はクリニックのある西新が地元だそうですね。

西新エリアは地元で、百道中、修猷館高等学校に通っていました。熊本大学医学部を卒業後、福岡へと戻り九州大学医学部の整形外科に入局。その後は佐賀県の関連病院に長く勤めていたので、地元に戻りたいという気持ちが強かったのかもしれません。生まれ育った場所で地域の皆さんに貢献したいと思い、1990年に当クリニックを開業しました。以来約30年にわたって、地域の方々の治療に取り組んでいます。外傷ややけど、腰痛、膝、首、肩の痛みなどで幼児からお年寄りまで幅広い年齢層の患者さんが受診されています。
整形外科を専門に選んだきっかけをお聞かせください。
父親が学生時代に陸上の選手だったことから、私も子どもの頃から走ったり跳んだりすることが好きでした。大学時代は6年間ラグビー部に所属していたので打撲や捻挫などのケガは日常茶飯事。そのため整形外科にお世話になることが多く、なじみもあったために自身も整形外科の道を志すようになりました。私の双子の息子たちも親の背中を見て育ったせいか医学の道に進み、一人は同じ整形外科の医師になりました。現在当院の非常勤として月に2、3回勤務していますが、近々親子2人体制で診療にあたる予定です。協力してより良い医療を提供できると楽しみにしています。
これまでにどのような臨床に携わられたのでしょうか?

勤務医時代は、外傷や骨折などの一般整形外科全般に携わってきましたが、中でも関節鏡による膝の手術には力を注ぎました。当時はまだまだ関節鏡の手術が始まったばかりで、国内留学のようなかたちで帝京大学に在籍し知識と技術を身につけました。佐賀の基幹病院では半月板の手術や靱帯の修復などかなりの数の症例を経験しました。今日の関節鏡手術の先駆けとなったと自負しております。開業後は患者さん患者さんのニーズに合わせて手術に頼らず、いろいろな工夫をして患者さんの負担を減らす保存的治療を心がけています。
学生のケガから慢性疾患まで、かかりつけ医として活躍
西新は学生の街としての顔もありますが、部活でケガをした患者さんも多くいらっしゃるのですか?

体育の授業や部活動で骨折、捻挫、肉離れなどの学生さんが多く来られます。ただ運動を禁止することでなく、できるだけ患者さん一人々の事情に応じたトレーニングやリハビリ、ケガの予防などの指導に努めております。大学時代のラグビーの経験があったので、以前は高校のラグビー部のチームドクターとして試合に立ち会うなど非常に楽しかったです。チームドクターは引退しましたが、これまでさまざまな運動部員やたくさんの学生さんを治療してきました。当クリニックに通院したことをきっかけに整形外科医になったという学生さんもいて連絡をくれ、うれしかったですね。
どのような患者さんが多いのでしょうか?
幼児や学生さん、会社員からお年寄りまで、幅広い年齢層の患者さんが、ケガややけど、慢性的な関節痛や神経痛やリウマチなどでいらしゃいます。外傷にも各年齢層でいろんな特徴があり、年齢に合わせた診察と検査が必要です。また高齢者では関節や脊椎の老化に伴う関節痛や手足の神経痛を訴える方が多く来院されます。できるだけ早く痛みを取るためには注射や薬も必要となることもありますが、老化と付き合いながら生活のレベルを上げるように、筋力の低下を防ぐ運動や生活の指導が大切です。患者さんお一人お一人の症状とご希望に合わせた治療と指導を心がけております。平日は夜8時まで、土日は昼2時まで診療していますので、急患センターからの紹介も多いです。
先生は脊椎脊髄病やリウマチの治療も数多く手がけてこられたそうですね。

腰痛にはいわゆるぎっくり腰の他に、老化による脊柱管狭窄症や骨粗しょう症によるものが多くみられます。MRIや骨密度測定などの検査をして早期発見、早期治療が大切です。膝や腰などの慢性疾患にはリハビリテーションも重要で動かさないままでいると筋肉や骨が衰え、関節が固まってしまうので、適度な運動で筋力をつけるように心がけてください。またリウマチは関節の炎症で変形が起こる病気です。発症から1年以内に関節の破壊が進み変形を引き起こすので、より早い診断と治療が肝心です。初期治療にしっかり取り組みましょう。今では多くの新薬が出て、病気の進行と関節の変形を防ぐことが図れます。再発も少ないので、関節の違和感を感じたら早めにご相談ください。
休診日を設けずいつでも気軽に受診できるクリニックに
患者さんと向き合う際に心がけていることはありますか?

当クリニックのモットーは、より早く確定診断を行い、適切な治療でできるだけ早く患者さんの苦痛を取り除くことです。そのため患者さんの病状に応じて、レントゲンだけでなくエコーを活用したり同ビル内の脳神経外科クリニックに協力いただき即日MRIやCTを撮影して、痛みの原因を特定していきます。また骨折などについてはビジネスパーソンも多いため、仕事に支障を来さないように心がけています。例えば、ギプスに工夫をしたり、手製の靴底を作ったりして、なるべく松葉づえに頼らずに歩行ができるように配慮しているのは、当クリニックの診療の一つの特徴かもしれません。患者さんを家族と思い常に患者さんの立場と目線に立ち、当クリニックを受診して良かったと喜んでもらえるようこれからも努力していきたいと思います。
休診日がないのも特徴的ですね。
開業時に、いつでも気軽に受診できるようなクリニックをめざそうと思ったことが大きな理由です。土日も診療をしていますし、西新エリアは地下鉄にも近く住宅街でもあるので仕事帰りに受診する方が多く、平日は20時まで対応しています。18時以降にいらっしゃる患者さんは出血を伴うケガや骨折などのケースもあり、幅広い時間帯における対応は、このエリアで整形外科を営む者の使命だと感じています。急患センターからの紹介も多く、地域の救急医療の一端を担っているという自負もあります。
診断と治療の両面でエコーを活用しているとお聞きしました。

患者さんをしっかりと触診し、仕事内容をはじめとした生活環境、痛みの種類や時間などを詳しくヒアリングすることは大前提だと考えています。その上で、必要に応じてエックス線写真を撮り詳細に検査していくのですが、触診や画像では見つからない炎症が隠れていることがあります。その場合にはエコーを使ってより詳細に調べていきます。関節の腫れ、あるいは肉離れなどが疑われる際には、必ずエコーでの診断を行います。また筋膜リリース注射というのですが、エコー下でピンポイントに痛み止めを注射していきます。今後も診断と治療の両方にエコーを活用しながら、精度を上げていきたいですね。
首や肩の凝りに悩んでいる方も多いと思いますが、日頃から予防する方法はありますか?
首凝り・肩凝りは、現代人とは切り離せない問題ではありますが、重要なのは、同じ姿勢でパソコン作業をしたり、長時間スマートフォンを扱ったりしないことです。それが首や肩の凝りを引き起こします。肩の運動は特にストレッチが重要で激しい運動は必要ありません。まずは肩を動かすことを意識してください。お年寄りの方であれば腕を振る時に肩から動かすように散歩をするレベルでも良いでしょう。作業の合間に肩甲骨周りをほぐす運動を意識すれば、さらによいです。また神経痛を患って肩凝りが起きていることもあるので、首凝り・肩凝りでも軽く考えずにきちんと医療機関を受診することが重要です。当クリニックでは筋膜リリース注射にも対応していますので、我慢せずにまずはご相談ください。