健康診断でひっかかったら
腎臓病の早期チェックを
よしとみ内科クリニック
(福岡市西区/姪浜駅)
最終更新日:2025/01/27


- 保険診療
腎臓は体内の水分量やミネラルバランスを調整し、老廃物を体外に出すという重要な役割を果たしている。そんな腎臓の機能が次第に損なわれる慢性腎臓病。初期にはほとんど自覚症状がなく、気づいた時には病状が進行してしまっているのが怖いところ。40代以下の若い年代で発症することも珍しくなく、しかも一度悪くなってしまった腎臓機能を元に戻すことは困難だ。一方で早期に発見して治療を開始することで、進行の抑制を図れ、将来的なリスクの低減にもつなげられるという。早期発見・早期治療の鍵を握るのが健康診断である。腎臓内科の専門的な診療を提供するクリニックである「よしとみ内科クリニック」の吉冨亮太院長に、健康診断と腎臓病のリスクの関係や、慢性腎臓病と診断された際の治療方法などについて話を聞いた。
(取材日2022年2月15日)
目次
若くしてかかる可能性もある慢性腎炎など、生活習慣病にも起因する腎臓病。原因に応じた早期治療を
- Qどのような人に腎臓病の可能性があるのでしょうか?
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A
▲血尿、タンパク尿が出た際には注意が必要
腎臓病の種類によっては浮腫や尿量の減少といった症状もありますが、初期から症状があるよりも実は症状を感じないケースのほうが多い印象です。となると、健康診断が重要な指標となります。特に腎臓内科で重要視しているのが尿タンパクです。腎臓は、体に不必要なものだけを尿に混ぜ込んで捨てます。ですから、タンパク質という重要な栄養素が漏れ出てくる状態は、腎臓に負担がかかっていることを強く疑わせる所見なんです。尿潜血が陽性となった場合も注意が必要でしょう。年齢によっては血液検査で腎臓機能そのものをチェックしますし、血糖値や血圧も指標の一つです。というのも、腎臓が悪くなる病気は生活習慣病とも関係が深いからです。
- Q同じ腎臓の病気でも、病気によって診療科が異なると聞きました。
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A
▲気になることがあれば、まずは気軽に受診を
腎臓を専門としている診療科は、腎臓内科と泌尿器科に大きく分けられます。基本的には内科と外科の違いです。腎臓がんや尿路結石など、主に手術で治療する病気を診るのが泌尿器科です。一方、腎臓の機能そのものが損なわれてしまうような病気、例えば慢性腎臓病や急性腎不全など、いわゆる内科的なアプローチが必要な病気を診るのが私どものような腎臓内科です。ただ、健診で異常があった時点で、腎臓内科と泌尿器科どちらを受診したらいいかわかる人はそうそういないでしょう。当院は、腎臓内科の疾患であればしっかりと治療いたしますし、泌尿器科の疾患であれば、信頼するクリニックをご紹介しますので、気軽に受診してください。
- Q放置してしまうと、将来どのような影響が出てくるのでしょうか。
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A
▲早期受診・早期治療を訴える吉富院長
慢性の腎臓病には、10~20年という長いスパンで悪くなっていくものもあれば、1~2年で腎臓機能がゼロに近づいてしまうものもあります。検査の数値に異常があるのに放置してしまうと、腎不全といって腎臓の機能が失われるリスクが高いまま。いずれ透析や移植に頼らざるを得ないといったことにもなりかねません。腎臓は非常に重要な臓器のため比較的予備能力があり、機能が悪くなってもあまり自覚症状がないという特徴があります。そして、慢性腎臓病の場合、一度失った腎臓機能を元に戻すことは困難です。しかし、早めに受診をして治療につなげられたら、将来的な腎臓病のリスクを大幅に低減することも期待できます。
- Q腎臓病の場合、どのような対応をされるのでしょうか?
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A
▲他の医療機関と連携を取り、治療を行っていく
慢性腎臓病となる原因の約9割が、3つの病気で説明できると思います。特に多いのは糖尿病で、糖尿病性腎症の原因となります。あとの2つは高血圧と慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)で、ほぼ同じくらいの頻度です。生活習慣病である糖尿病と高血圧が原因の場合は、これらを改善させるのが一番です。慢性腎炎が疑われる場合は、疾患のタイプや程度を見極めて治療方針を立てることが重要ですので、腎臓の組織を調べる腎生検を行います。入院して検査をしますので、腎生検が必要な場合は、お住まいの近くで対応可能な医療機関をご紹介します。そこで、治療を受けて落ち着いたら、当院の外来に戻ってきていただくというケースが多いですね。
- Q将来のためにも、根気強く取り組むことが大切なのですね。
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A
▲定期的に健診を受けることが、症状の進行を防ぐことにつながる
早期に適切な対応を行い腎臓機能に影響がない状態と判断できれば、月に1度~半年に1度定期的に通院する、もしくは年1回の健康診断で経過を確認するというかたちに移行できます。病気が進行しないよう、根気強く治療に取り組むことが必要です。先に言ったように、腎臓病の方は、高血圧や糖尿病など腎臓以外のトラブルを抱えていることも多いんです。ですから、腎臓内科は、他科の先生と連携を取りながら診ていくことが非常に多い診療科だと思います。当院でも、患者さんの症状によっては、他科の専門性の高い治療をお勧めすることもあります。患者さんの将来を考えた診療やアドバイスをしていきますので、一緒に歩んでいきましょう。