中村 博 院長の独自取材記事
中村博整形外科医院
(福岡市南区/高宮駅)
最終更新日:2026/02/10
西鉄高宮駅から車で約6分、西鉄バス野間大池停留所からは徒歩1分。にぎやかな大通り沿いに「中村博整形外科医院」はある。このクリニックの院長を務めるのが、明るくテキパキとした語り口と優しい笑顔が印象的な中村博先生。整形外科の疾患を中心とした診療を行っており、約25年にわたって地域住民の心身の痛みに寄り添ってきた。患者の顔を見て、体に触れる診療を大切にしている。できるだけ痛み止めを使わない治療をめざし、漢方など東洋医学的なアプローチを取り入れ、健康づくりのための栄養指導も行っている。「つらい痛みを諦めないでほしい」と語る中村院長に、同院の診療方針や今後の展望について話を聞いた。
(取材日2020年10月19日)
患者に向き合い、見て聞いて触れる診療を実践
クリニックの診療方針を教えてください。

当院は、患者さんとしっかり向き合い、「見て、聞いて、触れる」診察、診療を行うのが特徴です。腰痛や膝痛などを抱えた患者さんに対して、痛み止めなどの薬をできるだけ使わない治療を実施しています。症状を一時的に楽にする対症療法では、なかなか根本的な問題解決に至りません。そこで、痛みのある局所だけではなく、全身にも着目する包括的な治療を心がけています。初診では爪や舌の状態を見て、事細かに問診させていただき、患者さんに直接手で触れて筋肉の硬さや張りなどを確かめていきます。エックス線による検査だけでなく五感を使うことで、より正確な診断をめざします。治療も素手で行うのを基本とし、筋肉の張りや凝りの緩和を図ることで痛みにアプローチしていきます。
手を使った診療を始めたきっかけは?
僕は学生時代から柔道やラグビーをしていたこともあり、この手でたくさんの人に触れてきました。だから自然と手の感覚が磨かれたのかもしれません。手技療法をいろいろ勉強していくうちに応用が利くようになって、手で筋肉を触れるだけで相手の健康状態がわかるようになってきました。筋肉にはものすごくたくさんの細胞があり、「筋肉の状態が良い=細胞の状態が良い」ことを意味すると考えています。細胞の状態が良いということは、つまり細胞膜の状態が良く、活性酸素がうまく除去されて健康な状態であると考えられるでしょう。例えば、腕を触ったら筋肉が硬かったとします。この場合、腕だけでなく、全体的に乳酸がたまって硬くなっているケースが多いため、この人は運動のしすぎか、糖の取りすぎか、カロリーが足りないか、と考えていくわけです。そこに問診を組み合わせれば、おのずと答えが見えてくるんです。
問診ではどんなことを聞いているのですか?

お困りの症状についてはもちろんですが、現在の生活状況についてもお伺いします。何人家族でどんな生活をしているのか、いつ何を食べるのか、朝ごはんはパンかごはんか、パンにはジャムやバターをつけるのか、会社に行く時はバスで行くのか自転車で行くのか、会社や家庭生活の中で困っていることはあるのかなど詳しく聞いて、食事の方向性やストレス、心の状態などを分析します。例えば骨折をした場合、ストレスにさらされた体は炎症が起きやすくなっているため、骨の変形が強く出ます。エックス線画像で変形の度合いを見ることはできますが、その人の心の状態まではわかりません。適切な診察、治療を行うためにも、患者さんから必要な情報を得ることが重要です。
体全体を診て、不調の根本的な原因を突き止める
どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?

男女問わず、小さいお子さんからお年寄りまで、幅広い年齢層の患者さんにお越しいただいています。主訴としては、腰痛や膝痛、頭痛といった痛みの症状、肩凝り、しびれなどを訴える患者さんが多いですね。いろいろなストレスを抱えている方やうつっぽい症状のある方、不登校のお子さんなども来られています。中には、精神科と並行して当院に通院されている方もおられます。手術するしかないと言われたとか、手術をしても駄目だったとか、なかなか治らない人の治療が得意です。近隣の方はもちろん、人づてに話を聞いて北九州や大分、佐賀、鹿児島、沖縄など、遠方からわざわざ足を運んでくださる患者さんもたくさんいらっしゃいます。
漢方医学や栄養医学の考えを診療に取り入れているそうですね。
痛み止めを極力使わない治療をしようと考えていた時に、漢方と出会い、そこから自己流で勉強をするようになりました。漢方には「証(しょう)」という考え方があります。証とは、その人の体質や体力など、全身の状態を表す物差しのこと。患者さんの証を適切に捉えて、どの生薬をどのくらいの量で、どのくらいの期間、どのような組み合わせで処方するのかというのが、漢方治療の醍醐味です。体全体の調子を整えることで、つらい症状にアプローチしていきます。また、タンパク質や鉄分などの栄養不足が、不調を引き起こしていることもあります。今は1日3食、バランスの良い食事を取るのが難しい時代。健康状態を維持・改善するために、適切な食事の取り方や栄養指導を行っています。
こちらで実施しているリハビリテーションの特徴を教えてください。

リハビリテーション室を広く設けて、ウォーターベッド、低周波治療器、超音波治療器などの機器類を一通り取りそろえています。ただ、正直言って機械にはそれほどこだわっていません。こちらも私の治療と同じく、手技を用いた施術を中心に行っています。初診で来られた患者さんに対しては、まず私が触診し、痛みに対する応急処置を行います。それから、理学療法士に説明して治療の方向性を示し、引き継ぐというかたちです。ここでも局所だけでなく、体全体を診ることを大切にしています。例えば、膝が痛いという場合、膝の上にある股関節から診ていきます。なぜなら、股関節のゆがみが膝に負担をかけているケースが多いからです。体全体のバランスを見極めて調整したほうが、早期改善につながると考えています。私の手法はすべて理学療法士に伝えているので、安心してお任せいただければと思います。
優しさを大切にした、一人ひとりに寄り添う医療
診療で心がけていることは何ですか?

患者さんのお話にできるだけ耳を傾けること。優しく接して、優しく体に触れること。これに尽きます。患者さんに丁寧に接するよう、スタッフにも徹底しています。問診では立ち入った質問もしていますが、誠意を持って相手に接すれば言いにくいことも打ち明けてくれるのではないでしょうか。生活指導も行っていますが、声を荒げたり、叱ったりは決してしません。目標に少しでも早く近づけるよう、言葉を選びながらアドバイスしていきます。治療の一つとしてストレス源を取り除くのが有用だとしても、仕事がストレスという人に「会社を辞めろ」とは言えませんよね。働くことは生活の糧を得る大切な手段ですから。そこで、発想を転換する、ビタミンCを多く取るなどアドバイスして、できることから始めてもらいます。
先生ご自身の健康法について教えてください。
若い頃はスタミナがあったので、柔道をした後に5キロ走って、それからラグビーをしてから、また5キロ走るようなことを平気でしていました。さらに、ラーメンの替え玉をしたり、餃子、すしの食べ放題ばかり行っていたので、食生活もめちゃくちゃです。無理に食べないダイエットをして骨が弱くなり、何度も骨折したこともあります。今にして思えば、カロリーは摂取していても、本当に必要な栄養は足りていなかったんでしょうね。当時の経験が現在の治療に生かされているかもしれません。もう柔道もラグビーもやっていませんが、毎朝1時間早くクリニックに来て、リハビリ室で腹筋したり、ストレッチしたりして運動しています。あとは栄養医学を考えながら食事をすることを心がけています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

痛みなどの症状がなかなか治らず、今の状況をなんとかしたいという方に来ていただきたいと思います。ありがたいことに、私を必要としてくれる患者さんがたくさんいらっしゃいます。そうした方々に最後までお役に立てる医療を提供していきたい。目の前に患者さんがいたら、どんなことでも全力を尽くします。遠方にお住まいで頻繁に通えないという方は、通院間隔を開けていただいても大丈夫です。家でできるストレッチやマッサージの方法をお伝えします。栄養の話を聞きたい、漢方薬のことを教えてほしいなど、治療以外のご相談もお受けしております。お悩みのことがあれば、ぜひお気軽にお越しください。

