日中の眠気と疲労感、寝起きの頭痛は
睡眠時無呼吸症候群のサイン
東比恵内科
(福岡市博多区/東比恵駅)
最終更新日:2024/10/15


- 保険診療
十分睡眠を取ったはずなのに日中の眠気が強い、疲れが残っているという場合、原因として疑われるのが睡眠時無呼吸症候群だ。これは本来持っている気道が狭い、または太ってしまったために気道が圧迫されるなどして、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまう病気で、痛みなどの明確な自覚症状がなく見つかりにくい病気でもあるという。睡眠の質の低下は、日中の仕事のパフォーマンスを大きく損ない、心臓にも負担をかけるため、早めの受診と治療が大切だ。呼吸器内科の専門家として睡眠時無呼吸症候群の治療に取り組む「東比恵内科」の原田直之院長は「日中に耐え難い眠気があるという人は、将来の心臓病を予防するためにも専門機関を受診しましょう」と呼びかけている。そんな原田院長に睡眠時無呼吸症候群の検査方法や治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年9月3日)
目次
睡眠時無呼吸症候群は早めの検査・治療で将来の心臓病予防を
- Q受診のタイミングについて教えてください。
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A
▲呼吸器内科、漢方内科を得意とする原田院長
一般的にはご家族から「いびきがうるさい」「夜中に息が止まっている」と指摘されて受診されるケースが多いですね。睡眠時無呼吸症候群の主な症状はいびきと睡眠時の複数回の無呼吸ですから、自分ではなかなか気づくことが難しいもの。自覚症状として顕著なのは日中の耐え難い眠気で、活動時間帯のパフォーマンスが大きく低下します。中には息苦しくて目が覚める方もいます。それくらいなら治療は必要ないと考える方もいますが、呼吸が止まるということは酸素の供給が停止していますから心臓に負担がかかります。そのため早めに受診して適切な治療を受けることが肝要です。家族にいびきや無呼吸を指摘されたら、まずは専門機関を受診しましょう。
- Q放置した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
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A
▲病気の治療はもちろん、日頃の体調の悩みに真摯に耳を傾ける
実際、無呼吸の状態だとエベレスト山頂にいるくらいの低酸素状態に陥るといわれていますから、放置すればするほど体への負担は大きくなります。仕事や勉強の効率は落ちますし、息が止まることで心臓に大きな負荷を与え、心不全に罹患するリスクを高めます。重度の睡眠時無呼吸症候群では1時間に40回ほど呼吸が停止するといわれており、静かに心臓を蝕んでいく命に関わる病気といえるでしょう。日中の眠気も単なる寝不足とは比較できない相当なものですから、車を運転される方だったら交通事故のリスクが生じますし、仕事に車を使っている場合は通勤や仕事中にも危険が及びます。単に日中眠くなる病気だと軽く判断しないでください。
- Q具体的な検査内容や治療方法について教えてください。
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A
▲睡眠時無呼吸症候群は入院しない自宅での検査も可能
睡眠時無呼吸症候群の検査には専用の器具が必要になります。睡眠時に呼吸が停止しているかどうかを確認するため、体の中の酸素と脳波をモニターしていきます。以前は入院しての検査となっていたのですが、現在では検査機器の性能が向上し自宅で検査できるようになりました。基本的には受診していただいて、問診で睡眠時無呼吸症候群の可能性があるかどうかを判断。検査が必要となれば自宅に検査機器を送り、マニュアルに沿って着用し寝ていただきます。1時間に5回以上無呼吸の状態があれば睡眠時無呼吸症候群と診断され、治療のため無呼吸時に空気を送り込むマスクを装着して就寝してもらいます。薬での治療は難しく物理的な治療となります。
- Q呼吸器内科の専門家に診てもらうメリットありますか?
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A
▲少しでも症状がある場合は、早めの検査を
病気を診断し治療するということであれば、睡眠時無呼吸症候群に対応しているクリニックであれば問題ありません。しかし、ほかにも呼吸器のトラブルを抱えているなど特殊なケースについては呼吸器内科の専門家に相談したほうが良いでしょう。心臓や肺に関連する病気であるという観点から見ても、より詳しい検査や治療ができるというのはメリットだと思います。また、睡眠時無呼吸症候群の治療には無呼吸時に機械を使って空気を体内に送り込むため、乾燥して咳が出る、息苦しさを感じるなどの症状を訴える患者さんも少なくありません。そういった治療に伴う症状にもすぐに対応できるという点は、専門家ならではの特徴といえます。
- Q漢方によるアプローチにも取り組まれているそうですね。
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A
▲西洋医学と東洋医学をうまく併用し、診療を行っている
睡眠時無呼吸症候群には物理的にいびきをかきにくくすることを目的に、基本的には器具を用いた治療になります。漢方によるアプローチとしては、基本的に睡眠が足りていないので、疲労回復やスムーズな入眠を促すなど、病気に付随するさまざまな症状を緩和させることが目的です。また、例えば、眠れないからとすぐに睡眠薬を服用することに抵抗感がある人は多いのではないでしょうか。機器を装着する煩わしさなどから治療に対して後ろ向きになってしまっている方に対しても、漢方が力になれるのではないかと思います。治療に対する不快な部分、不安な部分をサポートできるとうれしいですね。