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植山 奈実 院長の独自取材記事

植山小児科医院

(福岡市東区/千早駅)

最終更新日:2025/05/30

植山奈実院長 植山小児科医院 main

千早駅から徒歩8分。車通りの多い大通りに面しながらも、院内に一歩入ると穏やかで静かな空気が漂う「植山小児科医院」。院長の植山奈実先生は、福岡大学を卒業後、福岡市立こども病院や福岡和白病院などで研鑽を積み、2001年に先代院長である父から同院を引き継いだ。「思いやりを持って接するように」という父からの言葉を大切に診察にあたり、子どもだけではなく、親への目配り・心配りも大切にしているという。同院では病児デイケアルームも併設し、仕事に忙しい働き世代の心強い味方でもある。「スマートフォンに任せず、親御さんの言葉でお子さんと向き合ってくださいね」と優しく語る植山院長に、診察時に心がけている点やスタッフの強みなどを聞いた。

(取材日2021年3月26日)

父の背中に導かれ「思いやり」を軸に地域医療に貢献

先生が医師をめざしたきっかけからお聞かせください。

植山奈実院長 植山小児科医院1

当院は父が開業したクリニックです。父は私が生まれる前から地域医療に携わっていて、その背中を見て育ちましたから、医師になりたいと自然と考えていました。父が開業した当時は小児科とともに内科を標榜するクリニックが多かったそうですが、父は最初から小児科に力を入れていきたいと今のかたちにしたそうです。ですので進路を決める時期にも大きく迷うことなく、「継いでくれたらありがたい」という父の言葉に背を押され、福岡大学の医学部に進みました。

卒業後は、福岡市立こども病院や福岡大学筑紫病院、福岡和白病院などで研鑽を積まれましたね。

福岡市立こども病院では、内分泌の分野で診療経験を積みました。内分泌というのは、お子さんであれば低身長や骨代謝、肥満などに関係してくるものです。父が小児肥満の治療や、どうすれば小児肥満を減らせるかという調査なども行っており、自分もそのような知識を身につけたいと考えたからでした。また一時期は副院長として父とともに当院で働きながら、同時に福岡市の急患診療センターで深夜の専任医師として4年の間、研鑽しました。発熱、けいれん、急な喘息といった緊急性の高い症状にも対応しましたし、お子さんを心配する親御さんのお気持ちともたくさん向き合う、とても勉強になる日々でした。

お父さまから教えられたことで印象的な言葉などはありますか?

植山奈実院長 植山小児科医院2

まずは状態が悪かったり熱が高かったりするお子さんの場合は、短いスパンで来るようにお声がけすることです。お子さんの容体は急変することが多いから、こまめに、思いやりを持って診療にあたりなさい、と。そして、なるべく平易な表現で説明すること。子育てに慣れていない親御さんもおられますし、難しい言葉はなるべく使わないように、というのは常に心に留めています。とはいえ、あまり軽い雰囲気で伝えるとお薬の飲み忘れ、通院忘れにつながってしまうので、言葉選びのバランスは非常に大切ですね。「急変することもあるので、このあたりで必ず来てくださいね」「お子さんは体調の変化が早いので、大人のように長くお薬は出せないんです」など、理解しやすいように具体的に伝えることもあります。中でも初診の方であればより深く丁寧にお話を聞き、細かく対応することを心がけています。

心強いスタッフに見守られ、親子2代で通院する家族も

先生が診察をする中でも、低身長や小児肥満のご相談はありますか?

植山奈実院長 植山小児科医院3

数は多くないですが、ありますよ。3歳児健診などの検査で成長ホルモンが足りないと指摘されるケースもありますが、親御さんが「もしかして」と考えて来院されることもあります。例えば集団生活をしていてほかの子たちよりも頭一つ小柄だとか、年齢の平均身長よりも小さいとか、小学生の中高学年になってほかの子は背が伸びたのに伸びない、といったことがきっかけですね。ただ当院としては、小柄であることでネガティブになる必要はないと考えています。親御さんは遠慮して口をつぐむこともありますが、それとなく「気になることはありますか?」など声をかけるようにしています。そうすると親御さんも「実は気になっていて……」とお話ししてくださいますから、日頃から「気軽に相談してくださいね」と声をかけるようにしています。

お父さまの「思いやり」という言葉を本当に大切にされていますね。

一方で、以前と変わったと感じるのはスマートフォンの存在です。忙しいからつい子どもがスマートフォンで遊んでいてもそのまま……なんてこともあるでしょうけれど、できれば絵本を読み聞かせたり、一緒にお話をしながら散歩をしたり、お子さんとの対話も大事にしてほしいですね。オンライン受診も浸透してきましたが、小児科ではなかなか導入しづらいところもあります。直接様子を見て、肌に触れて判断をしないと誤診にもつながってしまいますし、直接診られないことが虐待のマスキングになってしまう恐れもあります。診察で私たちが診ているのはお子さんだけではないんです。東区では小児科医、産婦人科医、基幹病院、警察とで育児支援ネットワークをつくり、勉強会や意見交換会を行っています。お子さんは普通でも親御さんの様子がおかしいと感じたら私やスタッフがそっと声をかけたりして、悲しい事件が起こらないようにと取り組んでいます。

とても頼りになるスタッフさんなのですね。

植山奈実院長 植山小児科医院4

まさにそうです。看護師が3人、事務が4人という体制ですが、そのうちの1人を除いて、皆さん父の代からのスタッフなんです。中でも看護師長は勤続40年を迎えていて、大人になって今度は自分のお子さんを連れてきた親御さんがびっくりされるんですよ(笑)。スタッフもベテランお母さんばかりなので、私以上にいろいろ上手に親御さんからお話を聞き出したり、話しづらそうな方にもそっと優しく声をかけたりしてくれています。本当に心強い存在ですね。ほかにも何度か通われているうちに「実は私も子どもの頃お世話になっていました」と打ち明けてくださる方も多くて。話が弾んでいるスタッフと親御さんを見ていると、ご自身のお子さんを連れていきたいと思えるようなクリニックになっているのかな、と本当にうれしく思うことも多いです。

女性らしいこまやかさで、子どもの健康と成長を見守る

クリニックの隣に病児デイケアルームも開設されていますね。

植山奈実院長 植山小児科医院5

病中、病後のお子さんを預かるという病児デイケアの前身は、母がやっていた保育所でした。経営的な課題もあり一度閉所したのですが、厚生労働省が市内各区に病児保育施設をつくるとなった際に白羽の矢が立ったこともあり、もう一度地域の子育て世帯のお役に立ちたいと思ったのです。近隣にお住まいの方だけでなく、職場がお近くの方にも利用していただけたらと思い、運営しています。私は地域の幼稚園や小学校の園医や校医もしていますから、そのつながりでも知っていただけていたらうれしいですね。

小児科医としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?

名前を呼ばれただけで泣いていた子が、だんだんと診察でも泣かなくなり、そのうち自分で椅子に座って服をめくってくれたり、お口も上手に開けられるようになると、本当にうれしくてすぐに褒めてしまいます(笑)。ありがたいことに30歳半ばになった今でも当院での薬の処方を希望される方もいて、四半世紀ほどの付き合いですから、「あの頃はああだったね」なんてお話をするのも楽しいですね。白血病などの難病が見つかった際に、手術が決まりましたなど、親御さんからこまめな連絡があったりするとほっとします。お子さんの成長を見守り、そしていつしか新しいご家族を連れてくる姿を見るのも、小児科の開業医としての醍醐味の一つでしょうね。

先生の思いやりが、患者さんや親御さんに伝わっているのでしょうね。

植山奈実院長 植山小児科医院6

私自身が女性なので、男性医師だと恥ずかしい・怖いと思う女の子でも安心して来てもらえる部分もあるのだと思います。今危惧しているのは、インターネットなどで情報が氾濫していること。親御さんたちもどの情報を信じていいかわからなくなることもあると思いますが、そういったときに的確な気づきを与えられるのが、地域のかかりつけ医です。お子さんのことだけではなく親御さんご自身のお悩みもお話しいただいて構いません。お互いに気になることは言葉にして、信頼関係をつくっていきたいですね。そうして、これからも地域に根差し、病気じゃなくても気軽に相談できる、地域のお子さんたちの健やかな成長を見守る拠点であり続けたいと思います。

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