市丸 智浩 院長の独自取材記事
医療法人吉松会 照葉浅部クリニック
(福岡市東区/西鉄香椎駅)
最終更新日:2021/10/12
照葉小中学校前バス停から徒歩約3分のところにある「照葉浅部クリニック」。2010年の開業より小児科・小児外科のクリニックとして、地域の子どもたちの全身の健康を守り、地域に根差した診療を続ける。理事長の浅部浩史先生は、福岡市立こども病院・感染症センターの小児外科医長として手腕を振るった経歴を持つ。院長を務める市丸智浩先生は、20年以上にわたって佐賀医科大学小児科の医局で研鑽を積んだ小児科のエキスパートだ。「私たちはそれぞれ長い間、大学の医局に在籍し、先進的な医療に携わってきました。その専門性を地域に還元し、子どもたちを支えていくことが重要な務めです」と朗らかに話す市丸先生に、同クリニックの強みや力を入れている診療などについて聞いた。
(取材日2020年11月11日)
小児科と小児外科の専門性を融合した総合的な医療を
まずはクリニックの特徴からお伺いします。
私は日本小児科学会が認定する小児科専門医かつ日本アレルギー学会アレルギー専門医。浅部先生は日本外科学会外科専門医かつ日本小児外科学会が認定する小児外科専門医です。2人の専門性を融合して、子どもたちの全身の健康をトータル的に診られることが大きな特徴ではないでしょうか。同じ院内にいるので、迅速かつ密に連携を図ることもできます。しかも、私たちはそれぞれ佐賀医科大学の小児科と九州大学病院の小児外科の医局で長年にわたって研鑽を積み、先進的な医療に関しても幅広い知見を深めてきました。そこからスピンアウトし、培ってきた経験を生かして子どもを持つ地域の方々に安心していただけるような医療を提供できるのも当クリニックの強みだと思います。
どういった患者や疾患が多いですか?
患者さん全体からするとやはり3分の2は子どもたちで、その半数以上が乳幼児ですね。小児科の疾患としては、風邪や嘔吐下痢、胃腸炎といった感染症が圧倒的に多いです。私はアレルギー疾患も専門なので、子どもの慢性疾患の中で比較的多い、気管支喘息や食物アレルギーなどのアレルギー疾患も診療しています。小児外科的な疾患では、臍ヘルニアや、鼠径ヘルニアなどの疾患が見られます。数多くの小児外科手術を行ってきた浅部先生が、病気を見逃さないよう診療しています。そして、私たちが診察をし、より詳しい検査や入院、手術が必要と考えた場合は、近隣の基幹病院と迅速に連携を図り、最善の治療が提供できるよう努めています。
小児科の専門性を深められた経緯を教えてください。
小児科というのは、子どもたちの生後から成長していく過程までを含めてトータルに全身を診ていく分野です。当然、幅広い専門性が必要なわけですが、そういうある種のオールマイティーな医療に興味がありましたし、自分に向いているのではないかと思い、専攻しました。これまで多くの臨床現場で経験を重ね、過去に在籍していた佐賀県立病院好生館では小児科部長を務めました。好生館は日本で早くから予防接種を行った、日本の小児医学の基礎づくりに貢献した病院です。そうした高度な専門性と歴史のある職場で研鑽を積めたことは医師としての貴重な糧になっています。
アレルギーの専門家として多くの子の健康を手助けする
診療において大切にしていることは何ですか?
成人の方と違って子どもたちは自分の症状を話すことができません。そこで重要になってくるのが親御さんへの問診です。お子さんを心配するあまりに落ち着いて対話できない方もいらっしゃるので、できる限り緊張させないよう話しやすい雰囲気づくりは常に心がけています。さらに、家庭でのお子さんの様子や与えた食事のこと、発症後の変化など、とにかく細かく丁寧に話を聞くよう徹底しています。診察や診断をつけた後は、安心してもらえるようわかりやすく説明するよう力を尽くしています。
アレルギー外来もご担当されているとお聞きしました。
毎週火曜日の午後に完全予約制でアレルギー外来を設け、お子さんを診療しています。私はアレルギー専門医でもありますので、これまで深めてきた専門性を生かして、病気で苦しむ多くの子どもたちを診てきました。アレルギー性疾患は、気管支喘息 アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどがあります。治療においては、上手に病気と付き合っていくことが重要です。患者さんの生活様式はまさに千差万別ですので、状況に応じた適切な方法を考え、アレルギーを持つ子どもたちもそれを気にせず日常生活を送れるように手助けするのが私の役割だと考えています。
現代において、やはりアレルギー性疾患の人は増えているのでしょうか?
昔と比べて現代では、アレルギー性疾患で悩まれる方は確かに増えていると思います。その要因としては、時代の移り変わりとともに、社会環境や食生活、生活様式などが大きく変化してきたことが挙げられます。例えば、今や花粉症はすっかり珍しくない病気になりました。しかし、戦前はもっと発症率が低かったといわれています。さらに、卵や牛乳をはじめとする食の欧米化や、住宅の構造の変化によるダニの増化。衛星の改善による感染症の減少などもアレルギー要因といわれています。今後も社会の変化により、さまざまなアレルギー疾患を発症する可能性があります。
往診にも対応し、高齢者の在宅療養をサポート
こちらのクリニックは在宅療養支援診療所としての機能もあるそうですね。
浅部先生が主体となって、必要に応じてご自宅や各施設での往診を行っています。大半が高齢の方ですが、若干小児の患者さんもいらっしゃいます。計画的に訪問し治療やお薬の処方などを行い、健康管理をサポートしています。体調が悪化した場合もかかりつけ医として、在宅で療養していただくよう適切な診療を提供しているほか、介護保険を利用した療養上のアドバイスや費用負担についても積極的にご相談を受けつけています。
医師を志したきっかけや仕事のやりがいは何ですか?
年齢の離れた兄が医師をしていたことが一番のきっかけです。私が小学生の時、兄はすでに医学部生でしたので、その頃には漠然と医療の道を考えていたのではないでしょうか。中学・高校と成長するごとに、多くの人々の健康を守る医師という仕事への憧れが強くなっていったのを覚えています。私は小児科の医師となり、アレルギー疾患をはじめとする慢性病のお子さんを多く診ていますが、受診される際に元気な笑顔で話す姿を見るたびに、医師をやっていて良かったと実感しますね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
私も理事長の浅部先生も、長年にわたって大学の医局に在籍し、研究や臨床経験を重ねながら先進的な医療に関する専門性を深めてきました。その知見を生かして、皆さんが安心できる医療を地域に還元し、多くの方々の健康を支えていくことが私たちの使命であると心から思っています。特にお子さんを持つ親御さんは、些細な悩みでも構いませんので心配事がありましたら、お気軽にご相談ください。適切な診察で、最善の治療を提供できるよう力を尽くします。