野田 哲裕 院長の独自取材記事
野田消化器科内科クリニック
(北九州市八幡西区/本城駅)
最終更新日:2022/11/04
若松線本城駅から徒歩約12分。2022年11月に開業40周年を迎えるのが「野田消化器科内科クリニック」だ。院長の野田哲裕先生は「昔から親と子、世代にわたって通ってくださる患者さんを大切にしたい」ととても優しい笑顔で語る。先代の父親が築き上げてきた患者との信頼関係をそのまま野田院長が受け継ぎ、地域のかかりつけ医として日々診療を続けている。同院は一般内科と消化器内科に重きを置いて診療しており、特に内視鏡検査については検査を希望する患者が多いという。常に患者目線での会話を心がけているという野田院長に、これまでの経歴や地域のかかりつけ医としての役割について語ってもらった。
(取材日2022年09月30日)
先代が築き上げた患者との信頼関係を大切にする
まずはこれまでのご経歴を教えてください。
長崎の高校を出て、久留米大学医学部に進学しました。卒業後は久留米大学病院内科学講座消化器内科部門に入局、その後も複数の病院で経験を積んできました。最終的により専門的に学びたいと思い、また久留米大学病院に戻りました。私が専攻したのが「消化管内視鏡」特に「下部消化管内視鏡(大腸カメラ)」です。というのも、当時久留米大学の教授だった鶴田修先生に憧れていたので、その道を選びました。大学では鶴田先生の元で約5年間、臨床や研究を重ね、多くを学ばせていただいた思います。鶴田先生は真面目で気さく、さらに後輩思いなところにも憧れていましたね。その当時の経験が今に生かされ礎となっていると思っています。
先生が医師をめざしたきっかけや、クリニックを継ぐ経緯を教えてください。
医師をめざしたのは小さい頃から父の姿を見てきたからです。中学校の校医もしていたことから、父の存在はとても大きく、子どもの頃から尊敬していましたね。消化器内科に入ったのも父と同じ道に進みたかったからです。もともと、いつかは当院を継ぐつもりでした。久留米大学で勤務していた時も、月に1~2回はここの手伝いをしていたんです。久留米大学から異動し、戸畑共立病院で勤務しましたが、その時も週に1~2回手伝いに来ていました。父から急にバトンタッチするのではなく、二人で診察したことにより患者さんには長い年月をかけて私を認知していただけたと思います。父とは5年間一緒に働いて、私が院長として引き継ぎましたが、おかげさまで違和感なく患者さんから受け入れてもらえています。私も患者さんに支えられていると気づきました。
他の病院とも提携されているのだとか?
そうですね。当院のすぐ近くには産業医科大学病院がありますし、また他の大きい病院も多数があります。大学病院だけでなく戸畑共立病院や萩原中央病院などの病院とも連携しています。新型コロナウイルス感染症が流行の最中はなかなか入院先が見つからないので、受け入れ先があるのは当院や患者さんにとっても大変助かります。患者さんをスムーズにご案内できるということは、それだけ治療も早く行うことができます。そして何より早く治療ができるということは患者さんや家族にとっても安心ですし心強いと思います。そういった面でも提携先の病院には感謝でいっぱいです。周りの病院と力を合わせることで患者さんとの信頼関係も深まっていくと感じています。
今後も地域のかかりつけ医として貢献していく
クリニックの特徴やどういう患者さんが多く来られるかを教えてください。
「皆さまのかかりつけ医」として内科を総合的に診療しています。消化器内科という看板は出しているものの、糖尿病や高血圧など生活習慣病の患者さんが多いところが特徴です。むしろ一般内科の患者さんの方がメインですね。消化器内科の疾患に関わらず、体調に異変があったり健康診断で指摘を受けたりした人が来院されます。内視鏡検査が目的で来られる方は、初診の方が圧倒的に多いです。実は内視鏡検査は数ヵ月先まで予約でいっぱいで、初診の患者さんが検査目的で来られてもお断りしなければならない状況なんです。そこは非常に心苦しいですね。なのでぜひ事前にお電話で予約状況をご確認ください。患者さんの多くは父の代から通ってくださっている地元の高齢の方から若い方まで幅広く、老若男女問わず来院されます。私が院長になってからは、若干患者さんの年齢層が下がってきたようにも感じますね。
内視鏡検査に抵抗がある人が多いのでは?
そうなんです。なので患者さんの表情などを見ながら内視鏡検査を勧めるかどうかを決めますね。患者さんに合った説明の仕方を考えたり、ご家族を呼んで説明したりなど、検査が必要と思われる方には慎重に話を進めていきます。内視鏡検査は最初が重要だと思っていて、1回目で痛かったり苦しかったりするとトラウマになるんです。できるだけきつくない検査ができるよう、鎮静剤もお勧めしています。昔は検査に鎮静剤を使うことに批判的な声もありましたが、きつい思いをして二度と検査を受けてもらえなくなる方が問題だと思うんです。そうなるとがんの早期発見もできなくなり、悪循環になりますので状況に応じて患者さんに合った方法で検査しています。何より患者さんに「定期的に受けよう」と思ってもらうことが大事だと思っています。
患者さんの病気の早期発見に力を入れているそうですね。
はい。父の代から通ってくださる患者さんが多いため、がんを含め病気を発見した場合、患者さんも私もショックは大きいです。また、初めて受診される方にも重度の病気を見つけることがあります。当院をかかりつけとして通ってくださる患者さんはもとより、みなさまには定期的に検査を受けてほしいですね。病気を早期に発見するために、患者さんとの信頼関係を作って、定期的に通ってもらう雰囲気づくりにも努めています。通いづらいと当然来てもらえませんから、そこは私の対応が重要だと思っています。特に大腸がんは増加傾向にあるので、大腸内視鏡検査は受けてもらいたいです。当院では大腸ポリープの時点で切除し大腸がんを予防できると考えています。胃がんの発生に関わる「ピロリ菌」も早期発見早期除菌をお勧めしています。
一人ひとりに誠実な対応をしていた先代の遺志を継ぐ
患者さんの緊張を和らげたり、気軽に来てもらうための工夫があったりするそうですね。
患者さんは基本的に緊張して当院に来られます。なので診察中の会話で安心してもらえるよう心がけています。そういうところは父を見習っているんですよ。父は患者さんにとにかく優しく、いつも診察室から笑いが絶えない雰囲気をつくっていたんですね。患者さんの話をよく聞き、難しい医学用語は使わずに説明することを意識しています。そうすることで親近感を持っていただけて、信頼につながりますからね。患者さんに心を開いてもらうと、その後は気軽に来てもらえるようになります。患者さん目線で会話をすることがとても大事だと思っています。
患者さんに生活習慣を改善してもらうために、どのような声かけをしますか?
患者さんに改善すべきことを伝えるばかりでは説得力がないと思っています。なので、「私も運動しているんですよ」ということを伝えて、一緒に頑張ろうという雰囲気づくりを心がけています。「最近涼しくなってきてジョギングしやすくなってきましたよ」などと言って、共通の話題で患者さんのモチベーションを上げると言いますか。あれはだめ、これはだめ、あれをしなさいなど、強制するような言い方では人は動きませんからね。急に生活習慣を変えるのは難しいですから、まずは小さなことでもできることから始めてもらえるように、声かけをします。それでもなかなか変わらない人もいますが、根気強く優しく伝えていきます。
今後力を入れていきたいことと、読者へのメッセージをお願いします。
最近は、患者さんも医療に詳しい方が増えています。今の医療は日進月歩ですので、私も医師として最新かつ正しい知識で患者さんを導いていかなければならないと思っています。そうなると、私自身も日々の学習が欠かせないんですね。これまでも専門ではない分野も勉強してきていますので、引き続き新しい情報をアップデートして患者さんのお役に立ちたいと思います。クリニックに来るのは抵抗があると思いますが、少しでも体調に不安があったり、異変があったりしたらすぐに相談に来てほしいですね。心配事は人それぞれですが、「こんなこと相談していいのかな」と思うようなことでも全然構いません。丁寧に診察し、わかりやすくご説明します。診察した後に何もなければ、ひとまずは安心して帰れると思いますから、気軽に来てください。