岡田 代吉 院長の独自取材記事
おかだ外科胃腸科クリニック
(北九州市八幡西区/三ヶ森駅)
最終更新日:2023/03/07

筑豊電気鉄道線三ヶ森駅から徒歩約3分の場所にある「おかだ外科胃腸科クリニック」。飲食店や美容室が集まる敷地内に位置しているため、駐車場が広い。同クリニックの院長である岡田代吉先生は、外科・胃腸科を専門とするドクターだ。患者一人ひとりの話を親身になってじっくり聞き、診療を進めていくことにこだわりを持っている。長年通い続ける患者が多いのも、岡田院長が持つ穏やかさや人柄の良さからだろう。岡田院長が育った環境についてや、患者との向き合い方などを含めてさまざまな話を聞いてみた。
(取材日2022年11月15日)
患者が喜ぶ姿が見たくて外科の医師をめざした
まずはご出身やご経歴をお聞かせください。

私は長崎県東彼杵郡の、お茶とミカンが有名なところで生まれ育ちました。大村高校を出て、長崎大学の医学部を卒業しています。国立の嬉野医療センターで1年間学んだ後、長崎大学に戻りました。当時の第一外科は、呼吸器外科・消化器外科・小児外科・心臓血管外科と4つのグループに分かれていて、それぞれを回ったんです。その後は、佐世保にある北松(ほくしょう)中央病院と佐世保市総合医療センター、北九州市立八幡病院でも研鑽を積みました。佐世保の総合病院は非常に外科の患者さんが多く、手術症例も豊富にあったのでとても勉強になりました。それから長崎大学で2年間研究をした後、再び北九州市立八幡病院に戻ってきたんですね。そこから約8年間勤めました。当時は休みがないのが当たり前だと思ってがむしゃらに働いてましたね。研修医時代も含めてどこの病院でもとてもかわいがってもらいながら成長できたと感じています。
先輩医師だけでなく患者さんも温かく見守ってくれたんですね。
そうなんです。特に嬉野医療センターでは、研修医が外科の私と内科が1人の計2人だったものですから、病院全体で私たちの面倒を見てくれました。何せ田舎ですから、患者さん含めて私たちに関わる人全員が温かいんです。当時独身だった私に差し入れをしてくださる患者さんがいたり、病院の床屋さんから寝癖を整えてもらったりと、思い返せばきりがないくらいたくさんの人に支えられて育ちました。もちろん、医師として多くの経験も積みました。自分の専門分野に限らず、産婦人科や泌尿器科などでも手術があれば立ち会わせてもらうなど、都会の病院では経験できないこともたくさんありましたね。都会の有名な先生のもとで勉強をするのも良いですが、田舎の総合病院でしか体験できないこともたくさんあると思っています。
医師をめざされたきっかけや、こちらに開院された経緯を教えてください。

医師をめざしたのは、祖父母の「他の人に感謝される人になってほしい」という願いをかなえたかったからです。私の実家は代々お茶屋を営んでいますので、家系に医師はいません。祖父母は昔の人ですから、「お医者さんは病気を治す神のような存在の人」だという感覚があったんです。「岡田家にもそんな人間が1人でもいてほしい」とずっと言われていたんですね。私は三男で、兄たちは実家を継いだり大阪で鉄鋼会社の社長をしていたりします。私は勉強が好きなほうだったので、医師になりたいと思い、努力しました。祖父母の夢をかなえられて良かったですし、人の役に立てているとしたらとてもうれしいです。ちなみにここに開院したのは、たまたま出会ったこのビルのオーナーに勧められたからです。八幡病院時代に、そのオーナーのお子さんの盲腸の手術をしていたという偶然も重なり、開院しました。
ゆっくりじっくり患者と向き合うことにこだわる
患者さんの年齢層や主訴を教えてください。

地域の高齢の方が多いですね。あとは、20代や30代などの若い世代の方は、健康診断の再検査などで来られます。主訴は、一般的な風邪の症状やおなかの具合が悪い、体のあちこちが痛い、小外傷などです。高齢の方で体の不調があると、「がんなのではないか」と不安になって検査を希望される方が多いですね。ですがいきなり精密検査をすることはありません。まずは症状を聞き、横になってもらって触診をします。多くの場合、すぐに検査を必要としない症状の方が多く、薬を出して様子を見るようにしています。「大きな病気だったらどうしよう」など、あれこれ考えて精神的に不安定になっている方には検査をして、現状維持で問題ないことを患者さん自身に確認してもらっています。
病院のモチーフである「カメ」にはどんな意味がありますか?
カメはゆっくり、のんびりしています。私の性格がそうなんです。なので、診療には一人ひとり時間をかけています。短時間で多くの人を診るのではなく、目の前の患者さんができるだけ納得してくれるまで時間をかけるようにしているんです。患者さんと話をする中で、例えば糖尿病なら食事制限についてアドバイスしなければなりません。でも、食べ物をおいしく食べられるという患者さんには無理な食事制限を強いていないんです。食欲は、健康を量るバロメーターの1つなんですね。暴飲暴食は止めますが、ある程度は目をつむります。こんなふうにして患者さんとじっくりいろいろな会話をすることで、少しでも気楽になってほしいと考えています。
スタッフの方も患者さんとのコミュニケーションを大事にされているのですね。

はい。とにかく患者さんは不安な方が多く、スタッフも患者さんの不安を和らげようと、じっくり話を聞いてくれていますね。スタッフは問診の時点で患者さんから聞いた情報をきちんとメモしてくれているので、非常に助かります。そのおかげで診察がスムーズに進みます。むしろ私よりスタッフのほうが患者さんのことをよく知っていると思いますよ。また、患者さんのことを常に気にかけ、小さなことでも覚えているので患者さんが安心できるようです。スタッフたちの対応には患者さんたちも喜んでくれています。ひとまず、何らかの症状があって不安になっている患者さんには検査をしたり薬を出したりすると、安心してくれます。不調を訴える患者さんの多くは特に異常がなく、ここに来て話をするだけで落ち着くようです。
患者をはじめ、人との縁を大事にする
クリニックのホームページがありませんが、患者さんはどんな情報をもとに来られますか?

ほとんどがクチコミですね。患者さんが患者さんを連れて来てくれる感じです。開業当時、妻の両親がもともと学校の先生や警察官で、多くの知人を紹介していただきました。そういうところから25年の歳月をかけて、徐々にクチコミで広がっていったんだと思います。そういうわけでここは人の力で成り立っているクリニックなんですよ。昔からとても温かい患者さんに恵まれてありがたいですね。
手術が必要だったり緊急を要する患者さんへの対応はどうされていますか?
まずは患者さんの症状に応じて近くの病院に連絡しています。例えば心臓に異常があれば、入院施設が整っている東筑病院や萩原中央病院を紹介しますね。必要であればそこからさらに大きな病院へとつないでもらえます。また、北九州市は長崎大学出身で開業されている先生も多いんですよ。そういった先生たちからも非常にかわいがってもらって良いお付き合いをさせていただいていますね。ありがたい限りです。なので、来てくれる患者さんを診た上で、必要であれば専門の先生をご紹介できる体制が整っているので安心してください。患者さんのことを第一に考えて、ベストな選択をするよう日々努めています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私の年齢を考えると、これから大きなことをしようとは思っていません。むしろ、今できることを確実にこなしていくことを考えています。まず、今の患者さんが通ってくれる限り一人ひとりと向き合い、最後まで見届けることが大事だと思っています。何か体調に異変を感じたら気軽に訪ねてもらって構いません。そのとき、いつ・何をしたときにどんな症状になったかをメモしておいてください。そうすると、より適切にアドバイスができるので患者さんも安心できるはずです。あとは、高齢の方で子どもさんがいらっしゃれば、ご連絡先を教えていただきたいです。何かあったときにすぐ連絡できる方がいらっしゃるとお互いにとって良いのではないかと思います。必要であれば往診も可能なので、気軽に相談してください。