原 洋 理事長、原 健人 院長の独自取材記事
医療法人 原内科循環器科クリニック
(北九州市八幡東区/八幡駅)
最終更新日:2025/08/05

北九州市八幡東区祇園にある「原内科循環器科クリニック」。ここは、代々続く医師家系に生まれたという原洋理事長が1994年に開院したクリニックだ。2021年には息子の原健人先生が院長に就任。内科、循環器内科などの専門分野を軸として幅広い症状に対応している。同院ではデイケアにも応じ、患者が要介護状態となっても可能な限り自立した日常生活を送れるよう、心身の機能維持・回復をめざしている。「一人でも多くの方に気持ち良く過ごしてほしい」と設備投資にも熱心で、デイケア施設の全面改装も計画中だ。今回は、原院長に同院の診療スタイルなどについて語ってもらい、原理事長にも今後の展望を聞いた。
(取材日2021年12月18日/情報更新日2023年6月8日)
循環器だけではない幅広い領域への対応力が強み
こちらは現理事長のお父さまが開院したクリニックだそうですね。

【原院長】ええ、父が久留米大学病院の心臓外科を経て、1994年に開院しました。私が院長に就任したのは2021年4月。医師としては10代目になります。医師家系なものですから、親戚も医師が多く小さな頃から当たり前のように医療が身近にありました。自宅は福岡市内の旧市街でしたので、博多祇園山笠に参加するなど、活発に伸び伸びと育ったような気がします。中学は自由な校風でしたが、長崎の規律の厳しい高校に進学してからは一変(笑)。多くの規則がある中、サッカー部で3年間過ごした後、久留米大学の医学部へ進学しました。大学では空手部の主将も務め、練習で顎を骨折したことも。代々続く医師家系でしたので、子どもの頃から何となく医師になるんだろうなと思いながら育ち、大学には同じような環境で育った人がたくさんいましたので、話も合いましたし相談することも多かったですね。
ご卒業後はどのようにキャリアを積まれたのですか?
【原院長】久留米大学の内分泌・代謝内科へ入局し、その後は市立病院などで研鑽を重ねました。小倉記念病院では糖尿病内科の立ち上げにも携わり、食欲ホルモンと時計遺伝子の研究、救命救急、そして2020年まで勤務した病院では新型コロナウイルス専用病棟の担当も。日本内科学会総合内科専門医と日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持っていますが、それ以外にも幅広く経験を積ませてもらい、何でも診られる医師を目標に取り組みました。ここで診療を開始してからも、風邪や生活習慣病はもちろん頻尿、腰痛、頭痛など専門分野にとどまらない症状を可能な限り診させてもらっています。その診療内容の幅広さと対応力は自負するところです。もちろん対応が難しい場合は紹介状を書きますが、自分の専門分野だけという診療スタンスではまったくないんです。
院長に就任されてから院内のシステムも一新されたそうですね。

【原院長】診療部門、介護部門ともに改革を行いました。例えば電子カルテやオンライン診療の導入など。一番受診の必要な世代が、仕事の忙しさなどを理由に受診の機会を失っているケースが多いと思うので、そこをすくい上げるためにもオンライン診療というツールをぜひご利用いただきたいですね。また、診療の約9割は私が行っていますが、この地域で長くやっているので、ご希望があれば理事長も対応いたします。超高齢社会になり、今は元気な高齢者が多いので、当院にも80代、90代の方がよく来られますよ。そういったことも当院がデイケアに力を入れている理由の一つ。診療だけでなく、デイケアも利用されている方が多くおられますから。治療とリハビリを同じ場所で提供できれば、患者さんのご負担も軽減できますしね。
デイケアでは積極的なコミュニケーションを重視
デイケアとデイサービスの違いを教えてください。

【原院長】大きな違いは医師が常駐しているか否かということ。日常生活の支援をメインに行うデイサービスに対し、医療やリハビリに特化しているのがデイケアの特徴です。そして、デイケアでは何よりもコミュニケーションが大切と考えています。というのも、会話をすることは人の健康に最も良い影響をもたらすと考えているからです。私も理事長も昼食を皆さんと一緒に食べているのですが、そこでそれぞれのちょっとした変化に気づけることもあるんですよ。何かあればすぐに対応できることは、皆さんの安心感につながっているかもしれませんね。また、会話をすることはメンタル面にも良い影響を及ぼすと考えています。言葉を交わせば笑顔も増えますし、状態の変化も目に見えてわかるようになるのではないでしょうか。
会話を最も大事にされているのですね。
【原院長】ええ。リハビリに関しては、個々の患者さんに合わせたプランを作成していますが、どれだけ良いプランであっても、コミュニケーションが取れる環境がなければ心を元気にすることはできません。ですので、私もスタッフもとにかく皆さんと会話することを心がけています。時には、患者さんがこれまでどんな人生を歩んで来られたのか、どんなお仕事をされていたのか、逆に自分の家族の話をすることもあります。それが人間の本質だと思うんですよね。家にこもってばかりいると、気持ちが沈みがちになりますから。また、人と会話をすることは認知症をはじめ、さまざまな病気の予防にもつながると思います。ちなみに当院のデイケア部門には、総勢18人のスタッフがおり、送迎も含め、お一人お一人のサポートが手厚くできるように体制を整えてきました。
設備投資にも力を入れていらっしゃるとか。

【原院長】はい。当院では質の高い理学療法の提供を心がけていますので、新たな機器の導入など設備投資も積極的に考えています。地域の方が楽しみながらリハビリできる場所というのは、今後より求められますからね。直近では、今年の冬、デイケア施設を全面改装する予定です。都心にたたずむ、シックなハイクラスホテルをイメージしていまして、内装の印象もがらっと変わります。より洗練された、上質な空間に生まれ変わりますので、ご期待いただけたら。これまで当院になかったお風呂も設置予定ですので、入浴も可能になりますよ。また、食事に関しても使用するお米にこだわり、最高級米と呼ばれる魚沼産コシヒカリを使用しています。予算もあるため、根気強く交渉しましてね。素材に一切妥協せずに提供していけたら。経営面でいうと正直厳しい部分もありますが、一人でも多くの方に気持ち良く過ごしていただきたい、その一心で頑張っています。
医療や介護に対する固定概念を変えていきたい
デイケアは、送迎つきの無料体験も実施されているのですね。

【原院長】そうですね。雰囲気を知っていただくためにもまずは体験をお勧めしています。ご希望の際は、一度ご連絡いただければと。私自身ご利用いただいている方や患者さんから教わることがたくさんあり、皆さんが教科書だと思っています。どんなことを伝えたいと思われているのか常に理解し、想いをくみ取れるよう努めていますので、こんなこと言ってもと躊躇するような些細なことでも構いません。気軽にお話しください。
プライベートでは3人目のお子さんも誕生されたと聞きました。
【原院長】そうなんですよ。上の2人もまだ小さいのでかわいい盛り。休日は遊びに連れて行くなど、家族サービスで一日終わります。そこにもう1人。さらににぎやかになりました。私自身そうであったように、子どもたちも医師という職業が選択肢の一つになるでしょうし、医師になってほしいという思いはありますが、本人の意志を尊重していけたらな、と。また、妻には感謝の気持ちを超えて、ずば抜けた家事遂行能力に尊敬の念を抱いています。干してある洗濯物を少しずらしただけでも気づかれますから(笑)。
最後に、クリニックの今後についてお聞かせください。

【原院長】今は外でコーヒーを飲むにしても、昔ながらの喫茶店から近代的なものへと、どんどん空間価値が高まっていると思うんです。高齢者が集う施設もそれと同じように、例えばホテルのような造りや、割烹店のような雰囲気など、空間価値を高めていっても良いのではと思っていて。それくらい医療や介護に対する概念を変えていきたいと考えています。
【原理事長】今年4月に彼が院長を引き継ぎ、カルテの電子化など院内のシステムをアナログからデジタル化してくれました。そんな中、私の役目はこれまで積み上げてきた歴史をうまく橋渡しすること。われわれの世代の想いも上手にデジタル世代へ伝えていくことが、これからの医療においても必要であると考えているため、そのような立ち位置で今後のクリニックの構築にも関わっていけたらなと思っています。