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戎 寛 院長の独自取材記事

えびす子どもクリニック

(北九州市小倉北区/九州工大前駅)

最終更新日:2025/09/25

戎寛院長 えびす子どもクリニック main

西鉄バス一枝停留所から徒歩約1分。「えびす子どもクリニック」は店舗や住宅が立ち並んだ一角にある小児科である。院長の戎寛(えびす・ゆたか)先生は、1991年の開業以来、「子どもの病気だけでなく、子育ての悩みや発達に関する相談にも幅広く対応する小児科医」として地域に根差す。白衣を着用せずキャラクターがプリントされたユニフォームで診察する、広い待合室に絵本やおもちゃを置くなど、子どもが安心して過ごせる環境づくりにこだわってきたそうだ。同院は風邪などの一般診療に加え、乳幼児健診とアレルギー疾患のトータルケアに力を入れている。「正しい知識を持って、子育てを楽しいものにしてほしい」と語る戎院長。乳幼児健診や子どものアレルギー疾患、患者との向き合い方などについて話を聞いた。

(取材日2025年6月5日)

病気と成長をトータルで支える、親子の強い味方に

開業当初、どのようなクリニック像を描いていましたか?

戎寛院長 えびす子どもクリニック1

1991年の開業当初は、病気だけでなく子育ての悩みまで、お子さんに関するすべてを診る小児科医、という理想を抱いていました。この理想を実現させるため、親子が安心して過ごせる環境にこだわってきたんです。待合室にはプレイルームを設け、絵本やおもちゃをたくさん用意。親子で待ち時間を楽しく過ごせるよう工夫しています。また、親御さんが何でも相談できると感じてもらえるように、スタッフ全員で心くばりをしています。診察スタイルでは、白衣ではなくキャラクタープリントのユニフォームを着て、おもちゃを使いながらコミュニケーションを取っています。泣いて来院した子が笑顔で帰る姿を見ると、小児科医として大きなやりがいを感じます。

診療において、子育て支援の一環として、乳幼児健診を重視しておられるのですね。

乳幼児健診は、病気だけでなくお子さん全体、そして親御さんの子育ての悩みまで診る上で、最も重視しています。北九州市は早い段階で個別乳幼児健診システムを始めた都市であり、私も中心メンバーとしてその構築に尽力しました。当時のビジョンは、健診の「質の均一化」と「レベルアップ」です。そのため、誰が担当しても同じレベルの健診ができるよう詳細なマニュアルを作成し、医師やスタッフ向けの勉強会を定期的に開催しました。

健診では、どのようなことを大切にされているのでしょうか?

戎寛院長 えびす子どもクリニック2

親御さんが、安心して楽しく子育てができる手助けすることを最も大切にしています。世にあふれる「正解とされる情報」で迷ってしまっている親御さんが、当院での乳幼児健診を通して改めて「わが子の今」に向き合えるようにサポートしています。「健診に来てよかった。子育てを楽しめるようになった。」と、思ってもらえるとうれしいですし、気軽な相談の場になるような健診をめざしています。また当院では、現時点でかかりつけ医として登録している患者さんを対象に、必要に応じて臨床心理士の相談につなげるという形を取っています。行政の相談窓口が数ヵ月待ちになる現状に対し、かかりつけ医として親御さんの不安を軽減し、子育てに光を見出せるような支援をめざしています。

親子の笑顔を守るため、長期的な視点でサポート

クリニックでは、お子さんのすべてのアレルギー疾患に対応されているとお聞きしました。

戎寛院長 えびす子どもクリニック3

当院ではすべてのアレルギー疾患にトータルで対応しています。親御さんはお子さまを連れながら複数の医療機関を行き来するのは大変ですよね。お子さんにいろいろなアレルギー疾患があっても1度で相談、治療できるのが大きなメリットだと思っています。親御さんもご存じでないことも多いのですが、"肌"がアレルギーの始まりといわれてます。だから湿疹のある赤ちゃんの皮膚をできるだけ早く「もちもち・つるつる・かゆくない皮膚」にすることが大事だと考えています。ただ、見た目が治っても要注意。表面が綺麗になったとしても、その後の継続治療が大事なんです。お子さんがアレルギーに悩まされずに成長できるよう、長期的な視点でサポートしていきます。

薬の使い方にもこだわりがあるそうですね。

飲み薬だと、薬の形状、味や匂いの得意不得意など、お子さんによって飲める飲めないがありますよね。なので問診では、粉、シロップ、錠剤のどれが飲みやすいか聞いています。もちろん服薬の仕方は看護師や先生が丁寧に説明しますが、なによりも子どもが飲みやすいようにしてあげるのが大事だと思っています。漢方薬など飲みにくい薬は、飲ませ方の工夫をまとめたプリントもお渡ししていますよ。塗り方が大事な塗り薬については、その場でレクチャーを行っています。また私が薬を扱ううえでの一番のポリシーは、不要な薬は使わないことです。例えば、抗菌薬は細菌を殺すための大事な薬ですが、熱・咳・鼻の症状はほとんどウイルスなので細菌を殺すための抗菌薬は効きません。その子にとって使う必要のある薬かどうかは、しっかりと診察時に確認をしていますからご安心いただければと思います。また、どうしても飲めないときは気楽に相談してくださいね。

クリニックの隣に病児保育室「わんぱくキッズ」も開設されていますね。

戎寛院長 えびす子どもクリニック4

福岡県では、2023年から病児保育が無償化になっています。共働き世帯が増えてきている現代において、病児保育が無償化されたことは、子育て家庭に大きな恩恵をもたらしました。保護者が安心して仕事に行けるようになり、子育て負担の軽減につながっていると実感しています。一般的にお預かり対象となるお子さんは、風邪症候群・嘔吐下痢症・インフルエンザ・溶連菌などの感染症にかかった場合、喘息発作や骨折などの病気で保育園に預けれられない場合、そして保護者が傷病、事故、出産などで家庭保育ができない場合です。当院で子育てに日々奮闘している親御さんたちを助けたいという想いから、病児保育室「わんぱくキッズ」を2011年に開設しました。「帰りは笑顔でお迎え!」という気持ちで、保育士・看護師・医師が連携しています。

親の“不安”が“希望”に変わる診療をめざして

診療前の"問診"を非常に重要視されていると伺いました。

戎寛院長 えびす子どもクリニック5

診断は問診内容と診察で判断するため、充実した問診は非常に重要です。当院では、親御さんの心配事を正確に把握するため、病状や発熱の有無などを記入する経過表、事前に入力できるウェブ問診を導入してます。ウェブ問診はスマホでお子さんの症状をチェックするだけで簡単に問診ができあがります。そのうえで親御さんがご自身の考えを詳しく記入できる欄を用意し、より細かい情報を知れるよう工夫をしています。また口頭での説明は忘れやすいので、手作りの資料を活用しています。病気のホームケアや薬の使い方などがコンパクトにまとめられており、説明時には重要な箇所をマーカーで示し、後から見返した際に思い出せるよう工夫しています。これらを通じ親御さんが「来て良かった」と安心して子育てに取り組めるよう、サポートしています。

今後、どのような小児医療をめざしていきたいですか?

子育ては、大変なことや心配なことの連続です。夜泣きで夜眠れない、癇癪がひどい、言うことを聞かないなどの大変さは、対応のやり方を知れば乗り越えられます。泣き虫で困る、いたずらばかりする、甘えてばかりで手がかかるなどの心配は、感情表現ができる子、探究心の旺盛な子、感情がこまやかな子で、その子の個性かもしれません。親御さんが、子どもの素晴らしい素質を見つけ出す手助けができればと思います。また、言葉が出ない、落ち着きがなく動き回る、友達とうまく遊べないなどがあると、発達が心配ですね。子どもはその子のペースで発達していきます。関わり方を一緒に考え見守っていきます。必要があれば専門機関に紹介しますが、今後は心理士さんの協力を得て、当院での初期対応を充実させていきたいです。

読者へのメッセージをお願いします。

戎寛院長 えびす子どもクリニック6

子育ては、子どもが病気で大変な時、反抗期で対応に悩む時期があっても、子どもの状態や接し方について、適切な情報を知ることで、後には良い思い出となるでしょう。子育ての大変さだけでなく、「楽しみ」をより多く実感していただけるようなサポートをしていきます。どんな些細なことでも気軽にクリニックに相談に来てください。「子育てが楽しめない」「家族の協力が得にくい」と感じるときこそ、専門家に相談することで、解決策や希望が見えることがあると思っています。必要に応じて適切な専門機関への紹介も行えるため、抱え込まずにどんな内容でも遠慮なく話してほしいです。どうぞ安心して来院してくださいね。

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