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山本 恵理子 院長の独自取材記事

くすの香女性クリニック

(新居浜市/新居浜駅)

最終更新日:2025/07/15

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック main

2025年4月、新居浜市に開業した「くすの香女性クリニック」。市の樹でもあるクスノキにちなんだ名には、地域に根差しながら女性の人生にそっと寄り添いたいという願いが込められている。院長の山本恵理子先生は、東京女子医科大学を卒業後、関東や地元・新居浜の基幹病院などで産婦人科医療に携わってきた経験をもとに、女性が安心して相談できる「かかりつけ医」の必要性を痛感。父の代から続く旧・山本小児科クリニックを受け継ぎ、温かく落ち着いた空間へとリノベーションして、婦人科・小児科クリニックをスタートさせた。月経や更年期障害、尿漏れや月経異常など、どんな小さな悩みにも耳を傾け、「来て良かった」と思える時間を提供することをめざしている。

(取材日2025年5月28日)

安心して立ち寄れる女性の居場所に

クリニックづくりでこだわったポイントはどこでしょうか?

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック1

来るだけでほっとできる場所にしたかったので、旧・小児科の建物を大幅に改装し、白やグレー、ウッド調をベースに、落ち着きがありながら、かわいらしさも感じさせる空間に仕上げたところです。壁紙や床材、家具まで、専門の方と相談しながら一つ一つ私自身が選びました。内診室は落ち着いたトーン、相談室はやわらかなトーンと、部屋ごとに色の持つ心理効果も意識しています。観葉植物や曲線を意識した家具を置いたのも、「婦人科ってちょっと緊張する」と思われがちなイメージを少しでも和らげたかったから。照明や動線も、患者さんが安心して過ごせるように工夫しました。クリニック名に“香”の字を入れたのは、ふんわりとした優しさ、心地良い雰囲気を感じてほしかったからです。女性にとって、受診は勇気がいることも多いです。だからこそ、物理的な空間の“優しさ”で背中を押せるように、日々細部を見直しています。

どんな女性に来てほしいと思っていますか?

どんな女性にも来てほしいと思っていますが、特に「こんなことで婦人科に行ってもいいのかな?」と迷っている方にこそ来てほしいですね。例えば、毎月の生理がつらい、夜用ナプキンが手放せない、痛み止めが欠かせない……。そういう日常の“当たり前の不調”を一度見直してほしいと思っています。受診して「異常なし」でも、それで安心できれば意味がありますし、「この程度なら病院に行かなくていい」と思っている方にこそ、気軽に立ち寄ってもらいたいです。婦人科は“診断される場”というより“相談できる場”として使ってもらえたらと思います。その人の人生にとってプラスになる選択肢が見つかるかもしれません。

地域の中でどのような役割を果たしていきたいですか?

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック2

新居浜や東予エリアでは、婦人科の女性医師が少ないのが現状です。年齢や世代を問わず、困っている女性がもっと気軽に受診できる「入り口」になるのが、私の役割だと思っています。思春期の学生さんから、更年期やその先の世代まで、どんな方にも安心して通っていただけるよう、保健師さんや学校とも連携しながら、地域に根差したサポートをしていきたいと考えています。医療の力で地域を明るくするというよりも、“誰もが安心して話せる場所を1つつくる”ことが、私にできることではないかと思っています。その積み重ねが、長く暮らせる町づくりにもつながるはずです。

多様な女性の人生に、医療で伴走する

先生が医師になろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック3

よく「志があって医師になったんでしょう」と言われますが、実は完全に成り行きなんです。父が小児科の医師で、祖父が耳鼻咽喉科の医師でした。高校までは一度も「医師になれ」と言われたことがなかったんですが、自然とその道に進んでいました。ただ、進んだからにはしっかりと一人前になりたいと思って、いろいろな分野を幅広く学びました。医師という職業は、人の人生に深く関わるものです。だからこそ、知識だけでなく“その人を見る力”も大切にしなきゃと思っています。今でもそれは変わらず、自分の医療の軸になっています。

婦人科を専門分野に選んだのはどうしてですか?

最初は産科に興味を持ったんです。出産というのは、病気ではないけれど命と向き合う場面であって、とても神秘的だと思いました。新しい命が生まれる瞬間に立ち会うことは、医師としての責任の重さと同時に、大きな喜びを感じられる経験でした。そうした周産期医療の現場で経験を積んでいくうちに、がんの診療や更年期医療、子宮筋腫や子宮内膜症といった良性疾患など、女性のライフステージに応じた医療全般にも関心が広がっていきました。今では「幅広く診療ができること」が自分の強みだと思っています。診療の幅が広がれば広がるほど、患者さんの人生により深く寄り添えると感じています。幅広く対応できることで、思春期から老年期まで、人生のあらゆる局面で並走できる。それが婦人科医の魅力であり、責任だと思っています。患者さんがどんな段階にあっても、「まずはここに相談してみよう」と思える存在でありたいと、常に意識しています。

これまでの診療で印象に残っている出来事は?

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック4

一人ひとりが、すべて印象に残っています。婦人科の診療は、その方の年齢やライフステージによってアプローチが変わります。例えば、同じ月経でも、将来妊娠を望むかどうかで治療方針がまったく違ってくるんです。そういう意味で、症状だけを見るのではなく、患者さんの“今”と“これから”を一緒に考えるようにしています。診療の中でふとした会話から見えてくる背景が、その人にとって大きな意味を持つこともあります。そういう瞬間に立ち会えるのが、医師としてのやりがいですね。

自分の体を知る、最初のきっかけに

受診の目安になるサインはありますか?

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック5

例えば、月経に関することだと、痛み止めを3日以上飲んでいる、月経の度に学校や仕事を休んでしまう、夜用ナプキンを日中も使っている……。こういった状況は、受診のサインだと思ってください。症状に慣れてしまって、「こんなもんかな」で済ませてしまう方も多いんですが、実は病気の兆候かもしれません。一度しっかり検査しておくことで、その後の人生が変わることもあります。今はジェネリック薬も増えて、治療の選択肢も増えています。費用面でも、カフェのコーヒー1杯分くらいのお金を出すことで、生活の質が大きく変わることだってあります。

診療ではどんなことを大事にしていますか?

一番大切にしているのは、「患者さんの気持ちを置いていかない」ことです。婦人科の診療は身体的な症状だけでなく、心や生活とも密接に関わるものなので、まずはその人の思いにしっかり耳を傾けるようにしています。その上で、いくつかの選択肢を提示し、一緒に整理しながら決めていく。婦人科の分野には「これが正解」と言いきれないケースも多くあります。だからこそ、最初に決めた治療を途中で変えてもいいし、迷うことも当然だと思っています。治療の過程で気持ちが変わることもあるので、その変化も大切にしながら進めていける診療をめざしています。何を優先したいか。痛みの軽減か、将来の妊娠か、それとも日常生活の快適さか。こういった「その人にとっての大事な軸」を、私は一緒に探していきたいと思っています。患者さんが「これなら前に進めそう」と思える選択にたどり着けるよう、柔軟で対話的な診療を心がけています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山本恵理子院長 くすの香女性クリニック6

婦人科は、特別な人だけが行く場所ではありません。日常の中でふと感じる違和感や不安、「ちょっときついな」と思う気持ちにこそ、寄り添えるのが婦人科だと思っています。何かを我慢し続けるのではなく、「これって普通なのかな?」と思ったときにこそ、相談してほしいんです。検査で異常がなければ、それでいい。安心して生活できること自体が、大切な価値だと私は思います。女性の体は、年齢とともにゆっくりと、でも確実に変化していきます。その変化に「正解」はありませんが、知識を持って備えておくこと、自分の変化に気づけることはとても大切です。必要なサポートもその都度変わってくるからこそ、一度で終わる関係ではなく、何度でも戻ってきてもらえる場所でありたいと思っています。「そういえば前にもここに来たな」と、思い出してもらえるような、そんな“人生の中の一つの場所”になれたらうれしいです。

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