重見 晋 院長の独自取材記事
重見循環器科内科
(松山市/山西駅)
最終更新日:2021/10/12

松山観光港や高浜港、松山空港に近いエリアにあり、開業40周年を迎える「医療法人 重見循環器科内科」。開業当時から通う高齢患者を中心に、若い世代から高齢世代まで幅広い患者が訪れるクリニックだ。理事長である父の後を継ぎ、2019年8月から院長に就任した重見晋先生。松山医療圏で二次救急の現場で研鑽を積み、循環器内科専門の医師として、幅広い心臓疾患の治療に携わってきた。また、勤務医時代に心筋梗塞や脳梗塞などは、生活習慣病の治療によって未然に病気を防ぐ努力が大切だと実感したことから、高血圧症や高コレステロール血症の治療にも積極的に取り組んでいるのだそう。穏やかな人柄の中にも、地域医療への熱い思いを持つ重見院長に診療内容や今度の展望について聞いた。
(取材日2020年2月13日)
勤務医時代の経験を生かし、循環器内科の診療に対応
お父さまの後を継いで院長に就任されたそうですが、医師を志したのもお父さまの影響でしょうか?

そうですね。理事長である私の父は松山日赤病院で長く勤め、1980年に縁あってこの地で当院を開業させていただきました。私が幼い頃、当院の隣に自宅があり、父が患者さんを診察する姿をよく見ていたので、自然な流れで医師という職業に憧れ、高校生くらいでこの道に進むと決断したのです。それから、金沢医科大学へ進学し、金沢医科大学病院、愛媛大学医学部第二内科、愛媛県立今治病院循環器内科、済生会松山病院循環器内科で経験を積み、2019年8月に父の後を継ぐ形で院長に就任しました。
循環器を専門とした理由を教えてください。
私の年にちょうどスーパーローテート方式の臨床研修制度が始まり、いろいろな科を回りました。それぞれの科に魅力がありましたが、循環器科で研修を受けた際に、心臓の疾患に関してはダイナミックな変化を感じられるところに魅力を感じ、専門とすることに決めました。例えば、病院に来られた時は命の危険にさらされていた方が、ご自身の足で元気に歩いて帰られることもあります。さらに、循環器は内科でありながら治療ができますし、ちょうどカテーテル治療が進化している時期だったこともあり、その流れに乗って循環器を選んだのも理由の1つですね。その後、勤務医として10年以上、松山医療圏で二次救急の最前線に立っていました。心臓のCT・MRI検査といった循環器の画像診断にも長く携わり、虚血性心疾患の治療として経皮的冠動脈インターベンションを行うなど、画像診断から治療にいたる一連の流れで研鑽を積みました。
総合病院での勤務医時代と、開業医の院長との違いは何でしょうか?

勤務医時代は急性期の患者さんを受け入れて、治療を行いご自宅や施設へお帰りになられることや、転院までサポートしていました。しかし、開業医になり、その患者さんたちを受ける立場になりました。その方がいかに再入院しないようにするか。または、どうすればご自宅で長くきちんと生活できるのか考えながら診療するように心がけています。勤務医として救急を経験して、病診連携の重要度を実感したため、さらに強めていきたいですね。しっかり連携を取って安定している患者さんは診療所、高度な医療が必要な患者さんは病院へつなげていきます。
患者個々に合わせたオーダーメイドの治療を提供
患者さんの層や、最近の傾向について教えてください。

長く通っている高齢の方がメイン患者層です。ただ、健康診断などで高血圧症や高コレステロールなどを指摘されて来られる患者さんも多く、働き世代の若い方から100歳代の方まで幅広くいらっしゃいます。心臓疾患でいうと心筋梗塞にはLDLコレステロールが影響します。アメリカでは生活習慣の改善や運動の推進などで、全体的にLDLコレステロール値が下がっていますが、日本では食生活の欧米化などで若年層のLDLコレステロール値が上昇傾向に。若い方でも生活習慣病を複数抱え、メタボリックシンドロームからその先に進んでいる方も多いですね。そういう方を次のステージへ進まないように、戻していくためのサポートが役割。勤務医時代に救急対応をして、心筋梗塞や脳梗塞など生活習慣病の治療によって未然に病気を防げたであろう患者さんが多かったので、高血圧症や高コレステロール血症の治療を行うことで大病の予防に努めています。
診療の際にこだわっていること、大切にしていることは何でしょうか?
当院では現在、脂質異常症・高血圧症・糖尿病・禁煙・狭心症・不整脈・心筋梗塞・睡眠時無呼吸症候群など幅広い症状を診療しています。いつも大切にしているのは、医学的に正しいガイドラインに従って治療するのはもちろんのこと、患者さんそれぞれの背景に応じたオーダーメイドの治療をすること。そして、何よりも患者さんの訴えをしっかりと聞き、症状をヒアリングすることを大事にしています。異常がなくても、そのお話を聞く中で心電図やエコーで異常が出ていなくても、隠れた病気を見つけられる場合も多いです。あとは健康診断にひっかかって来られた初診の患者さんなどは、健康診断のデータは限られているため、高血圧でも二次性高血圧などで隠れた病気はないか意識して診察しています。そして、生活習慣の改善が必要な場合も、急に180度変えるのは難しいため、どこから変えられるか話し合いながら決めています。
患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

どの患者さんとのエピソードも忘れられませんが、勤務医時代に急性期医療に携わる中でうれしかったのは、患者さんの変化ですね。先ほどのお話とも少し重なりますが、病院に運ばれてきた時はとてもつらそうだった方に、退院後に外来でお会いすることがあります。その時の患者さんの変化はとても印象的ですね。院長に就任してまだ1年たちませんが、これからは地域に根差して、さまざまな患者さんと心に残るエピソードをつくっていけたらと思っています。
オンライン診療や病院連携に力を入れていく
休日の過ごし方や趣味について教えてください。

休日は3人の子どもたちと公園にお出かけするなど、家族と一緒に過ごすことが多いですね。未就学児と小学生なので、日々の成長を見るのが楽しいですよ。もともと写真が趣味なので、家族で出かけた時に写真を撮って、自分でアルバムを作っています。ほかにも、今年は暖冬のためあまり行けませんが、学生時代は金沢で過ごして競技スキーをやっていたので、冬はスキーに出かけることも多いですね。健康管理の面ではジョギングなどで、日々の運動不足の解消をしています。現代社会はつい運動不足になりがちですが、ちょっとした運動を取り入れることで、生活習慣病も予防できますよ。
今後の展望について聞かせていただけますか?
患者さんが通院しやすい環境を整えていきたいと思っています。その一環として、お仕事が忙しい方、島しょ部にお住まいの方などで毎月の来院が困難な方に対してオンライン診療の普及にも力を入れています。これは何度か通院していただいた後に、症状が安定している方に対して、スマホやタブレット端末などを利用して、自宅にいながら診察を受けていただくシステムです。うまく活用できたらとても便利なので、積極的に取り入れていきたいと思っています。ほかにも、心不全などの患者さんに対して、入院をなるべくせず、自宅で療養できるような状態に患者さんを持っていきたいですね。これまで以上に病診連携を強めて患者さん一人ひとりにとってより良い医療を提供していきたいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

病気は早期発見・早期治療がとても大切なので、若い方、自覚症状がない方でも、定期的に健康診断をきちんと受けていただきたいですね。会社員の方は毎年、健康診断を受ける方が多いと思いますが、いつも数字が悪いと慣れてしまいますよね。しかし、そのまま放置してはなりません。早めに医療機関を受診してください。お勤めじゃない方も、市の健康診断などを積極的に受診してくださいね。ほかにも、心不全を発症してしまった人は、がんでいうとステージ3と同じぐらいの予後とも言われています。 例えば、階段を上ったりするなど労作時に胸の重苦しさや、左肩や左顎の辺りに違和感を感じる場合は一度検査を受けましょう。ほかにも、同年代の方と歩いていて、ついていけない場合は心臓や呼吸器疾患をお持ちである可能性があるためご相談ください。若い方でも喫煙により急性心筋梗塞を引き起こす場合も。一人で禁煙をするのが難しい場合はぜひお越しください。