村上 早織 院長の独自取材記事
村上皮フ科クリニック
(松山市/本町六丁目駅)
最終更新日:2021/10/12

まるで美術館のような洗練されたエントランスが目を引く「村上皮フ科クリニック」。白を基調とした院内は優雅で清潔感のある雰囲気を漂わせている。同院は開業から約28年間、女性の肌の悩みを中心とするあらゆる皮膚疾患やトラブルに向き合い続けてきた。「肌が変わってくると、患者さんの性格まで明るくなるんです」と話すのは、院長の村上早織先生。自らの肌で新たな治療法を試しながら、より良い治療やスキンケア法を追求してきたといい、今も先進の医療情報の習得に余念がない。内面から輝くような美しさにあふれる村上先生に、診療へかける想いを聞いた。
(取材日2019年5月23日)
女性ならではの悩みに応えるため皮膚科の道へ
なぜ皮膚科の医師になられたのですか?

私は公務員と主婦の両親のもとで育ち、親戚に医師がいたわけでもなかったので、初めは医療の道へ進もうとはまったく考えていなかったんです。当時は医学部へ行く女性がとても少なく、私も料理や洋服を作るのが好きだったので家政科に行きたいと思っていました。高校の先生に勧められたのがきっかけで、最終的には愛媛大学医学部に進学しましたが、現在とは違って女性が活躍できる科は限られていましたね。そんな中、皮膚科は化粧品や赤ちゃんの肌のケアなどに関わるので、女性としての特性が生かせるのではと考えて興味を持ちました。疾患が視認でき、治療後の変化が目に見える明瞭さも、皮膚科の魅力だと思っています。
実際に診療を始めてからはいかがでしたか?
女性の皮膚の些細な異変に気がつけるのは、女性医師ならではの強みだと感じています。例えば皮膚炎を発症していなくても、化粧品で刺激を感じる、メイク崩れが起きやすいといったことを不快に感じることがありますよね。毎日患者さんと同じようにスキンケアをしている女性医師であれば、その気持ちがよくわかりますし、何とかしてあげたいと強く思います。そのように困っている方の悩みにきめ細かに応えるには、保険診療外の治療にも対応すべきと考え、1991年に当クリニックを開業しました。
美容皮膚科を含め、幅広く診療されていますね。

そうですね。肌を健康にもっていくためのツールとして美容皮膚科があると考えています。毎日使っている化粧品は肌の健康状態に確実に影響を与えますから、疾患に関係のあることのみならず、その患者さんが普段行っているスキンケアの方法まで含めて診るのは、皮膚科の医師として当然のことです。また根本から改善を促してあげると、エイジングケアの面でも良い影響が期待できます。皮膚科と美容皮膚科の両面から患者さんの肌の健康をサポートしていくことが大切だと思っています。私は美容皮膚科という分野がなかった頃から患者さんの症状改善のためにスキンケア指導を行ってきましたし、より健康で美しい皮膚になるために必要ないろいろな新しい治療にも取り組んできました。
患者の心情に寄り添い治療を進める
診療の際に心がけていることを教えてください。

肌を根本から治したいという想いで診療しているので、必要があればお一人にしっかりと時間をかけて説明しています。そして「これは肌に良くないのでやめてください」だけでなく、「何をすれば良いか」まで具体的にアドバイスするのが私のポリシーです。例えばスキンケアの成分が合わずに肌荒れを起こしている場合、代わりに何を選べば良いかまでこちらから提案しなければ、また同じ間違いをしてしまうかもしれません。正しいものを選ぶ責任を患者さんに押しつけてはいけないと思うのです。また保険診療外であっても、治療法があれば情報提供をしています。今は難しくても将来受けたいと思われるかもしれませんし、治療法があること自体がその方の希望になることもあるからです。実際、以前話したことを覚えていてくださって、数年後に受診されるケースも多いです。ちゃんと伝わっているんだなとうれしく思いますね。
日々の診療を通じて感じておられることは?
肌が変わると元気になる患者さんが多いですね。特に顔など人から見える部分がきれいになると見違えます。アトピー性皮膚炎の場合、まず顔の症状が改善に向かうと、ストレスが減って体の症状まで軽くなることもあるんですよ。最初は暗い表情で口数の少なかった方が、治療が進むにつれてよく話してくださるようになり、ヘアスタイルやメイクの仕方まで変わっていく姿を見るのは、やはり皮膚科の医師としてうれしいものです。年齢は関係なく、70代や80代の方もしみ等のお肌のケアをすると生き生きした表情になり、「こんなに明るい方だったんだ」と驚くこともありますね。
肌の治療はメンタル面にも影響を与えるのですね。

治療の過程においても心のケアは重要です。長年診療をしてきて気がついたのは、患者さんの中で病気は一つの要素でしかないということです。病気のことを考えてつらい気持ちになることもあれば、友達と楽しく話している時間もあるでしょう。薬を1日2回塗れと言われても、面倒な時も当然あります。長くつき合わなければならない慢性的な病気もありますが、その人に病気を治すことだけ考えて生活を制限しろというのは酷です。私自身も以前、ひどい湿疹に悩んだことがありましたが、夜は疲れて薬を塗る手間が嫌になり、かきむしりながら寝てやろうかと思ったこともありました(笑)。わかっていてもできないこともありますから、病気を意識し過ぎないことが大切です。
どのようにアドバイスされているのですか?
ときには病気を忘れて遊びたいこともあるでしょうから、「必ずこれをしてください」とは言いません。実際、病気のメカニズムは100%解明されているわけではなく、何かの拍子にふと症状が改善したり、言われたとおりにしていても治らなかったりすることもあるものです。固く考え過ぎず、気長に治療を続けられるようにサポートしています。一方、ニキビなど完治がめざせる疾患については、患者さんに声をかけて治療へのモチベーションを上げるように心がけています。
先進の治療を学び地域の患者に提供したい
最近、皮膚疾患で気になる症状はありますか?

生活の変化によって、近年新しく出てきた症状があります。例えば、お子さんの手に「主婦湿疹」と呼ばれる手湿疹ができているのをよく見かけるようになりました。これはハンドソープや除菌スプレーの使い過ぎが原因と考えられます。多くの菌は皮膚の表面に付着しているだけなので、水道水でしっかり洗えば毎回ハンドソープを使う必要はないんですよ。また、発熱機能のあるインナーを着せて寝かせることで、冬なのにあせもができてしまうお子さんもいますね。生活習慣や普段使っているものを丁寧にヒアリングしてはじめて原因がわかる場合もあるので、問診は大切です。化粧品によるトラブルもそうですが、良かれと思って肌に悪いことをしてしまっている人は多いので、意識を変えていく必要があると思っています。
リフレッシュ法は何ですか?
フラメンコを13年続けています。体を動かすと血行が良くなって、感情も湧いてくるのでストレスや疲れが解消されますよ。汗をたくさん流すので肌にも良いんです。始めた当初は思うように動けなかったのですが、筋肉をつけると難しいステップもこなせるようになってきました。できることが増えていくのは人間の喜びの一つだと思います。私は始めたことは簡単にはやめない性分で、淡々と同じことを繰り返すのが得意なんです。そうやって追求していくと、こつがわかったり魅力が見えたりしてどんどん面白くなっていきます。夜まで診療して疲れた日は、2階のスタジオで踊って帰って気持ちをすっきりさせています。
今後の展望をお聞かせください。

私の使命は、松山市に住む皆さんが先進の医療を受けられるようにすることです。地方にいても医療の進歩の恩恵にあずかれるよう、常に勉強して新しい情報を収集し続けたいと思っています。また、正しいスキンケア方法も広めていきたいですね。私が考えるスキンケアの基本は洗浄、保湿、日焼け止めやファンデーションでの保護の3つ。加齢でターンオーバーが乱れている人には、ビタミンAの入ったものもお勧めしたいです。過剰なスキンケアはかえって肌に悪影響を及ぼすので、数を増やさず、健康を維持するもの、美容を強化するものを見極めてほしいですね。自己判断では間違うこともありますから、お困りの方にはアドバイスしますのでぜひご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはレーザー脱毛/5000円~、しみのケア/3000円~
※料金はすべて税抜き表示となります。