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小林 巧 院長の独自取材記事

小林整形外科医院

(観音寺市/観音寺駅)

最終更新日:2025/03/14

小林巧院長 小林整形外科医院 main

観音寺市柞田(くにた)町に位置する「小林整形外科医院」は、1980年の開院以来、地元住民のケガの治療や運動機能の回復などに力を尽くしてきた。明るい笑顔を絶やさない小林巧院長は、「地域医療の世界では『ベストな治療』が必ずしも『ベストな医療』ではない」と語る。ストイックに完治をめざす大学病院とは異なり、地域医療では患者の生活や生きがいに寄り添うことが必要とされ、患者の年齢や生活環境、考え方によって「ベストな医療」は変わってくるのだという。「患者さんが、ご自分に合った選択肢を選べるように手助けしたい」と真摯に語る小林院長に、患者との向き合い方、日々の診療に対する考え方、そして地域医療への想いを聞いた。

(取材日2025年1月23日)

「ベストな治療」が「ベストな医療」とは限らない

医師をめざしたきっかけを教えてください。

小林巧院長 小林整形外科医院1

実は、これといったきっかけというのはないんです。父が整形外科の医師でしたし、親戚も外科、内科、歯科などの医療関係者が多く、小さい頃から「いつかは医師になって、ここを継ぐんだな」と思っていました。手先を動かすことが多い整形外科は性格的にも合っていたので、他の科と悩むことはなく、2代目として当院を継承するプレッシャーもあまり感じませんでした。10年近く在籍した大学病院では外傷の治療を多く経験し、その後に2年半ほど勤務した島根県の病院では脊椎疾患や人工関節について学びましたが、自分では何でも診る「何でも屋さん」だと思っています。

医師として経験を積む中で、印象に残っているエピソードはありますか?

医師になりたての頃に勤めていた病院が訪問診療を行っていた関係で、私も地域医療に携わった時期がありました。その際に、病院の院長から「地域医療では『ベストな治療』が『ベストな医療』ではないよ」と言われたことが忘れられません。患者さんの日常生活を支える地域医療においては、医師が最適と考える治療が、必ずしも患者さんの求める治療ではない。医学部や大学病院で習う「完治をめざす医療」「教科書的な医療」と、地域医療での「患者さんに寄り添う医療」には根本的な違いがあると教えられ、大きな衝撃を受けました。例えば90歳近い糖尿病のおばあちゃんに、大好きな飴を食べさせるかどうか。このような場合、大学病院では厳格に禁止してしまうでしょうが、年齢を考慮すれば、生活の楽しみとして認めてあげても良いのではないか、ということです。この教えを授けてくれた整形外科の先輩医師には、今でも感謝しかありません。

現在の診療方針について教えてください。

小林巧院長 小林整形外科医院2

患者さんの話をよく聞き、丁寧に説明し、適切な治療を提供する。当たり前のことを、毎日続けていくだけです。予定してケガをする人なんていませんから、基本的には来院順に診察しています。勤務医時代から困っている患者さんを放っておけなくて、予約枠がいっぱいでも、枠の横に名前を書いて診療していましたね。あの頃は看護師さんと一緒に、患者さんの入れ替え時間を少しずつ削って時間を捻出したり、先に検査に回したりしながら多くの人を診ていたので、「高速外来」なんて呼ばれていました(笑)。大きな病院の先生が手術に専念できるように、軽傷の方はまずここで診て、必要な場合にのみ紹介するという流れを作りたいと思っています。

充実したリハビリ治療や、入院設備に強み

こちらではどのような患者さんが多いのでしょうか?

小林巧院長 小林整形外科医院3

年齢層も主訴も日によってさまざまで、「うちは小児科だったかな?」と思うくらい、お子さんが多い時もありますよ。症状として多いのは腰や膝の痛み、リウマチ、手足のしびれや動かしにくさ、あとは打ち身や捻挫、骨折、切り傷などでしょうか。お子さんの場合は転んだりぶつかったりしやすいので、スポーツ傷害が多いです。当院で診療していて感じるのは、手術が必要だと伝えても、ギリギリまで一歩踏み出せない人が多いということ。最適なタイミングで手術をすれば、本人も早く楽になる可能性が高くなりますし、医師としても治療がやりやすいのですが……。島根で勤めていた病院は、人工関節の手術を多く手がけていたこともあり、「手術をしてください」と言って診察室に来る方もいらっしゃったので、当初はギャップを感じました。

リハビリテーション室が広く、リハビリに力を入れていることがよくわかります。

そうですね。当院の強みの一つは、充実したリハビリテーション治療だと思っています。父の時代にリハビリテーション室を増築したことで、大きな窓から外の景色が見える、明るく開放感のある空間になりました。スムーズな歩行の促進や、関節可動域の正常化などを目的とした運動療法だけでなく、ホットパック(温熱療法)や低周波治療といった物理療法で、皆さんが一日でも早く日常生活に復帰できるようなトレーニングを行っています。他の病院で手術を受けてから、リハビリのために当院に通われる方も多いです。リハビリ患者さんに対しては、「ここで満足しないでね。自分でも毎日動いてね」と伝えています。整形外科の疾患は、治療に数ヵ月単位の時間がかかることがほとんどですが、理学療法士の指導や助言を受けつつ、自分自身でも体を動かすことで早期回復が期待できますから、リハビリは根気強く続けていただきたいです。

CTやMRIのほか、入院設備もあるのですね。

小林巧院長 小林整形外科医院4

父が新しいものが好きで、CT検査やMRI検査はかなり早くから導入していました。さらに、必要に応じて機種を新しくしています。手術室では、皮膚の下に角質や皮脂がたまるアテローム(粉瘤)の除去、指の付け根に痛みや腫れが生じる「ばね指」の処置といった、簡単な手術を行っていますね。基本は外来診療が中心で、満床になることはまれですが2階には入院施設もあります。そのままお家に帰ると症状が悪化する可能性がある方や、日常生活が困難になると思われる方などには、入院を提案しています。総合病院での手術を予定しているけれど、その病院のベッドに空きがなく、当院で痛みをコントロールしながら待機したいというケースも受けつけていますよ。入院設備のあるクリニックは今後さらに減っていくでしょうが、自院で経過を診られるという安心感は大きいので、これからも今の体制を維持していこうと思っています。

どんなことでも「○○しすぎ」は逆効果

休日はどんなことをされていますか?

小林巧院長 小林整形外科医院5

船や飛行機の模型を作っています。診察室に飾ってあるドクターヘリの模型も、私の作品です。母校の大学病院は救急医療に力を入れていて、私もヘリポートまで患者さんを迎えに行っていたので、思い入れがあるんです。飛行機を見るのも好きで、民間機なら高松空港、軍用機なら善通寺駐屯地まで見に行っています。あとは魚や古生物、歴史、地学、物理、化学などが好きなので、水族館や博物館にも足を運びますね。医学部に進んでいなかったら、大学で魚の研究をしたり、モンゴルで化石を掘ったりしていたかもしれません(笑)。 

いつまでも健康でいるために、できることはありますか?

普段から歩くことです。平坦な道を歩くだけでも良いと思いますよ。距離や時間はその人の体力によりますが、目安は一晩寝たら疲れが取れる程度。次の日に疲れが残るのはやりすぎなんです。何かを続けるのは難しいことですが、日常的に動いている人のほうがケガはしにくいですし、骨や筋肉も減りにくいでしょう。骨粗しょう症の方に向けた、骨密度の増加をめざす治療もありますが、できれば薬に頼らないほうが良いと思っています。適度な運動と食事を通じて、大人は骨密度を減らさないようにすること、お子さんは成長期のうちにしっかりと骨を作っておくことが重要です。

読者へのメッセージをお願いします。

小林巧院長 小林整形外科医院6

患者さんにもよくお話しするのですが、どんなことでも「○○しすぎ」は駄目ですよと伝えたいです。「頑張りすぎ」「気にしすぎ」、逆に「怠けすぎ」「気にしなさすぎ」も良くない。ご自分の体に合った「適度」な食事と、「適度」な運動を見つけてください。重要なのはバランスです。そして、繰り返しになりますが、ベストな治療がベストな医療ではありません。今がどういう状況で、どんな選択肢があるのかを丁寧に説明して、患者さん本人が納得できる方法を選べるようにしたいです。できる治療は全部やりたい、入院をするなら子どもの家から近い病院がいいなど、さまざまなニーズがあると思います。私は一人ひとりのお気持ちや状況に合わせた、ベストな医療を一緒に考えていきたいです。

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