福田 美穂 副院長の独自取材記事
ふじみ眼科・内科クリニック
(坂出市/坂出駅)
最終更新日:2025/10/31
内科や外科のように、診療科目として細分化されていない眼科領域。その中でも、対象を小児に特化して専門性を高めているのが、「ふじみ眼科・内科クリニック」の福田美穂副院長だ。母親と同じ眼科医師の道を選んだ後は、兵庫医科大学病院で10年間、研鑽を積み、現在は小児の弱視・斜視・近視治療の豊富な診療経験を地域に還元している。母親目線を徹底したクリニックの設計にも目を見張るが、患者が最も心を動かされるのは、福田副院長の華やかなスマイルとハートフルな患者対応だろう。全国的にも数が限られる小児眼科の女性医師として、子どもたちとその保護者に明るく温かく寄り添う福田副院長に、小児眼科診療への想いや診療のモットーなどを聞いた。
(取材日2025年6月5日)
数少ない小児眼科の医師、女性医師として
お子さんとお母さんのための工夫がいっぱい、という印象のクリニックです。

正面から向かって右が内科、左が眼科エリアとなりますが、子どもが多い眼科エリアには、独立したキッズスペースを完成させました。洞窟にもぐるような入り口を通って、楽しそうに中へ入るお子さんをよく目にしますし、待合室自体も広くスペースを取っていますので、平日の夕方などは非常ににぎやかな空間となります(笑)。ベビーカーのまま入室できるトイレは、私が特にこだわった場所です。2人、3人の子どもを連れたお母さんでも、安心して快適に利用できる環境をめざしました。おむつ交換台やベビーチェアはもちろんのこと、便座は大人用と子ども用のものをそれぞれ用意し、その隣には男の子のための小便器を設置。あらかじめ高さを低くした手洗い場には、子ども用の踏み台も置いています。遊び心として、手洗い場のボウルには猫の足跡を入れてもらいました(笑)。当院へお越しになった方は、そんなところにも注目してみてくださいね。
診療スペースにも、こだわりがありそうですね。
私の診察室には、子ども用の黄色い机があります。一緒に来られたきょうだい児や診察後のお子さんが、お母さんへの説明中などでも、遊びながら待てるようにするためです。途中で泣き出してしまうような子に関しては、スタッフがそばにつくようにしています。さながら、臨時の託児所です(笑)。私にも娘が2人いますので、同じ母親目線での工夫を随所に取り入れています。採血を頑張ったお子さんには、消しゴムなどが入ったカプセルトイをプレゼントしていますよ。
先生は、お母さまの影響で同じ眼科の医師に?

家業の継承を見据えて、2011年に兵庫医科大学を卒業した後は大学病院の眼科学教室に入局しました。小児眼科という専門性については、当時の教授の影響が大きかったです。この分野の医師は数が少ないのですが、兵庫医科大学では小児の斜視や弱視などを専門とする教授が積極的に後進の育成に取り組んでいまして、この教授の下で10年間、鍛えられました。当院の院長である夫と出会ったのは、大学の附属病院に勤務していた頃ですね。内科のチーム長だった夫は6年も先輩で、新米医師からすると、憧れの存在でした(笑)。結婚後は夫とともに坂出へ戻り、母とも一緒に診療しています。理事長でもある母は、私の人生のロールモデルです。偶然ですが、同じ年齢で娘を産み、娘が小学校1年生の時に開業するところまで同じ人生をたどっています。地域の方々と一緒に、親子代々年を重ねていく。そんな生き方ができるのは、開業医ならではの良さだと思います。
未就学児は弱視治療、小学生以上は近視治療を
成人が相手の一般眼科と小児眼科では、診療も大きく変わってくるのではありませんか?

おっしゃるとおりです。小児眼科はとても奥深い分野で、医師にもスタッフにも、専門的な知識や経験、技術が求められます。検査を行うスタッフが子どもに慣れているかどうかで、視力検査の結果も大きく変わってくるんですね。そういう意味では、スタッフ教育は非常に重要です。当然、診察にも時間がかかりますし、「こんにちは!」「怖くないよ!」と言いながら子ども1人を診る間に、大人なら3人は診られるでしょう(笑)。それでも、小児眼科の診療には子どもの目の未来を守るという、大きな意義があります。目の見えない子どもが、目の見えない大人になるのは子どもの責任ではありません。私は数少ない小児眼科専門の医師として、目の異常を抱えた子どもたちにはできるだけ早く治療介入し、少しでも健康な目を持った大人にしてあげたいと思っています。
小児眼科には、どのような患者さんが来院されますか?
近隣の方々が、「目がかゆい」「老眼が入ってきた」といったご相談で訪れる一般眼科に対して、小児眼科には岡山県、愛媛県、徳島県の方も来院されます。乳幼児は自分から「目が見えない」と言えませんから、主な受診のきっかけは親御さんの違和感です。子どもがウインクをする、目をこする、まぶしがる、うまく視線を合わせられない……。多くの子どもたちが初めて目の検査を受けることになる、3歳児健診の時に弱視が見つかって、精密検査に来られる方もいらっしゃいますね。日本は先進国の中でも弱視の発見が遅れがちなのですが、早期に治療を開始できさえすれば完治が見込める、それが弱視という疾患です。逆に、小学校に上がった後は視覚と脳の発達が進んでしまっていることから、治療を始めても完治に至ることはできません。タイムリミットは、6歳です。異常に気づいた時、不安が走る時は迷わず、早めに相談にいらしていただきたいと思います。
最近は、近視のお子さんも増えていますね。

日本の近視人口の増加、低年齢化は大きな問題です。昔は「近視になっても眼鏡をかければいい」という考え方が主流でしたが、今は「眼鏡になる前に治療を始めましょう」が、近視に対する基本方針です。近視が進行すれば決して元には戻らず、強度近視は失明に至るケースもあります。未就学児の間は弱視治療、小学生になったら近視治療、と覚えておきましょう。特に、近視の抑制を目的とした治療があることは知らない方も多いので、小学校や地域の講演会には積極的に参加をして、親御さんたちに対する啓発活動を続けています。「知らなかった」と後から言われると私たちも悲しいですし、少しずつでも治療の存在を浸透させることで、受診のきっかけになればと考えています。院外だけでなく、院内でも定期的に近視のセミナーを開催していますので、ご興味のある方はお気軽にお越しください。
大人になった子どもたちを、決して後悔させない
診療のモットーを教えていただけますか?

小さな子どもは、自分の不調をうまく伝えることができません。親御さんが治療に積極的でなかったとしても、お子さんの将来を思えば、説得が必要な時もあるでしょう。私のモットーは、お子さんにとって一番良い選択肢を考え、適切な治療へと導いてあげることです。治療の遅れによって、大人になったお子さんが後悔しないようにと、いつもそう考えています。泣いてしまう子も、障害がある子も全員、診てあげたい。むしろ、そういう子どもたちこそ、早く見つけてあげなくてはと思います。苦労することも多いですが、やはり早期発見こそが、小児眼科治療の要だと感じます。私は頼れるスタッフと力を合わせて、一人でも多くのお子さんの未来を守っていきたいです。
これから展開していく、新しい取り組みなどがあればお聞かせください。
まだあまり発信できていないのですが、今後は内科のほうで、美容医療を増やしていきたいと考えています。眼科や内科を受診しつつ、エイジングケアなどのサポートが受けられたら、お母さんたちもうれしいのではないでしょうか。既に、薄毛が気になる方のためのAGA治療を開始していますので、「美容クリニックに行くのは抵抗がある」というお父さんたちも、お気軽にご利用いただければと思います。
最後に、読者へのメッセージをどうぞ。

小児眼科に対応するクリニックはそもそも数が少ない上、17時以降まで診療しているところはほとんどありません。ですが、当院はこれからも「幼稚園や小学校の帰りに通えるクリニック」ですので、安心してご相談くださいね。お子さんの目の不調も、もちろんお父さんお母さんの目の不調も、お体の不調もすべてお任せください。「ふじみ眼科・内科クリニック」は眼科と内科とで高度かつスムーズな連携を心がけ、末永く地域に根差した診療を行っていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはAGA治療/【内服】7700円~、【塗布】8800円〜

