山崎 拓 先生の独自取材記事
整形外科・小児科 安藤医院
(丸亀市/丸亀駅)
最終更新日:2024/11/21

JR予讃線丸亀駅から徒歩4分。1964年に外科医院として開院後、整形外科と小児科に診療科目を変えながら、地域の医療を長く支えてきた「整形外科・小児科 安藤医院」。2024年には3代目となる山崎拓先生が入職し、泌尿器科の診療も受けられるようになった。島根大学医学部泌尿器科、香川労災病院泌尿器科など総合病院で研鑽を積んできた山崎先生。明るい笑顔と穏やかな語り口が印象的な山崎先生に、医院の歴史や診察中に心がけていることなどをじっくり聞いた。
(取材日2024年9月26日)
地域の人へ貢献したい、その一心で泌尿器科の道へ
長い歴史のある医院だとお聞きしました。

1964年に母方の祖父が「安藤外科医院」を開院したのが始まりです。その後、1991年に整形外科の父と小児科の母が継承し、「整形外科・小児科 安藤医院」に名称を変更。2024年7月から私も加わり、泌尿器科を新たに開設しました。医院の名前に「泌尿器科」は入っていないですし、「山崎先生なのに、安藤医院なの?」とも言われますが、この名前で地域に受け入れていただいているので、しばらくはこのままでいこうと思っています。泌尿器科の開設に伴い、診察室や検査スペースを新設し、専門的な治療が可能な体制を整えました。祖父の時代には入院施設がありましたし、整形外科・小児科・外科の3診療科だった時代もあるのでスペース的には問題なく、発熱患者さん専用の個室スペースも確保できています。
泌尿器科の医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?
両親から「医院を継いでくれ」と言われたことはありません。やりたいことがあるなら、別の仕事も考えるようにと言われましたが、自然と同じ医師の道を選びました。泌尿器科を意識するようになったのは、研修医時代に救急で泌尿器の疾患をよく目にしたことがきっかけです。調べてみると、泌尿器科は医師の数が少ないこと、実家の周りにもあまりいないことがわかりました。興味を持った分野の医師が少ないなら、自分がめざそうと決めました。泌尿器科の症状で多い頻尿などは生活習慣病との関わりが深く、泌尿器だけでなく全身を診られるのも魅力です。うどんの消費量が多い香川県は糖尿病や高血圧の患者さんが多く、頻尿で悩む高齢の方も増えていますので、この科を選んでよかったと思っています。
診療時に心がけていることは?

「なんでも気軽に相談できる先生でいること」ですね。患者さんが聞きたいことを遠慮して、後で症状が悪化してしまわないように、「ちょっと気になるな」と思ったらすぐに聞ける雰囲気づくりを心がけています。「これくらいで、受診したら申し訳ない」と我慢される方もいらっしゃいますが、そんな遠慮はいりません。泌尿器科の患者さんは長いお付き合いになることが多く、専門以外のことでも相談に乗るよと伝えていて、希望があれば生活習慣病の管理をすることもあります。
自分が困るなと感じたら、すぐ受診を
こちらの医院や泌尿器科の強みは何ですか。

どんな小さな心配事でも気軽に相談に来られる場所にしたいと思っています。地域には泌尿器科が少ないため極端に待ち時間が長く、受診のハードルは高いのが現状です。私も総合病院時代に患者さんがもう少し話したいんだろうなと思っても、待っている他の患者さんのことを考えると、必要最低限の会話になってしまうことがありました。ここなら患者さんの悩みや不安をじっくり聞いて、一人ひとりの患者さんと向き合いながら診療を進められます。また、異なる診療科の医師が3人いて相談ができることも強みですね。整形外科や小児科に診察に来られた方が「実は泌尿器の症状も気になっていた」と相談されたり、泌尿器科を始める時に導入した先進の超音波診断装置を整形外科で使えることも患者さんのメリットと言えるかもしれません。
泌尿器科は、どのような症状で受診される方が多いのでしょうか。
膀胱炎や尿路結石、がん、性感染症など幅広いですが、目立つのは頻尿です。膀胱の大きさや加齢、膀胱がんなど理由はさまざまですが、最も多い原因は尿が出切らない排尿障害です。人は尿が約150mlたまると尿意を感じるのですが、100ml残っていると、50mlたまっただけでまたトイレに行きたくなります。残尿はゆっくり進行するので「こんなものか」と放置されがちです。ゆっくり進行する疾患ほど、悪化した時に完治が見込めなくなります。1日8回以上トイレに行くなど基準はありますが、それ以下の回数でも「出かける時にトイレが心配だ」など、自分が苦痛だと感じていれば泌尿器科を受診してほしいです。治療の対象となるものなのか、ただトイレが近いだけなのかを知っておくことも大切だと思います。薬で進行の抑制を図ったり、症状の改善を図ったりすることはできますが、元の状態に戻すことはできないので、早めの行動をお勧めします。
こちらの泌尿器科では、どんな検査を受けられますか?

腎臓や膀胱、前立腺の状態を詳しく観察する超音波(エコー)検査や膀胱鏡検査、検尿、血液検査、前立腺がんを調べるPSA検査などがあります。尿中のがん細胞の有無を判定するスクリーニング検査では、膀胱がんや尿路上皮がん、腎盂がん、尿管がんを調べることができますので、気になる方はご相談ください。泌尿器の疾患は自覚症状が出づらく、たまたま受けた検査で見つかるというケースが非常に多いです。定期的に検査を受けていただくことで、患者さんが安心して日常生活を送るためのサポートができればと思っています。そして、泌尿器科の診察というと身構える方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどは尿の検査や下腹部のエコー検査で診断がつきます。恥ずかしいと思うような診察や検査はほぼありませんので、安心してくださいね。
気軽に相談できる「最初の窓口」をめざして
医師人生の中での印象深いエピソードを教えてください。

泌尿器科の医局に入って1、2年目の頃、上司に言われた言葉が今でも心に残っています。「医師には4つのタイプがある。腕がいい人と悪い人、人当たりが良い人と悪い人。その中で一番良くないのは人当たりが良くて腕が悪い医師だ」と言われたんです。人当たりが良い医師のもとには患者さんが集まりますが、治療がうまくいかないと多くの人を苦しませてしまいます。「君は人当たりがいいからこそ、どんなに忙しくても腕を磨きなさい」という上司の言葉を忘れずに、私は知識や技術を上げるための努力を続けています。
休日はどのように過ごされることが多いですか。
3人の子どもたちと一緒に過ごすことが多いですね。公園で思いっきり遊んだり、暑くて外で遊べない夏は、家でカードゲームを楽しんだりしました。勤務医時代は仕事が忙しくて、子育ても家事も妻に頼りっぱなしでしたが、今は積極的に関われるようになっています。でも、時間に余裕ができて、食事をしっかり取るようになったことで、体重が少し増えてしまいました(笑)。小学校から高校まで剣道、大学時代はバスケをしていて、体を動かすことは好きなので、最近は夜に30分から1時間ほど動画を見ながらエアロバイクを漕いで、少しずつ体重を戻しています。
最後に、今後の展望と読者の方へメッセージをお願いします。

地域の皆さんが気軽に相談できる、「最初の窓口」になれればと思っています。ここでまず診察をして、必要な場合は大きな病院へ紹介するという流れを作りたいんです。そうすれば、患者さんは長い待ち時間や高額の初診料から解放されて、総合病院は重症の患者さんに集中することができ、病院で働く医師の負担も軽減できます。そのためには、まずここに泌尿器科があるということを知ってもらいたいですね。当院の整形外科や小児科は長い歴史があり、幅広い年代の患者さんが来られています。整形外科は高齢の方だけでなく、リハビリテーションに訪れる若い方も多いですし、小児科では子どもの頃に通っていた方が大学生になっても来院されたり、親子3代でお付き合いが続くこともあります。これからも地域の皆さんに寄り添い、頼れる存在となって、皆さんの健康をサポートしていきたいです。