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山下 和彦 院長の独自取材記事

三条山下内科医院

(高松市/三条駅)

最終更新日:2023/09/20

山下和彦院長 三条山下内科医院 main

高松市三条町で開院し、およそ40年。「三条山下内科医院」では、東洋医学と西洋医学の両分野に精通した院長の山下和彦先生が、学問の垣根を超えた総合的な医療の実践、提供に努めている。日本東洋医学会の名誉会員でもある山下院長は、肥満症や不妊症、咳喘息といった治療が困難な症例においても、長年培った知識と経験を生かし漢方薬を使って対応。調剤薬局と提携し処方する漢方薬は200種類を数える。「西洋医学では原因となる疾患が見つからない、けれどもつらい症状で悩んでいる。そんな方々を救って差し上げたい」と優しく語る山下院長に、東洋医学との出合いや対応する治療、患者へのメッセージなどを聞いた。

(取材日2023年8月8日)

患者の体質改善をめざし根本原因にアプローチ

東洋医学との出合いはいつ頃でしょうか?

山下和彦院長 三条山下内科医院1

中学生の頃です。私は月に1〜2回は風邪を引くような体の弱い少年で、小さな頃からさまざまな医師のもとへ足を運んでいました。当時は運動などすればすぐに体が疲れてしまい、睡眠時間も8〜9時間ほど確保していないと、起き上がれないほどでしたね。中学生になってからも専門性の高い先生を訪ね歩いていましたが、そんな日々を送るうちに、近隣の漢方薬局で漢方薬を勧められたのです。これが、私の東洋医学との出合いでした。

異なる2つの医学を学び、開業に至るまでの経緯をお聞かせください。

東洋医学を専門的に学び始めたのは、医学生になってからのことです。私自身が喘息に罹患したことで再び漢方治療に取り組むようになり、東洋医学の研究所などへ出向いて、その道の先生方のご指導を仰ぐようになりました。同時に、大学では近代西洋医学の基礎を勉強。1977年に医学部を卒業した後は、静岡赤十字病院や慶應義塾大学病院、沖縄県の八重山病院、KKR高松病院と全国各地の中核病院へ勤務し、呼吸器内科や神経内科をはじめとする内科の診療に携わってきました。しかしながら、「いつかは東洋医学の思想や理論に基づいた治療に、腰を据えて取り組みたい」という想いは変わらず、1984年に故郷・高松市で開業。おかげさまで、来年40周年を迎えます。

そもそも、西洋医学と東洋医学はどう違うのでしょう?

山下和彦院長 三条山下内科医院2

西洋医学は対症療法、すなわち症状の緩和を図るものです。皆さんは、発熱したら解熱剤、咳が出ていたら咳止め薬、血圧が高ければ降圧薬を飲みますね。では、風邪を引きやすい人に対するお薬はあるでしょうか? 冷え性に効くお薬は? 東洋医学では、患者さまの体質そのものの改善を試み、症状の根本的な原因にアプローチすることをめざします。重度の症状ではないけれども、生活に支障を来す不調がある方々は多いでしょう。当院では西洋医学だけでなく、東洋医学の思想や理論にも対応することで、患者さまにとってより適切な治療をご提案できるよう努めております。西洋医学では原因となる疾患が見つからない、けれどもつらい症状があって悩んでいる、そんな方は一度ご相談いただければと思います。

肥満症や不妊症、咳喘息の治療に対応

診療所としては珍しく、肥満症の治療に対応されていると伺いました。

山下和彦院長 三条山下内科医院3

肥満症治療を目的に来られる方は、一定数いらっしゃいますね。糖尿病のお薬の中には体重のコントロールを目的としたものもありますが、当院では肥満症の方に対し、漢方の煎じ薬をお出しします。つまりは、お茶です。生薬と呼ばれる、古くから薬として用いられてきた草の根や葉などをとろ火で1時間ほど煮出し、抽出したエキスを1日に3回、お飲みいただきます。この煎じ薬の服薬と並行して、食事の炭水化物を控えていただくことで皮下脂肪の減少をめざします。漢方薬と食事療法とを合わせた治療スタイルの診療所は、県内でも数が限られるかもしれません。開業当初は院内でお薬を煎じていましたが、なにぶん時間と手間がかかりますので、現在は提携する調剤薬局ですべての漢方薬を処方してもらっています。生薬そのものは約500種類、漢方薬は約200種類を用意することで、できるだけ多くの主訴に対応しうる体制、環境を整えました。

不妊症の患者さんも多いそうですね。

多いと思います。女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があり、排卵期前には卵胞ホルモンの、排卵期後は黄体ホルモンの分泌量が増えていきますが、この黄体ホルモンが正常に分泌されなくなると、女性は妊娠しにくくなり、妊娠後も流産しやすくなってしまいます。医学的には、「黄体機能不全」と呼ばれる状態ですね。黄体ホルモンは基礎体温を上昇させますので、当院では体温の低下などを診断の基準として、ホルモンバランスの調整を目的とした漢方薬をお出しします。またストレスなどさまざまな原因によって、受精卵の着床する子宮内膜が通常よりも薄くなっている方や、排卵そのものが起きなくなっている方に対しては、それぞれの症状にアプローチするための漢方薬をご提案しております。

先生が、特に力を入れている治療は何でしょうか?

山下和彦院長 三条山下内科医院4

咳喘息の治療です。これはエアコンの風に当たり続けるタクシーの運転手さんや、妊娠中の方に多く見受けられる疾患です。喘息のように呼吸困難に陥ることはありませんが、細い気管支がさらに細くなるため、夜眠れなくなるほどの咳が数週間、継続します。咳喘息は風邪の後に発症することが多く、風邪薬や咳止め薬ではなかなか完治に至りません。通常はステロイド吸入薬によって症状の緩和を図りますが、当院では吸入薬と漢方薬の双方に対応し、生活習慣なども指導しながら、このつらい症状の改善をめざします。開業当初から、咳喘息の患者さまの肺活量を測定する機器は用意していましたが、3年ほど前に呼気中の一酸化窒素濃度を計測する機器を導入したことで、より精密な診断がつきやすくなりました。一酸化窒素の数値は、投薬を中止して良いか判断する指標にもなります。10秒ほど息を吐いていただくだけで良いので、患者さまの負担も少ないと思います。

昔に比べて、咳喘息の患者さんは増えているのでしょうか。

そうですね。恐らくは、PM2.5などの大気汚染も関係しているのでしょう。子どもさんから成人の方まで、年齢を問わず気管の荒れている方は増えており、咳喘息は既に普遍的な疾患へと変貌を遂げました。喘息とは種の異なる疾患ですので、その違いをしっかりと理解している呼吸器内科を受診していただきたいと思います。

総合医療で人々に笑顔の花を咲かせる

肥満症や不妊症、咳喘息以外にも、漢方薬が有用と思われる症状や疾患はありますか?

山下和彦院長 三条山下内科医院5

いわゆる「お天気痛」と呼ばれる症状があります。天気が悪くなる前に、体のだるさや頭痛、神経痛、関節痛などが起こるというものです。東洋医学では、大気中に含まれる湿気が体内に蓄積することで「お天気痛」が起こると考え、漢方薬の処方によって、この余分な水分や老廃物、「湿邪(しつじゃ)」の排除を図ります。さらに加齢とともに首の骨の軟骨が浮き出て神経を圧迫する疾患や、スマートフォンやパソコンを見続けることによる目の疲れなどにおいても、漢方薬が有用な場合がありますね。時代が移り変われば、病気も変わります。私は東洋医学の知識を持つことで、次々と現れる新しい病気にも対応したいと思うのです。

お忙しい毎日だと思いますが、ご趣味などはございますか?

週に2、3回、テニスを続けております。昔はゴルフをやっていたのですが、4人1組でコースを回っている時に急患の知らせが入り、プレー仲間に謝りながら慌ただしく診療へ戻るということが続いていたため、先輩に勧められたテニスを始めました。ゴルフ場は一度外へ出てしまえば途中で戻ることができませんが、テニス場はたくさんありますし、手軽で運動量も多いので健康づくりに役立っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山下和彦院長 三条山下内科医院6

患者さまにはそれぞれ訴えたい思いがありますが、それを言葉にできる方もおられれば、うまく言葉にできない方もいらっしゃいます。まずは患者さまの言葉にしっかりと耳を傾け、聴き入れること。私はそれを強く心がけております。これからも「傾聴」に徹し、患者さまに笑顔の花を咲かせる医療を提供していきたいです。東洋医学と出合って既に半世紀がたちましたが、この世の草花が何万種類とあるように、まだまだこの学問には学ぶべきところがあります。これからも飽くなき探究心を持って見識を広げ、この奥深い学問の深淵に近づく努力を続けて参ります。

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