藤野 和也 院長の独自取材記事
藤野医院
(小松島市/阿波赤石駅)
最終更新日:2024/08/29

1968年に開業し、50年以上にわたって住民の健康を支えてきた「藤野医院」。地域に根差したクリニックの院長を務めるのは、2代目の藤野和也先生。内科、循環器内科、胃腸内科、リハビリテーション科を標榜。咳や発熱、鼻水、喉の痛みといった風邪症状や、頭痛、腹痛といった一般内科疾患や、糖尿病・脳卒中・心臓病・高血圧症などの生活習慣病、心不全の治療、胃や大腸の内視鏡検査に対応している。患者の家族、これまで歩んできた人生など、その人全体を理解することを心がけている藤野院長に、診療方針、地域医療に対する思いなどについて話を聞いた。
(取材日2024年3月8日)
グループで持つ施設を生かし、福祉などと連携した治療
先生はどのようなきっかけで医師の道に進まれたのでしょうか?

私の父が開業医で、当院も父が開業したのが始まりです。子どもの頃から医師として働く父の姿を見ていたことが、自分も医師になるという選択に大きく影響していたと思います。地域で困った方がいたら、忙しいときでも往診で患者さんのご自宅に向かう、そんな父でした。今あらためて思い出しても、地域に根差した開業医として、患者さんを大事にしていたんだなと感じます。この藤野医院も、もともとは父が開業し、私が引き継いで院長となり、現在に至ります。
こちらのクリニックの診療内容、特徴について教えてください。
当院は内科、循環器内科、胃腸内科、リハビリテーション科を標榜し、地域に根差したクリニックとして地元の皆さまに医療を提供しています。私自身は、もともと大学時代に循環器を専門として学び、アメリカに留学したり、健診センターで消化器の内視鏡の経験を積んだりした後に、父が開業していたこのクリニックで勤務を開始しました。治療の特徴としては、当院だけではなく、私が理事長を務める法人が運営する特別養護老人ホームやデイサービス施設、訪問リハビリテーション、サービス付高齢者向け住宅など、複数の施設と連携した治療が行えるという点です。グループとしてのメリットを生かし、医療にとどまらず介護などと連携した支援をご提供しています。また、往診や訪問診療も行っていて、通院が難しい患者さんにもご対応しています。地域の高齢化が進む中で認知症の方のサポートなども行っていますので、お気軽にご相談ください。
患者さんはどのような方が多いですか?

長年通ってくださる患者さんが多く、高血圧症や糖尿病などの慢性疾患、それから心不全の治療などで来られる高齢の患者さんが中心です。もともと当院の患者さんとして通院していた方が、年齢を重ねて自宅での介護が難しくなった場合に施設をご紹介したり、リハビリテーションを受けていただいたり、お伝えしたようなグループの中の施設をご紹介することも多いですね。当院からそうした施設への訪問診療も行っているので、通院できなくなった後も、長くお付き合いをさせていただいています。それから、新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症の治療でいらっしゃる方や、胃や大腸の内視鏡の検査でいらっしゃる患者さんも多いですね。
患者が歩んできた人生を知り、その人を理解した治療を
こちらで行っている胃や大腸の内視鏡検査の特徴は何でしょう?

胃の検査は、比較的痛みの少ない鼻から入れるタイプの内視鏡を使っています。胃も大腸も特に鎮静剤などは使っていないのですが、30年ほど経験があるので、症例数としてはかなりの数にのぼるはずです。その長年の経験を生かして、できるだけ痛みの少ない検査を心がけています。また、息子が大学の消化器内科で長年研鑽を積んで、近くで開業しているんです。息子のクリニックでは、鎮静剤を使った内視鏡検査を導入しているので、ご希望があれば、そちらをご紹介することも可能です。
息子さんが近くで開業しているというのは心強いですね。

そうですね。親という立場を離れ、一人の医師として見ても、彼はしっかりとした頼もしいドクターだと感じています。ゆくゆくは当法人を息子に任せるつもりなので、引き続きこの地域の医療を支えていってもらえたらうれしいですね。当院の隣では妻が小児科を開業しています。今後も、家族一丸となって地域の健康を守っていきたいと考えていますので、皆さんには引き続き、安心して来ていただけたらと思います。
診療で心がけていることはありますか?
特に慢性疾患などで通っていらっしゃる患者さんの場合は、長いお付き合いになります。その場限りの治療だけではなく、できる限りその人の立場に立って、患者さんの家庭の状況や、その方がこれまで生きてきた人生、そうしたものを知り、希望に沿う治療をご提供したいと感じています。そのためには、治療に直接関係がないことでも、可能なときはゆっくりと時間を取って、患者さんのお話に耳を傾けるようにしています。病状だけではなく、患者さん自身をきちんと理解し、その上でその方に合った治療をすることを心がけています。
3代にわたり引き継いでゆく、地域医療への思い
先生ご自身のことも、少しお伺いさせてください。休日に楽しむご趣味などはありますか?

4~5年ほど前から、写真に興味を持つようになり、ミラーレス一眼で鳥の写真を撮影しています。自宅から車で10分くらいのところに、いろいろな鳥を観察できる野鳥園があり、休日はよくそこに行ってバードウォッチングをしていますね。秋から冬は鷹、暖かい時期は渡り鳥など、たくさんの鳥を見ることができるんです。いつも通っているので、趣味の仲間もでき、会話を楽しんだり、写真撮影について教えてもらったりしています。撮影用のレンズをそろえて、いろいろな撮影方法にチャレンジするのも楽しいですね。休日に仕事から離れて、良い気分転換になっています。
医師としてのやりがい、この仕事をやっていて良かったなと感じるのはどのようなときですか?
一つは、やはり患者さんからありがとうと声をかけていただいた時ですね。治療をしていて、患者さんに喜んでいただけることが、医師としてのやりがいにつながっています。それから、息子がこの地域で開業し、地域医療に携わるようになったことも、長年この地で開業してきた医師として感じ入るところがありますね。私の父が藤野医院を開業したのが1968年、もう50年以上前のことです。父から受け継ぎ、親子2代で半世紀にわたって地域の皆さんに支えられながら頑張ってきたことを、さらに次の世代に引き継いでいける。これは本当にありがたいことだと感じています。地域の皆さんが将来にわたって安心して暮らせるように、開業医として今後も皆さんに必要とされる医療をご提供していきたいと思っています。
最後に、地元の方々や読者に向けてメッセージをお願いいたします。

私は2010年から小松島市医師会の会長を務めており、この間、地域医療の向上をめざす一員としてさまざまな活動に取り組んできました。当院でも、地域の皆さんのニーズに合った治療の提供に努めており、今後も引き続き、法人グループ内のさまざまな医療機関や施設と連携を取りながら、地域の皆さんの健康と生活を支えていきたいと考えています。患者さんのご家庭の事情、生活背景、これまでの人生、それらを理解しながらお付き合いをしていければと思っていますので、体のこと、健康のことで何かありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。