一番身近な「地域の内視鏡室」として、
地域医療への貢献をめざす
前田医院
(東広島市/東広島駅)
最終更新日:2024/06/06


- 保険診療
東広島市にある「前田医院」は、消化器内科を専門とする院長の佐々木政敏先生と、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、大腸ポリープなどの消化管腫瘍に対する治療内視鏡や胃腸疾患の診療を専門にする副院長の佐々木悠貴先生が、苦痛の少ない内視鏡検査や治療を提供している。院内には複数の内視鏡スコープや先進機器をそろえ、患者別に適切なオーダーメイド検査を提供している。かかりつけ医として内科疾患を幅広くカバーしつつ、同時に専門性の高い医療を身近なクリニックで提供することで、地域貢献をめざす政敏院長と悠貴先生に、内視鏡検査の重要性、クリニックの特徴、今後の地域医療に必要なことなどを聞いた。
(取材日2024年4月5日)
目次
先進の設備と長年の実績や知見を生かし、精度が高く苦痛の少ない内視鏡検査をめざす
- Q内視鏡検査とは、どのような検査なのでしょうか?
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A
▲内視鏡検査に精通したベテラン医師が丁寧に説明してくれる
内視鏡検査を受ける目的の一つは、がんの早期発見・早期治療や、胃腸症状の原因を診断し、治療へつなげることです。初期の胃がんや大腸がんは症状がなく、CTで発見した時には既に進行しており、治療法が限られることもよくあります。そのためがんの予防や早期発見が非常に大切です。胃がんでは、ピロリ菌を除菌すること、大腸がんの場合、ポリープの段階で切除することで発がんのリスク低減が期待できるわけです。当院は日帰り内視鏡手術の実績も多く、安心して手術を受けていただける環境を整えています。若い世代には定期的な内視鏡検査の大切さを啓発し、がんを恐れるよりも積極的にがんの予防、早期発見・早期治療を推進していきたいです。
- Qこちらの内視鏡検査の特徴を教えてください。
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A
▲地域の診療所ながら、先進の機器を取りそろえる
複数の内視鏡や薬剤を用意し、患者さんに合ったものを都度選んで検査を行っています。同じ専門の医師でも、技術の差で検査の負担は大きく変わります。差の出やすい大腸カメラは当院が得意としており、腸を滑らすようにカメラを進める技術を駆使して、痛みを軽減しています。また、がん予防や早期発見のノウハウを生かし、専門的な視点から一歩踏み込んだすこやか検診やがん検診を行っています。患者さんごとに消化管の状態を把握し、がんのリスク評価を個別に行うことで、診療計画を個別提案しています。万一進行がんが見つかった場合でも、広島県がん医療ネットワークに参加しているので、基幹病院へスムーズに紹介できる体制が整っています。
- Q痛みへの不安が強い方には麻酔薬を使用されているそうですね。
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A
▲患者に合った薬を駆使し、負担の少ない内視鏡検査を提供
内視鏡検査のつらさは設備や技量の差が影響しますが、中にはこれらで回避できない痛みもあります。初めて検査を受ける方や、過去につらい思いをされた方には、鎮静剤や痛み止めの使用をお勧めしています。当院では、複数の薬剤の中から個々に適した薬を選択し、麻酔の深さを調整しています。不安の強い方は、寝ている間に検査を終えることもできます。また、下剤も複数用意して、できるだけ飲む量が少なく済むよう使い分けています。検査のつらい記憶から、内視鏡から足が遠のき、病気が進行して見つかることがないよう、クリニックゆえに実現可能なきめ細かい調整を行って、オーダーメイドで、負担の少ない検査を実践しています。
- Q地域の住民に向けて、どのような医療を提供されていますか?
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A
▲地域のクリニックで専門性の高い治療を実現
当院は、地域の方が気軽に相談できるかかりつけ医という役割と、専門的な内視鏡検査や消化器診療の2本柱で続けています。専門性の高い医療は総合病院のみで提供されるものでなく、逆に身近なクリニックで享受できることで、地域の活性化につながるという想いがあるからです。例えば、炎症性腸疾患は近年新薬の開発が進み、多くの患者が外来通院で病状安定をめざせる時代になっていますが、新薬が増えた分、治療は複雑化し、薬を使いこなせる医師は限られています。消化器内科の中でも、特に胃腸疾患は私達の専門領域ですので、地域でこれらの診療を行うことで、治療のため患者さんはわざわざ生活圏内を出る必要がなくなるわけです。
- Q今後の地域医療に必要なことは何でしょうか?
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A
▲地域に根差した「顔の見える」医療
先代が80年前に開院した時、近くに医療機関が少なく、なんでも診られるかかりつけ医が求められました。私が継承してからは、健康教室を開くなど啓発活動にも注力しています。24時間体制の訪問診療も昔から続けています。しかし「自分の時間を削ってまでやりたくない」「深夜に呼び出されるのは負担」と消極的な医師が多いのが現状です。それでも、誰かがやらなくてはいけません。東広島市は慢性的に医師や高次医療機関が不足しており、地域に根差した「土着の医師」は減る一方です。地域に住み、行事に参加し、「顔の見える医療」を行うこと。これこそ地域医療の本質で、まさに今この地域に求められている医療だと考えています。